最強の助っ人、ヨーコ

「そう言えば名前聞いてなかったわね」

「ヨーコって言います」

「良い名前だね。呼びやすいし。私はタカミね」

「はい了解しました」

タカミはアトリエで絵を描きながらヨーコに、

「じゃあ今日はコレを着て」

と、タカミはボックスを手で押した。

「こ、これは…」

箱にはバニーガールの服が入っていた。

「ほらギルドからの帰り道で3サイズ聞いたじゃん?だからオーダーメイドなのよ」

「そうは言っても…」

「着替えないと日給無しよ」

ほぼ半強制的な代物である。

「ここで着替えちゃってね、残り部屋ないから」

「は、はい…」

タカミはイラストに集中している。まな板の上の鯉状態だ。

「着てみましたけど、どうですか?」

「お、いいじゃん~もっと胸を寄せてみて」

「恥ずかしいですよ~」

「じゃ今日から頑張りましょう!」

私はアトリエでコツコツと絵を描く。その間バニーガールにレジ対応をしてもらう。もちろん客を増やす目的もあるけどねw

入ってきた客は一瞬固まる。

「タカミさんじゃない!」

「えっと…今日からヨーコが担当します。どうぞよろしく」

「冬にバニーガールなんて、タカミさんもいけずやなぁ」

「で、でも似合ってるんだな」

女性の絵をいつもより高く買って行ってくれた。

私にも出来る事があったなんて。楽しくやってる。

「あの、写真いいかな?」

「写真はNG!」

遠くからタカミさんの声が聞こえる。

「はは…NGみたいです」

「残念この上なし…」

そう言いながら3枚の少女絵を買う。

少年の絵は夕方から夜に腐女子が来て買って行ってくれる。

ヨーコのおかげで絵も随分はかどった。

「あの…タカミさん、絵、全部うれました~」

「オッケーお仕事終わり!しばらくバニーガールでいきますかぁ」

「恥ずかしすぎなんですけど…」

「その恥じらいもいいよー」

タカミはまたオス化していた。

「うちは日払いだから、レジから2万ウーロン取って帰ってね!」

「いいんですか?嬉しいです…」

「何か買う予定でもあるん?」

「ラーメン好きなので、ラーメンを毎日食べたいです」

「太るよ~?」

ヨーコは、

「確かに太りそうですね…週1ぐらいにいきます」

「まあそんな感じで…ちょっと待って9万ウーロン以上買ったら写真OKにしよう!」

「それも、はずかしすぎです!」

「減るもんじゃないし、いいじゃん~決定」


恥ずかしい約束をしたヨーコは速攻で着替えて帰っていった。

「今日も沢山売れたね。バニー様様です」

レジから基本金以外のお金を取り、金庫に入れた。

明日からもバニーでいこう。その次は…考えてないけどまた良い物着せよう。

ストックも充分描いたので早めに寝れる。夕飯も食べようか悩んだけど、『太るよブーメラン』が頭に刺さるのでお水だけにした。

こんなに早く寝れるなんて何日ぶりだろう。布団に入ったら即寝息を立てた。


翌朝―――――――――


早朝に起きたのはいいけど、最近どんなシチュエーションにするか悩むようになった。スランプである。一応ストックは昨日上げた。城跡にいるお嬢様風のようなものも描いてみたが、

「これじゃない感なんだよね。いや売るけどさ」

剣をふる女剣士も描いたが、やっぱりこれじゃないと思わせる表情を漂わせている。

求められているのはとにかく可愛い美少女、幼女なんだ。それだけでいいんだろうか。

考えているとヨーコが出勤してきた。

「おはようございます」

「おはよ」

「あの…またバニーでいくんですか?」

「9万で写真ありのポスター貼ったよ」

「もうー恥ずかしいですぅ」

「2万ウーロン即金だよ?それもよーく考えてね」

「はぁ…」

今日も開店から人だかりができてる。

私は入り口のドアを開けて、言った。

「外でもちゃんと列を作ってね。5人ごとに入ってもらいます」

皆グチをいう者はいなかった。

「あと5分待っててください」

「あ、またバニーさんがいるぞ!」

「まじかよすげー」

「9万ウーロン以上を買っていただいた方は写真OKです」

「9万かあー」

皆悩んでいた。5分経ったのでオープンの看板を回す。

「5人までですよ~」

そう言ってガレージを開けた。

どうしてもバニーさんにお客さんの目がいく。

「この9万円ウーロンの絵でカメラおねがいしゃす!」

「は、はい…」

男はパシャパシャ取っていく。

「もっとこうかがんでみて」

「こうですか?」

パシャパシャ撮る。

「そこまでにしときな!」

アトリエのタカミさんが凄い形相をみせている。

「はい…9万です。はい」

「ありがとうございます~」

もう大胆なポーズはご法度と思うと、なかなか写真を取りづらい。

6万あたりで妥協しとくか…そんな雰囲気になってきた。

「となりで腕組みして撮るのはOK」

またアトリエからタカミさんの声がする。

「腕組み!」

されたい…お客はやはり9万ウーロンで勝負に出た。

「腕組みして、もっと寄って寄って…いいよ~」

パシャッ。1枚で満足したお客なのであった。

「いい匂いがする…」

ドンドン絵は売れていく。でももう絵としては誰も見てくれていなんじゃないかと思い始めるとイライラがマックスになり、ついにはふて寝してしまう。


「ミさん…タカミさん…」

「ううん?やっば超寝てたわ。売り上げは?」

「今日も完売です!」

「よっしゃー!じゃあレジから2万ウーロンだけ引き抜いてね」

「…はい!」

ヨーコは着替え、喜んで駆けていった。売上金はいいけど、寝てたせいで今日はストックがない!焦った私は作業しようと立ち上がったのだが、お腹が減り過ぎて倒れそうだ。そんな時深夜食堂を思い出した。あそこでたらふく食って寝…いや作業しよう。

上着を着て外にでると今日はやけに風が強く寒かった。マフラーもしてかないとだめだなこれは。

いつもの通り道に、赤提灯が赤く光っている。

ガラリと開けて、

「こんばんわ~」

と声を掛けると、

「いらっしゃい」

といつもの不愛想さでお迎えしてくれた。

「とりあえず豚汁とライスを…」

「あい」

10分が1時間2時間にも感じた。私今、相当つかれているな…。

「豚汁とごはんとお新香」

湯気満載の豚汁が最高にうまい。ごはんがすすんでしまう。お新香も先に出されて助かります」

もう少しで食べ終わる頃に、

「カツオのたたき丼」一押しメニューなのか?最高においしそうだ。醤油がほんのりはいったかつおのたたきがほっぺがたれてしまう。ご飯の量は減らしてくれていた。

「最後の一声!」

主人は迷わず作業にはいる。

「お茶漬け」

〆には最高の食事です!はい!

「いくらですか?」

「4950ウーロン」

ええ!これだけ食べてこの値段!有難くチップ入りで支払い外をでた。

寒くならないように小走りで走り出す。店はもう前だ。ガレージを少し開け、そのまま閉店ガラガラだった。

周りはおそろしい程。静かだ。アトリエで振り返った絵が買きたくなった。「真珠の耳飾りの少女』のような絵、でも色はモノクロというベタで行く。

明日はオークション形式で売ってみたいと思い、明日にかけて眠ってしまった。


翌朝早く話私は、準備にとりかかった。

「おはようございます~」ヨーコも普段着で現れた。

「今日でバニーは卒業だから頑張って!」

「はい!」

「お集まるりの皆さん、今日は一つしかありません。しかし気合いを入れて描きました。バニーガールが来たら早速開催します。第一回オークションを始めたいと思います。取材人も何名かでてきた。

そしてバニーガールが現れた。「おおっ」とどよめきが起こる。

「絵はこれです。真珠の耳飾りを着けた少女のモノクロ版です。カーテンが開いた。取材陣は写真をパシャパシャ」と取っている。

タカミは言った。

「わたし自身この作家が大好きでして、オマージュという意味合いで描きました。かかった日数は7日です。」

(社長12時間で描いたじゃないですか)

(いいのいいの!はく付けよ)

最高価格にはほっぺにキスと、おモッキリハグできます。絵の価値も今後伸びるかもしれません。タカミは今や知らない人がいない人物となっております

「2万ウーロン!」

「2万でました」

「5万」」

「5万出たほかにはいないか」

「10万ウーロン」

「はい15万ウーロン」

「15万出た15万さぁほかに居ないか15万以上!」

「50万ウーロン」

ざわついた。その先には白い紳士の姿があった。

「急進50万でたが、他にいないか50万」

「70万ウーロン」

また周囲がざわつき始めた。

「くそっ」

「90万」

白い紳士はやめなかった。

私はフラフラして現状を理解できないでいる

「100万ウーロン」白い紳士にもさすがに汗が滲み始めている。

「さぁ100万以上いないかいないか、ハンマープライス!」

周りから拍手が起こる。

紳士は明らかにイラついていた

「仕手筋じゃないだおうな?」

「仕手?よくわかりません」


「私はあの絵を50万予定で買うつもりだったんだ。くっそ」

「あまりおこらない方が…」

「50万稼ぐのにどれだけかかるか知るまい」

「逆にしりたくない…かな」

「まあいい、明日ロンドン行きの船に乗る。準備はいいか?」

「バッグ2つになっちゃいますけど大丈夫です!」

「当日はバッグを持ってやろう」

「あと、ヨーコって言ったっけ?そいつにも説明してやれよ」

「ヨーコも一緒にどうですか?」


「いいか遊びに行くんじゃないぞ。大量生産して現地で大儲けすビジネスなんだよ」

「軽はずみでした…」


「まあ当分は着かないから、船に慣れていてほしい。では。」

紳士は居なくなった。思ったより大きい船だ。なんていう級なんだか忘れてしまった。とにかく後ろには進めない。お店の看板には、「本」を作るためロンドンに1週間いきます。大量の本がでますので、ぜひ1冊買ってください。タカ三」


ヨーコは看板をみて、」

「タカミさん…」

とつぶやいた

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