第19話
待ちに待ったデート当日。
車で片道二時間半かかるという事で朝7時の出発となった。
毎日始発の電車に乗っている私である。
ついいつも通り早朝に目が覚めてしまい時間を持て余してしまった。
外出の準備をきっちり整えた後、本を読んで時間を潰す事にした。
ーーーシャラン。。
はじめさんからメールが来た。
気付かない間に結構時間が経ったようだ。
『おはよう。
今家の前に着いたからいつでも来ていいぞ。』
『おはよう⭐︎
既に準備万端!すぐ行くね!』
そう返信し部屋を後にする。
日曜の朝、まだ寝ているであろう両親を起こさないよう静かに玄関へ向かっていると母さんがいた。
あらら、起こしちゃったかな?
「大丈夫よ、とっくに起きてたから。
ゆづ葉、いってらっしゃい。
初デート楽しんでくるのよ。
あと、これを持っていきなさい。多分役に立つはずだから。
そうそう、これを開けるのは帰りが遅くなりそうになってからにしなさいね。」
そうしてトートバッグを渡された。
なんだろうと疑問符が浮かんだが開けようとすると視線で『開けるな』と妙な圧がかかったのでここは母さんに従うことにする。
「じゃあ、いってきます。」
と家を出るとはじめさんが車の外で待っていた。
笑顔で迎えてくれたかと思ったら突然停止した。
なんか変な所あったかなと首を傾げる。
「ーーーいや、すまん。
その、、ゆづ葉はいつも綺麗なんだが、今日は一段と、、綺麗だなと思って。
その紺色のワンピースが白い肌に映えて、似合ってる、、。」
今日の私はネイビーのロングワンピースに白のキャップ、グレーのスニーカー姿。
普段はご飯作りがあるため動き易いパンツスタイルが主だったのでワンピースは新鮮だったみたいだ。
褒められると照れ臭いが素直に嬉しかった。
張り切った甲斐があったかな?
「ありがとう。へへっ私だって初デートは張り切っちゃうよ。好きな人に可愛いって思われたいもん。
ーーーはじめさんこそ似合ってるね!
いつもスーツ姿か部屋着しか見たことなかったから普段着が新鮮だ!
うん、ジーンズも似合うね。ーーあと筋肉質な上半身にグレーのTシャツと薄手の黒のシャツとか、、、素敵。」
今まで気にした事が無かったがはじめさんの筋肉質な所、、、正直好ましい。
おかしいなぁ、男性の見た目とかましてや筋肉なんて全く気にした事が無かったのにはじめさんの事だとトキメキが止まらない。
はじめさんを熱い視線で見つめていると
「そんなに見ないでくれ。。ーーさっ、さぁ、早速行こうか。」
そう顔を背けながら言うと助手席のドアを開け私へ手を差し出す。
《まあドライブ中は見放題だしここは流されよう。》
そう思いながらはじめさんの手をとり助手席へと座る。
最初の頃はこうやってはじめさんがドアを開けエスコートしてくれる事に申し訳無く思って居たのだが、
『好きでやっている』
と言われ毎回大事にされているのだと実感でき、今では自然と受け入れる事ができた。
はじめさんも車に乗り込み、いざ出発だ。
ドライブが始まり
『絶対最初はレッサーパンダがみたい!』
『ペンギンはいるのかな?』
『ライオンは欠かせないよね!』と
とにかく動物園の話しで盛り上がっていた。
はじめさんとの楽しい会話は途切れる事が無かった。
そうしてあっと言う間に時間が過ぎ、目的地まであと半分程となった。
現在は高速道路に乗っている。看板を見るとこの先大きめの
「疲れただろ、この辺で少し休憩しよう。」
SAに入り車を駐車場に停めた。
座りっぱなしで固まった身体を解す為SA内を散策することになった。
車内用に飲み物を買った後、なにやら目的地があるようではじめさんが先導する形で手を引かれて歩いていく。
そしてある店の前にたどり着く。
「あぁ良かった、あった。
ここのSAはプレミアムメロンパンが有名なんだ。上り下りそれぞれあるから行きと帰りで食べ比べるのも良いかと思うんだが、興味あるか?」
目の前には大きなプレミアムなメロンパン!
言うまでもなく興味アリアリだ。
パンの中でも一番好きなのがメロンパン。食べない訳にはいかない。
「絶対食べる!朝食食べてきたから全部食べられないかもだから半分こしよ!良い??」
既に私の目はプレミアムメロンパンに釘付け。
『ふははっ。』笑いを堪え切れていないはじめさんが買ってきてくれた。
慌てて財布を出すが断られた。
『今日は俺がゆづ葉を甘やかしたいんだ。カッコつけさせてくれ。』
と言われたら何も言えない。
今はお小遣いを貰っている未成年な私。
社会に出て自ら稼げるようになったら今度ははじめさんを甘やかそう!と目標を立て、今は甘える事にした。
メロンパンを半分に割り近くのベンチで頂く。
フワッフワの生地の中に濃厚なメロン果汁のクリームが入っており、はっきり言って美味しすぎる!
はじめさんに向かってそのまま感想を言うと
「喜んでもらえて良かった。これは
と言いながら私の口元を親指で触れる。クリームが付いていたようだ。
はじめさんはそのままペロリと舐めると
「ふふっ、確かに美味いな。」
と意地悪な顔をした。
でもその顔にもクリームが付いている。
だから私も同じく付いているクリームを取り口にする。
「
ウィンクして感想を述べるとまた茹で蛸さんが誕生した。
「うぅ、、参りました。」
そう言うはじめさんに寄りかかり
「参っているのは私だよ。」
と呟いた。
休憩も終わり再びドライブ。
あと一時間位で到着するらしい。
そんな中私はうつらうつらしてしまう。
朝も早く起きてしまった事に加えお腹もいっぱいになった所為だろう。
そんな私に気付いたはじめさんは
「無理せず寝ていいぞ。着いたら起こすから。」
と頭を優しく撫でてくれた。
そんな事されたらもう睡魔には勝てない。
「運転中なのにごめんね、、、少し眠らせて、、、もらう、、、ね、、」
あっという間に意識が遠のいていった。。。
次に起きた時には目的地″大良動物園″に着いていた。
待ちに待った動物園に着いた事で私はウキウキしていた。更に言えば寝ている間幸せな夢も見れたのでとても気分が高揚していた。
《あぁ、あの夢。私の願望がそのまま反映されてたなぁ〜ふふふっ》
っと、ニヤニヤしてたら不審に思われてしまうので頭を振って意識を戻す。
にやけ顔を見られて無かったかとはじめさんの顔を見ると若干覇気が無いように感じた。きっと長時間運転で疲れてしまったのだろう。
はじめさんが運転中だと言うのに1人気持ちよく寝てしまったことに罪悪感が出てきた。
だから素直に謝ると手をブンブン振って
「いや、可愛い寝顔を見られたし、、、良い時間だった。本当だぞ、、、うん。(俺、頑張った。)」
と頬を赤くし目を逸らしながら言われ今度は寝顔を見られた恥ずかしさが襲ってきた。
《ヨダレ出てなかったよね!?》
まっ、まぁとにかく動物園デート開始だ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
車中の夢(?)
夢の中ではじめさんが私の手を取り以前の様に手の甲にキスをしてくれていた。
そして
「愛してる。多分お前が思っている以上に夢中になっているんだ。
ーーーーもう離してやれない。」
と囁いてくれていた。
嬉しくてはじめさんの手を取り同じく手にキスをした。
《夢だし大胆にしても良いよね。》
と思いながら手にキスを重ね続ける。
更に指先が唇に触れるとそのまま口に含み舌で転がしーーー
あぁまた意識が深い所に落ちていく。
そんな中車が揺れた様に感じたがーーー気の所為だろう。。。
「本当に、本当に、本当に!!俺が悪かった!だがこんな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます