第15話




先日夕子にもはじめさんとの交際を伝えた。

祝福してもらい幸せを噛み締めた。

その際夕子が


『彼氏ができても、、、私の事見捨てないでね。

一生そばにいたいの、、、良いかな?』



と泣きそうに言った。

彼氏ができた私が離れてしまうのではないかと不安に思ったのかもしれない。

そんな夕子に心苦しさを感じたと同時に嬉しさが込み上げてしまい、感情のまま抱きついてしまった。

《いつまでも親友だ!》

と改めて決意した。

そんな中、何故かはじめさんは夕子を見つめ苦笑いをして居た。



まさか、夕子の可愛さにときめいたのか!と

ヤキモチから問い詰めつると、



『逆だ。恐れ慄いている。

ゆづ葉に飽きられないよう日々努力する。絶対離さないし渡さない。』



決意に満ちた表情で言ってくれ嬉しいのだが、、、夕子とはじめさんの間からピリピリとした空気が流れ始めたような。。。なんか寒い。。




こうして身内への交際報告は無事全て終えたのだった。




そして本日は一学期の終業式。

明日から夏休みだ。



そう考えはっとする。



《学校が無いとはじめさんと毎日会えないではないか!!》


慌ててはじめさんに放課後『花壇で会いたい』と連絡を入れる。

そして先に花壇にきた私はベンチに座り毎日会える方法を模索して居た。


生徒は夏休みでも教師の仕事は山ほどあるだろう。

その中で先生に無理なく会うにはーーーーっ!!

ある事が閃いた私は早速二人に連絡を入れる。

それぞれに思いついた事を伝える。

すると即刻返信がきて共に了承してくれた。

二人とも協力的で嬉しい。

あとははじめさんにOKを貰えれば問題無しだ。



「悪い遅くなった。」



はじめさんは汗をかきながら走ってきた。


「忙しい中ごめんね。夏休みが始まる前にどうしてもはじめさんに会いたくて。」



「いや、俺も会いたかったから、、良かった。

夏休み中は研修や講習で忙しくなるからなかなか会えなくなるから。ーー悪い。」



やはり夏休み中は忙しいようだった。

申し訳なさそうなはじめさんの顔を見て、やはり私が閃いた事は良い案だと確信した。

私にもはじめさんにも良い案。




「謝らないで。

そうだと思ったから私ーーーはじめさんの通い妻になることにしたよ!」




はじめさんは「はっ?」と疑問符が飛んでいる。


だから改めて伝える。



「私は毎日会えないのが寂しいので、はじめさんの家に通って朝晩ご飯を作ることにしたの。だから『いってらっしゃい』から『おかえり』まで私に任せてね!

ーーお泊まりは流石にダメだけど、、はじめさんが望むなら。。」



ポッ。



「待ったー!泊まりは要らん、俺は健全な付き合いがーーーじゃなく通い妻ってどう言うことだ。そんなの親御さんが許すはずな無「大丈夫、母さんに連絡入れたら『いいじゃない、じゃあその間私も悠二さんお父さんと2人仲良くしようかなぁ~⭐︎』って了承貰ったから。」」



「いや、だがウチの姉さんが「咲お姉ちゃんにもOK貰ったよ。『毎日愛する妹に会えるなんて私も結城も一切異論は無いよー。もしはじめに反対されても気にしないで。あの子照れてるだけだから。』って。」」



ちゃんと双方から了承を得たんだと堂々としているとーー



「はぁ、行動が早いな。

いや反対はしない。ただみんなの納得を得ないとと考えてたから待ったを掛けただけだ。

だから素直にゆづ葉と一緒の時間が出来るのはーーー嬉しい。

でも毎朝、毎晩ともなると大変だろう?だから日数を減らさないか?」



そう提案してきた。



「はじめさんは毎日会えなくても平気なんだね。。。私は常にそばにいたいのにな。」



本気で落ち込んだ。独りよがりだった。。。



「っっ違う!!!俺だってゆづ葉と常に一緒に居たい。でもそれでゆづ葉が大変な思いをするなら我慢はできるんだ。」



そう言ってくれ気持ちが急浮上した。

私のことを思ってくれての言葉だと知り心が温かくらなり心なしが顔も火照る。



「私は全然苦じゃ無いよ。はじめさんに毎日ご飯作れるなんて幸せでしか無い。だからーーーお願い。。」



両手を前に組みはじめさんを見上げて真剣にお願いした。




「ッグフッ!!!」



すごい音が聞こえた。



はじめさんが胸を掴んで震えている?!



「どうしたのっ!?!」



そう駆け寄れば



「ーーー大丈夫だ、少し(理性と本能の)葛藤があっただけ。理性教師の俺は勝った!」



なんかカッコよく言ってるけど、、とりあえず身体は大丈夫らしい。



コホンッ。

一つ咳をして仕切り直しかのようにまた言葉を続ける。



「ゆづ葉、、そのポーズ破壊力ありすぎだ。

分かった家に来てくれ、もちろん毎日でも歓迎する。

だからその『お願い』を俺以外にやらないでくれ。、、特に足立とか、、な。」




《なんで夕子が出てくるんだろう?

寧ろ夕子が『お願い』と手を組んで言ったらみんな卒倒モノだと思うんだけどな。》



そう思ったがはじめさんに興味を持たれては嫌なのでこの話はしないことにし、素直に頷いた。



と言う事で明日からは毎日通い妻だ!



そう思うとにやけ顔が止まらない。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





あるH氏の姪。




あっ、ママからメールだ。

ふむふむ、、、、。



っっ!!?



ぎゃぁーーー!!!

ゆづ葉お姉様がウチに毎日くるってーーー!!

しかもご飯作ってくれるだなんてぇーー!?!?



ヨメ、我ノヨメ!!?



っは?!



なんだろなんか降りてきた?!



お兄ちゃんに確認しよーっと、、



あっ花壇にいるじゃん!



「おにい、、、っっ」



はっっ!!ゆづ葉お姉様!?!




なにして、、ッグフッ!!!!



なっなっなっ、何あのおねだりポーズあかんやろーーー!!



頬を染め潤んだ瞳で上目遣い、そしてギュっと願いを込めた様に組んだ手に問いかけるように傾げた小首。。。



他の人がやればあざとい、あざと過ぎる!

だがゆづ葉お姉様は自然にやっている!!!こっこれはーーー



つつーーー。



あっ鼻血が。



お兄ちゃんは、、、が、我慢して居るだと!!?



あの至近距離の攻撃を耐えるとは、、、やはりお兄ちゃんしか、、、居ないよ。



私は心のフィルムに今の光景を焼き付けそっとその場を後にする。



ふふふん、将来~わたしの〜お姉ちゃん~⭐︎



ウキウキでスキップしてると、暗黒オーラを纏った人とすれ違う、、。

何か寒気が、、、はっ!

あの方は、ゆっ夕ーーー



ひっ!?射殺すような視線が?!



私は見なかった事にして猛ダッシュした。



お兄ちゃん、、、無事帰って来れるかな?




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ちなみに我が高の二大お姉様にはそれぞれ二つ名がある。



1人は女神様。


もう1人はーーー魔王様。

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