3 銀髪の青年

 初めて自分の姿を見たのは、領主の家だった。

 王城に行くために彷徨っていたら領主の兵士に見つかり、保護されたのだ。

 裸だったこともあり、領主の家で服を着せてもらった。

 そこで、初めて鏡で自分の姿を見た。

 銀色の髪を上に結んだ端正な顔の青年。シリルが描いた絵とそっくりの青年が存在していた。

「それにしても、どうして裸であそこにいた?」

 領主に問われ、青年は即答する。

「シリルに、会うために」

 それだけは確固たるものとしてあった。

「シリル? ああ、王城に行った娘か」

「どうすれば会える?」

「そのためには都に行かないと」

 領主は丸々とした腹をなでながら言う。

「明日、都に行く用事がある。一緒に行くか? その、シリルとやらに会えるかもしれんぞ」

 領主が青年に理由を聞かなかったのはありがたかった。否、理由なんてどうでも良かったのかもしれない。ただ、自分が王城に行くついでに厄介払いをするつもりだったのかもしれない。



 それでも、シリルに会えるなら何でもいい。それだけだった。

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