第17話
「はぁ、美味しかったーー!!厚焼き玉子なんてフワッフワッで甘めの味付けがサイコー。一切れでご飯何杯でもいけそう!」
「ホントよね。はじめのご飯も美味しいけどゆづ葉のも美味しいわ。」
そう結城ちゃんと咲お姉ちゃんが言ってくれた。
朝は時間が無いから凝った物ができなかったので、美味しいと言ってくれ素直に嬉しかった。
「ごちそうさま。本当にうまかった。」
はじめさんもうまかったと完食してくれた。
その後すぐ立ち上がり食器をシンクまで片付け洗い物をしてくれた。本当は私がやりたかったがはじめさんは譲ってくれなかった。
出勤の準備が完了して玄関へ向かうはじめさん。
玄関先でお見送りをする。
「お仕事いってらっしゃい。
夕飯作って待ってるからね。」
そう言って手を振る。朝のひと時があっという間にに過ぎ寂しさを感じるけど我慢だ。
するとはじめさんが振り返りグッと身体を引き寄せられる。耳元で
「行ってくる。ゆづ葉の美味い飯楽しみに頑張ってくるから。」
そんな風に囁かれて顔に熱が集まる。
見上げればはじめさんの頬。
衝動的にその頬に唇を押し当てる。
チュッとリップ音を鳴らし
「はじめさん、大好き。」
そう言って離れ再度手を振る。
一瞬の触れ合いに呆け頬を押さえるはじめさん。その姿を見ていてくすぐったくなる。
数秒してハッとこちらを向く。
「い、いってくる!!」
そう言って今度はお返しとばかりに私の頬にキスをしてくれた。
そして赤い顔のまま家を後にしたのだった。
正に新婚のようなやりとりで私もはじめさん同様頬に熱を持った。
両手で顔を仰いで熱を必死に冷まそうとしていると
「ほうほう、若夫婦は仲がよろしいコトで。
ホッペにチューだって。ーー熱いわね〜。」
「行ってきますのチュー。。家族としては仲睦まじいから良いんだけど、、一ファンとしては、、複雑。
ってかこれ絶対会員に見せちゃいけないやつだよ。。
もし見られたらーーお兄ちゃん、、ただじゃ済まない。。」
咲お姉ちゃと結城ちゃんはさっきの光景をしっかり見ていたようだ。はははっ、そりゃ見られますよね。だって一緒にお見送りしてたし、、、ははっ、我慢できなかった自分に反省かな。
苦笑いして二人に頭を下げた。
お目汚しを。。と気持ちを込めて。
それから結城ちゃんの夏休みの課題に少し付き合い、キリの良い所で山田家を後にする。
『自宅に帰宅してまた夕方に山田家へ来るとなると大変だから家にいれば?』と提案されたが、本日は別途先約が有ったので今回は丁重にお断りした。
徒歩で目的地である図書館へ向かう。
まだ開館前なので近くのベンチに座り持ってきた本を読む。
暑い日だが木陰にいると風が吹き込み心地いい。
いつの間にか集中して読んでいると、隣に人の気配を感じた。
視線を向けると、そこには夕子が居た。
「おはよう夕子。
なんだー、来てたなら声かけてよ。」
「おはー。ふふ、本に夢中になって百面相してる顔が面白かったから見てたの~。」
百面相してたんだ。恥ずかしい。
早く言ってよとムッと夕子を睨むと全く気にしていない様子でヘラヘラしていた。
なんか悔しいな。
そう、今回図書館に来た理由は夕子と夏休みの課題をする為だった。
夕子は放って置くと課題を全くやらないので定期的に何処まで進んだかを確認しないと不安で仕方がない。
いつもならどちらかの家でやることが多いのだが、本日から山田家で朝晩とお世話になる事を伝えると山田家付近の図書館でやろうと提案してくれたのだ。
「で?朝食作りはどうだった~?
ーーまさか襲ったりしてないよね~?」
あれいつもの口調なのになんか微妙に機嫌が悪いような。
「料理が美味しいって言ってくれて嬉しかったよ。みんな優しくて、、なんか家族が増えたみたい。
あと、お、襲ってはナイヨー。若干ハプニングは有ったけど普通にお見送りして(軽く互いに頬にチュッとして)今朝はお終いかな。」
友達にこういう話は恥ずかしいので少し誤魔化した。
「ふーーん。そっか、ほっぺにキスねぇ。。初日からこれだと今後どうなるんだろうね~、
「どっから『ほっぺにキス』ってワード出てきたの?!!エスパー?!
ってかすいませんでした。家の中でとはいえ軽率でした。
これで慣れちゃうと外でもしちゃうんじゃないかって事だよね?
怒らないで!!夕子!」
多分、周りに気づかれないよう注意しろという警告をしてくれて居るのだろう。
夕子は私以上に気にしてくれている。
「私、ゆづ葉の事なら大体把握してるからね~。まぁ基本ゆづ葉が幸せならそれでいいけど~、目に余るようなら、ね??」
すごい心配をかけていたようだ。
だからしっかり宣言する。
「これ以上は卒業まで絶対しません。
周りにもちゃんと注意して行きます。
ーーーー心配かけてごめんね。大好き夕子ーー!!」
最後に思いっきり抱きついた。
私以上に私のことを気にしてくれる親友を抱きしめないでいられるか!
抱きしめた夕子を見ると満足した顔をしていた。
まあこの後詳細に今朝のことを聞かれる羽目になって結局、課題の進行はグダグダになってしまった。
だから明日こそはやろうとまた約束を取り付けて再び山田家へ向かったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Prrrrrrrrrr....... カチャッ
「結城、いい情報ありがとう。役立ったわ。」
「いえ、夕子お姉様。
ゆづ葉お姉様の情報共有はクラブの義務ですから。でも拡散だけは。。。」
「当たり前じゃない。ゆづ葉が望まないことにならないよう私だけで
「じゃあまた宜しくね。」
—-ブチッー——
ファンクラブの義務じゃなくても夕子お姉様に協力したくなっちゃう。
お兄ちゃんごめんね!
お兄ちゃんも大切なんだけどニ大お姉様も大切なの!
だから、、昨日みたいになぜか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます