船旅1日目
船を降りた先客は、先住民と共に街の中心地へやってきた。そこで先住民は袋に入った土をふるまった。ここでは普通に土を食べているらしい。他の客員は引いて食べなかったが、タカミは1つ、かじってみた。悪くはない味だが、やはり土の味しかしない。おやつ代わりに先住民は食べているという。タカミは胸がわくわくした。
ほとんどがレンガでできた家だ。家の中を見ると、団子のようなものを丸めて、何かを作っている。1日目からえらい土地にやってきた。街の中心市に市場があり、魚や肉を取引していた。肉もここでは食べているらしい。だがただ普通の肉ではない。イノシシなどの動物肉だ。故郷の隣がこんな土地だとは気づかなかった。だからこそ面白い。先住民は船員を誘って、いのしし狩りにつれていってくれた。矢じりにに虫から取った毒を塗り、狩りをするというものだ。好奇心旺盛なタカミはやってみることにした。行く先々には草が生い茂っている。そこからイノシシを見つけ出して、矢で一気に仕留めるのだ。なかなかイノシシの気配はしない。と。横でざわついたので、ゆっくり近づいてみた。イノシシだ。子供もいてかなり大きい。しかし肝のすわったタカミである。親をめがけて一気に矢を放った。見事イノシシは命中し、子供は逃げてしまった。これには先住民も驚き、タカミをたたえあった。
イノシシを倒すと、イノシシ鍋の登場となる。早速1口口にいれる。多少獣臭いがすごくおいしかった。
それから船員客をつれて、ドーム状の聖壇のようなことろに連れて行ってくれた。なかには先住民が描かれた絵でうまている。ここで狩りの祈りをささげたり、一日の終わりに祈りに来ると言う。船来客はまじまじとドームをみていた。スケッチしたいくらいタカミにとっては興味深いものだったが、相変わらず道具をもっていない。それからお酒を持って来てくれた。乳酸菌のような見た目のお酒である。馬乳酒のようなものだろうか。もちろんタカミは飲んでみた。それにしても強い酒だ。あっという間に酔っぱらってしまった。先客は半分以上、イノシシ鍋もお酒も口をつけないでいた。何でもチャレンジするタカミに、先住民は好感を抱いたようだ。
ビッグボスという存在がいるらしい。そこへ一緒に同行してくれるらしい。どんな人なのだろうか。ビッグボスは洞窟の奥で静かに座っていた。近寄るとビッグボスは、タカミをじーと見つめてから、ミサンガのようなものをくれた。うでに付けるタイプらしい。
「何年続いてる部族なんですか?」
思い切って聞いてみる。「1年以上はたっている。ビッグボスも入れ替わって行った」
「すごい長い民族なんですね」
「その間、部族同士の争いもあった。しかし、今はすっかり落ち着いている。」
「君は船旅をしているのかね?」
「そうです!」
「色々な文明にふれることになるだろう。それを自分にしみこませれば、きっと自分に良い事が起こるだろう。今日はここで寝て行きなさい」
案内された。草を敷き詰めた所でタカミは酔っ払っていたこともあり、すぐにねてしまった。
いつまで寝ただろう。
気づくと、船が出てしまう!タカミはいろいで寝床をあとにし、船に乗り込んだ。
「ありがと~~!!」
タカミが礼をいうと先住民は槍をあげて応えた。
そのまま船は出航し、第2の都市に向けて帆をかかげた。
1日目から刺激を受けた。次はどんな場所なんだろう。栄えた街もあるはずだ。船旅は1年と長い。まだまだ序の口なんだろう。楽しみに寝室で寝ながら次の街へと船は向かった。
トッドのアトリエにトッドと紳士がいた。
「イマイチ調子があがりませーん」
トッドは筆をなげた
「タカミのことか?」
「何をしているのかを思うと神経が掻き乱れまーす」
「落ち着いて絵に集中するんだ」
「さっきから集中してますよ。でもなんかだめで…」
紳士は何も言わなかった。
ヨーコとピッケの2人は、タカミが帰ってくるまで居酒屋で働いていた。家でウジウジはできないらしい。元気に働く姿は天真爛漫といったところだった。
タカミに密着取材をする予定の記者もあてがうつもりだったが、色々あって断念した。タカミが拒否した可能性が高い。
タカミが寝ている内に第2の都市に到着した。客室船員もカメラを持って船を降りて行った。歳ほどの都市とはまるでちがう都市である。きらびやかな装飾の寺院、家、すべてが輝いていた。どうやら寺院に近い感じの都市である事が分かって来た。僧侶が、やはり美しい装飾でみを包みすれ違う。僧侶は客員をまずは一番大きい寺院に招待した。ひときわ大きい寺院である。タカミはワクワクした。天井には、細やかな宗教画が書いてある。どれくらいの年月がかかったんだろう。
「普段我々は毎日ここでお祈りを捧げます。神のみ言葉を聞いて、1日をスタートさせるのです。」
「神は語り掛けてきますか?」
「ええ」
大分重要な場所なんだろう。
「お腹が空いていると思いますが、僧侶は小食です。お口にあわないかもしれませんが…」
客員は料理が並んだ部屋に連れてこられた。たしかに量は少ないが、「料理をひとかみすると、神聖な気持ちになれるのだった。
この都市には僧侶が千人はいます。すべて階級は決まっており、毎日鍛錬にいそしんでいるのです。
しずかな街だ。そういっているうちに船の汽笛が鳴った。移動する時間だ。
「すごく不思議な気持ちになりました。ありがとうございました!」
「面白くない都市でしょうけど、思い出したらまた祈りに来てください」
船は2日間かけて、第3の都市に向かっていた。客席船員の中ではもうバテている人がいたが、あれじゃあ仕方ない。バテた人は都市に降りずに静養する手段もあった。だが元気なタカミは3つ目の都市を楽しみにしていた。案の定到着するまでは寝ていたが。船の汽笛が鳴ると、第3の都市に到着した。一目見ただけで分かる、ドワーフの街だ。漁港なので活発に魚の取引が行われている。
「お、客員がきたか」
1人が言ったかと思うと、ドワーフが1人近づいてきた。
「見た通り漁港街だ。上手い魚もたべれる。ソーセージもな。こういう街に来たかったろ?まずは一番大きい市場を案内してやる」
そう言ってドワーフは活気ある市場にやってきた。
「取引できるものはなんでも取引できる。アワビやカキなんかもうまいぞ」
見ているだけでよだれが垂れて来る。
「しかたない、もう食事にするか!客室船員どもはついてきてくれ」割と近くにある食堂にいくと、おいしそうな料理が沢山並んでいた。「食ってくれ。おかわりも自由!」
第二の都市で少ない料理を食べたので、今回の食事は大胆で食いごたえがあった。
「どんどん食ってくれ!」
いせいのいい声である。たっぷり食べたタカミはしばらく動けなかった。
漁港ではあるんだが、離れると鉱山もあるし、敵が出て来るダンジョンなんかもある。
タカミはピクリとなった。
「ワタシはダンジョン経験者で、スキルも持っています!」
「ほう…もぐるかね?」
大分興味が引かれたので、
「パーティー作ってくれるなら、入れます!」
ドワーフもこういう性格である。
「よし!いっぺんもぐってみるか!」
声を掛けると、4,5人のパーティーが集まった。これなら余裕だ。
「体験版だから装備はしないで行くぞ!5階からはじめよう」
敵は余裕だった。5人もいたからからかもしれないが、しばらく楽しい時間を過ごさせてもらった」
「いやーなかなかやるな」
「いやー初心者です」
そんな時に、船の汽笛が鳴った。もう帰ってしまうのか。正直もうちょっと滞在していたかったのだが、仕方ない。
「また遊びにきますんで!」
「おう!いつでも来な!」
タカミは走って、ギリギリに船内に入る事ができた。これ、間に合わなかったらどうするんだろう。考えると顔が真っ青になった。
「飲めりこみすぎなのかな」
「気にせんでええ!はよいそげ」
タカミは猛ダッシュで船まで戻ってきた。次は7日もかかるらしい。こういう時は寝るに限った。ほとんどタカミは寝て過ごし、客船の中にはあまり顔を見せなかった。
一方トッドのアトリエ。トッドは完全にスランプに陥っていた。
紳士は言った。
「どうした」
「もうダメでーす。タカミがどんなに楽しいことをしていることを考えると、筆がまったくはしりませーん」
「わかるが、気にしないことが一番だがな」
「しばらくはかけませーん。しばらく寝てインスピレーションを得たいと思いまーす」
「そうか」
タカミは7日かけて次の都市に向かっていた。次はどんな楽しいイベントがあるんだろう。やはり船旅を選んで本当に良かった。
こわいほど順調なくらい船は移動している。このまま順調に船を走らせて欲しいものだ。
新しい体験へ向けて、タカミの冒険はまだまだ始まる!
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