色々
7日間の船での休息を得て、体がおっくうなまま、船を降りてゆく。
と、大きなアリが装備を整えて、槍をこちらにふりかざしているではないか。
「船の乗客は全員か!?」
アリは船員に聞いてから、場内の王に謁見せよ。
そう言われ、槍でちくちくされながら、場内を入っていった。内部もアリだからけで、ここはアリの王国なんだなと今更気づいた。それにしてもこんな待遇って…。しばらく歩いていると、ようやっと謁見の間に到着した。
「入れ」
アリは扉を開けて謁見の間に通された。そこには王と気弱そうなアリがいて、船客員はそこに横一列に並ばされた。
「あーん、君なんてーの?」
「タカミですけど」
「じゃあ早速うちの子と結婚して」
「はああああああああぁぁぁぁ!?なにがどうなってるわけ?」いきなりのできごとである。
「なぜ私なんですか」
「だめかね?」
「まず人間とアリですし、それに私にはやらなきゃいけないことがたくさんあるんです」
「そうかね、しかし事は急を用していてな。我がアリ軍の命運がかかわっているのだ。せめて人間とアリの子供もわるくはないとおもっての」
「ぜったいだめです!!!!」
「食い下がるな。王であるわしが言っているんだぞ?」
「そんなの関係ありません」
「仕方が無いのう。面倒くさいが…」
王は席を立った。
「この森の奥に青く光った石が置いてある。それを持ってくれば回避できるができなければ…」
「ああやってやりますよ。戦争にも参加した女です。そのくらいやってみせます」
「じゃあすぐいってこい」
タカミは踵を返すと、謁見の間から離れて行った。
「大丈夫かね…」
皆タカミを心配していた。
タカミは森の中へ入って言った。が、したにカがいて血を吸いに来る。しかも大量にいるので大変である。
「本当に青い石なんてあるのかしら…」
タカミはしばらく森を散策した。が、どこにも見当たらない。
「夜じゃないと光らないんじゃないかしら…」かといって夜の方が危険すぎた。
しばらく歩いていると、かすかに輝く石のある關段をみつけた。そこにはたしかに青い石が一つ置いてある。それを取ると、一気に走って森を抜けた。
「持ってきました」
「ほう…本当にもって来るとは。じゃあ、しかたがない、こっちの女性にしよう」
もう一人の女船客をつかんだ。
「いやあああああああっ」
悲鳴をあげたが、私は助かった。もうし訳けないが頑張って欲しい。そこでやっと身柄の拘束を解かれたので、堂々と城を出て行った。なんだったんだ。人間は滅亡してしまったというのか?どっちにしろどうでもいい。早く船に戻りたかった。
なんでこんな場所が船旅のコースに入っているんだ。どう考えたっておかしいだろうが。そんなグチをいいつうつ、船に乗り込みシャワーを浴びた。もうこういう場所には二度と行きたくない。大体この船旅どうかしてるとしかいいようがない。今更言うのもなんだけど。そんなことを思いながら船室でハムだけ食べて出奔を待った。
ドンドン船船客が減っていく。こんなのってあり?疑問しか浮かばない。もっと船旅と言えば優雅なものでしょう。まともな都市にしてくれ。船が動き出す。どうやら移動するようだ。当たり前だが、こんな場所にずっといれない。きもいし。
「次は3日後に皇太子のいる都市に到着します。」
良かった。まだましな所だろう。仕方も無いので眠ることにした。
3日後、青を基調とした城が見える城下町に辿り着いた。盛況で、問題点はない。
問題は私達を歓迎してくれるかどうかだが。
なんと皇太子が直々にディナーに招待してくれるという。人間だといいけど。
城は広く門番が門を開けて中に入って言った。しばらくうねるように進み、謁見の間に到着した。開くと、目が青く美少年の皇太子がやっていた。美しい。さっきのとは全然違う。
「臆せず座ってくれたまえ」
それからは前菜メインオードブル、どれも絶品の食事が運ばれて来た。夢のような時間である。
しばらく食べてから、皇太子はタカミに「いいなずけはいないのかい」と聞かれた。
「い、いるわけないじゃないですか」
と恥ずかしく思うと
「じゃあ僕でもいいわけだ」
「ええええええええええええええええええ!!」
なんかおかしいよこの都市群。どうしたら素人と皇太子が出来る構図が出来上がるんだよ!
「な、なにをいってらっしゃるんですか」
「あくまで可能性の事をいってるだけだけど、君さえよければ」
どうかしてる。
「他にも美女は沢山いるでしょうに」
「顔だけじゃない。断じて」
本気モードじゃないですか!私はただの画家!それ以上でも以下でもないの!
「あなたが画家なのは知ってますよ」
「えっ」
「あなたの画集は素晴らしかった。心の中が透けるようだ」
「いけません。断じて。他を探してください。
「残念だよ」
「私もね」
私ってそんな美人顔だったっけ?ブスではないけど美少女でもない。
ある意味良い体験させていただきました。
食事はしばらく続き、やがて終了を迎えた。
城を出た時、タカミは正直ぐったりしていた。アリだの皇太子だの色々あって、自分を見失いそうになってしまっていたのかもしれない。でも画家は画家。絵を描くのみ!
早く次のまともな都市で安穏と過ごしたいものである。
船民はみな船に乗り込んだ。船の汽笛がなる。夜のうちに都市を離れ、次の都市に向かって船を走らせていた。
「皆さん次もビーチ!泳ぎ放題ですよ」
よかった。本当によかった。いろんなものを海で洗い流したかった。はっきり言ってビーチだけでいい。ほかはなにもいらない気分だった。
ビーチにつくまで、体力を寝る事で温存しておいた。
汽笛がなると目を覚ます。やはり綺麗な海がよこたわっているし、人も少なかった。
私は水着を着て泳ぎまわった。それしかなかった。シュノーケリングなんてものものもせず、ひたすら綺麗な海を満喫した。食事すらもせず可能な限り海にいた。また真っ黒になってしまう。日焼け止めクリームの入手方法が正直わからない。船にも売ってなかった。売り切れたのだろうか。海の家で食べるラーメンは最高だった。そんなこんなであっという間に日が暮れて、名残惜しい感じになってしまった。
今度もまた海はあるのかな。そう思いながら日暮れをずっとみていた。
ディナークルーズのあと、船員から報告があった。
「次の都市は、人間は1人もいません」
アリを思い出してぞっとした。
全て機械が支配している都市です。そしてそこにオスプレイが到着し、タカミさんの緊急記者会見が行われます。
「えっ私の?」
「未だ生存している画家のタカミさんの今の近況をお聞きになりたいそうです」
「機械って、あぶなくないの?」
「危ない要素なく人間を駆逐した機械です。その点安心です。」
「はああ?どういうことよそれ」
「そんな危ない場所で記者会見とは、大丈夫なのかね本当に」
「機械は精密です。無事成功してみせます。それにオスプレイに乗ってる記者は人間です」
「寝るべ寝るべ。たいりょくが持たねえ」
タカミは寝室に入っていった。
そして2日後。船は機械都市へと寄港した。機械の兵士が大整列しており、ドローンも飛んでいた。タカミは真ん中へ歩を進めた。この威圧感。オスプレイが降り立ち、沢山の記者がタカミの写真をこれでもかというほど取る。
「いままでの船旅いかがでしたか?」
「はいっきりいってその、いっぱいありすぎて困るんですけど、先住民族と触れ合ったり、マジの戦争したり、アリの大群に襲われたり…色々ありました」
「良かった事ってありましたか?」
「そりゃやっぱり海ですよ海!最高でしたね」
「逆にこりゃだめだと思った所はありますか?」
「色々ありますけど、船客が3分の1餓死した都市は、一番クレージーでした。絶対おかしいと思ってます。
「画集のインスピレーションは沸いてますか?」
「もう思いっきりわいてます。なんなら今帰ってもいいくらい。でもまだ少し船旅はありますからね」
「これからの命の保証はありますか?」
「はっきり言って行ってみないと全然わかりません、でも私は死ぬわけにはいかないんです!これからもがんばって生きます!」
「ファンの方に一言!」
「皆さん、タカミは絶対まけませんからね!期待しててください!」
「記者会見は以上です。皆オスプレイに帰るように」
オスプレイは飛び上がって凄い速度で消えて行ってしまった。
「機械帝国には食料は無い。人間もいない。だから事が済んだらすぐに船に戻りなさい」
実際そうさせていただくべくタカミとその一行は船に戻って行った。
湾岸を離れた船から船員へと報告があった。
「事故があったのもそうなんですが、今後食料が足りない状況にあります。都市で仕入れられるならしいれますが、一応いっておきます。」
次はどこの都市に連れて行かれるんだろう。でももうすぐ、画集が売っているような都市に入って来るはずだ。そこまではなんとか自分も船も耐えなければいけなかった。
6日は寝ただろうか。いい加減だるくなっていたところに、汽笛が鳴り響いた。次の都市を来訪する時がきた次の都市は石と土の国で巨大な主教国家でもあった。
「みなさんよく来てくださいました我が都市には壁画、主教画、様々な絵が壁に描かれております。2200年前に描かれたものと推測されます。じっくりご覧になって、なにかを感じ取って下されば幸いです。洞窟の絵などをみたりした。狩猟だろうか。貢いでいる絵なども多かった。食堂にも宗教画が飾られていた。これは以前のと違って大分新しい時代に描かれたものだ。ゆっくり絵をみながら、インスピレーションを磨いていた。食事が出たが、決して美味しい物ではなかった。口にこそ言わなかったが。そんなことをしているうちに時間がきて、船に戻る時間がやってきた。これはこれで唯異議な時間だった。皆手を振って都市を別れた。
3日後にことである。外は雨と容易にわかったが、また嵐が来るのかまでは予想できなかった。が、来る確率は高いと言えた。
またあの悪夢がやってくる。次第に風は強くなり、嵐に見舞われた。船内で覚えているしかない。船員も上を見上げ様子を伺っていた。「ガコン」という音がした。崖にあたったんだろう。だが大したものではない。その時、「ぎししし」という音が響き渡っというた。これはまずそうだ。船員は外に出て様子を見ている者もいる。次の「ががっが」という音で、船は全く動かなくなった。そうとうやばい状況だ。崖に張り付いた感じになっている。もうここまで来ると神まかせだ。船客も船員もじっと船内で動かずにいる。外から出て来た船員は
「もううごかない!完全にやられた!」
嵐を待つのを期待するしかなかった。タカミもさすがに命の危機を感じた。
嵐が止み、船が崖によりかかったままだ。ビクともうごかない。
船員は無線を用い、なんとか修理を頼んでみるように呼び掛けた。それしか手段がなかったからである。何度も無線で呼びかける。幸い無線は通じたようで、いまここで修理をしないといけなく、それにはたくさんの資材を持ってきてもらわねばならない。無線で呼びかけるとOKサインが出た。あくまでそこで直す。そういうことでまとまったらしい。
次の日、資材をもった飛行機が次々に現れた。これから修理だ。タカミは船内でじっとしていた。皆そうだ。実際うまくいくかもわからない。しかし飛行機舞台に任せて、手に祈るしかなかった。修理はゆっくり進んでいった。未だにびくともうごかない。それから次々と資材が運ばれ、修理にあけくれた。こんな経験あるんだろうか。実際に現場で直すなんて。しかし次第に形になってくると、安心感が漂い始めた。最初は半分ぺちゃんこだったのである。
毎日修理は続いた。やっと原型を戻してきた頃、あと少しという形状だと想像して祈った。そして数日後、ついに船の汽笛がなった!直ったのだ。奇跡に近かった。ゆっくり蛇行し、そのまま動けるままになれたのだ!
「次は画集などが売っている町の都市にいきます。もう安心です」
心底ほっとしたら、眠くなってしまった。シャワーにも入らず、タカミはそのままグーグーねてしまった。安心感もあったのだろう。眠くなる人はあとを絶たなかった。唯一、船員だけが直った船を安全にうごかしているのだった。
あとは安心な都市だけだ。何とかしてでも行かなければならない。船旅も佳境に入っていた。
」
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