お店、オープン!
私はギルドの喧噪の中、何とかお手伝いさんを4人見つける事が出来た。
ギルドの中は1階がバーとパーティーマッチングの階、2階が宿になっている。
私はお手伝いさんを見つけると早々にギルドを出た。
「もみくちゃにされた…」
「店長、明日のスケジュールを決めようぜ」
「そ、そうね…あなたはとにかく店内の埃を払って綺麗にして下さい。あなたは外側の上の看板づくりをして下さい。残りの2人はカウンターを作ったり木材を使って内装を切り貼りしてください。具体的な事は後で説明します」
早口でまくし立てた私は過呼吸になった。
「まあとりあえず今日は解散、明日全部作るから早朝から来て。2日酔いで来ないでよ?」
「ういっす」
皆チリジリに帰ってゆく。私は馬車を待っていたがなかなか来ない。
「ここからモーテルまで徒歩なんてとんでも無いわよ」
30分ほど待った所で、ようやっと馬車がやって来た。
「いよう待たせたなぁ」
酔っ払い…最低。
「お酒飲みながら運転するなら、他の馬車と契約するわよ?」
「まあそう言うなって。ピロリールなんて水みたいなもんだって」
ピロリール?もしかしてビールのことかしら。
「とにかくモーテルまで安全運転してよ」
「はいよ、そらっ」
結果論だけれども安全運転で何とかモーテルには辿り着いた。
「今度飲酒してたら首よ!わかった?」
「あいよ」
そう言うと馬車は森の中へと消えていった。私はお腹が減っていたのでダイナーでチリ・ホットドックとハンバーグ、それからダイエットコークを頼んで解放された。
明日から1日でやるから大変だ。ここはひとつ早く寝るに限る!睡眠だけが味方だから。
お勘定を済ませると駆け足で自分の部屋に入って行った。
明かりを付けてパジャマに着替え、時計を見つめた。
「14時間×2になってる…」
ということは、この世界は一日28時間なのか!当然ながら知らなかった。
余計な事考えずに寝てしまおう。起きたら早朝になっているだろう。
今日も疲れたのでスッと眠りに落ちた。
寝ている途中に目がさめた。明日、モーテル作りになるので明日まで1泊していく予定。私は朝からリクエストイラストを描いた。力を入れないといけないゾーンだ。
2時間ほど描く。
「ふう。他にも何か描かなくちゃね」
店に並べる用の絵も描いてゆく。時間を感じず、静かにペンをひっかく音しか部屋には部屋にはなかった。
朝。ダイナーに行った私は、今日は体力がいるのでビースステーキを食べた。
「明日に向かって体力つけなきゃ」
主人が訊ねた。
「あんた絵売るんだって?」
「あ、はい」
このモーテルに支払った残りの7日分は、念のためそのまま契約しておいた。ぎりぎりのままである。
「もう、すぐ寝よ。」
パジャマに着替えた高美は即座に眠りについた。
翌朝―――――――
馬車で噴水に行くと、4人ともちゃんとそろってきていたので安堵する。
「遅れてすいませんー(汗)」
「おっす」
早速指示していく。
「あなたは内部を綺麗にして下さい。あなたも変わらずドアの上にある看板つくり、
残りの二人も店は掃除をしたら内装を作ってください!頑張りましょー!」
「ういーっす」
さっそく職人AとBとCは、中に入って各所を拭いていった。縦長まであるので、少し手間がかかって申し訳ないと思ったけど、寝るのでどうしても埃は敵なのだ。
Dは持ってきた木をチェーンソーで加工して横長の看板をつくっていた。
1時間半後――――
「みなさん休憩してください~お茶とお弁当ありますよ~」
「感謝っす」
皆でお弁当を食べながら、談笑する。
「看板を担当されている方、終わったらわたしが紙を用意したので、これを敷いてから、スプレーをかけると絵と文字がくっきり絵と文字が出来るんです!」
「知ってるが、紙を用意したのは大変だったっしょ」
「1時間で出来ましたけど、難しかったですよ…」
「え、一時間で?」
「はい…」
さすがプロ、パないと思った。
「じゃあそろそろ始めますか!ゴミはこの袋に入れてください」
ゴミを回収してから、お仕事再開だ。
「タカミさん、掃除終わったので確認してください」
「どれどれ…」
みちがえてるような綺麗さになっている。5分ほどウロウロした後、
「問題無し!じゃあ3人さんで店内の加工をしてもらいます。まずはカウンターですね」
次々と作業を指示していく高美。どんどんお店が出来上がってゆく。
看板にぴったりと紙を置き、黒いスプレーで吹き付ける。紙をよけると…
綺麗な文字と絵が現れた!
「悪くないねぇ」
「じゃこの看板を2人で付けてくださいね。脚立あります?」
「もってるっす」
作業員が看板を無事打ちつけて、看板は出来上がった
『タカミのお絵描き屋さん』
綺麗だなぁ…。
「すいません内装で質問なんですけど…」
「はいはい!」
…こうして高美のショップは出来上がった。床にはパズルのような板を敷き詰めてカラフルにしている。内装は空と雲をイメージしてペンキで描いてもらい、仕上げは私が直接スプレーした。
我がお城はこうやって見事かわいいお店に変わった。
おっと、おトイレはシュレッダーだ。よしよし。
レジスターもちゃんと入っている。いいね!
寝る場所にもパズルクッションが敷き詰めてあり、作業用机も広く、満足した。
さっそく明日からでも開店してみよう。
「作業員さんお疲れ様です!ギャラをはらいます」
3万ウーロンを4人に渡す。
「ありっす」
「また困った特はまたたのまッす」
作業員はそのままパブに入って言った。
順調にいって良かった。さあ明日までに絵を沢山描かなくちゃ。
もうあのモーテルにはもったいないけど、もどらない。道具が入ったバッグも今日は持ってきていたから、もう戻る事はない。
そう思うと、以前開いてたミートボール入りスパゲッティを思い出してお腹が鳴った。食べてから描いてもいいよね?足早にお店まで行く高美なのであった。
ドアを開けるとチリンとベルが鳴った。
「お、タカミちゃんじゃないか」
「いらっしゃい」
今日はお店の中にお客さんが楽しそうに騒いでいた。
料理を出した奥様に、
「お店やるんですって?」
「そうなんです!しかも明日…」
「体を休めたほうがいいわよ。寝る為に良い事は、おいしいものを食べること!」
「その通り!」
主人も夜なのに勢いマックスなのであった。
スパゲティはもちろんミートボールで美味しさを増していた。前回より多い気が…。
私は何も食べない日もあったり、たらふく食べる時もある。まてよ、それが体重あがってる原因なのかもね…できるだけ朝、昼、夜ごはんに気をつけなくちゃ。
でも夜はがっついちゃうよ~。そんなわけで、ひたすら巻いて口に入れるのであった。
客のヒグマと白熊が、
「今日あそこ改装されてるなーと思ってたけど、もう明日スタートなのかい。見に行ってみるよ」
「ありがとうございます!」
そんなわけで、ついスパゲティを食べながら談笑している内に睡眠時間は刻々と無くなっていった。
「あとあのー言いづらいんですが…店にポスター貼らせていただけませんか?」
「このポスターって、何枚も全部手描きなの?」
「そうなんです…百枚くらいかいたかな…あはは」
「そんな頑張ったんなら、もちろん貼ってもいいわよ。ね?あなた」
「おう!すぐに人が見に来るぞ!絵のストックはあるのかい」
「それがまだちょっとしか…」
リクエストを描いてた頃、自分の絵を描いてないと気づき、正直、焦っていた。
「
「ほい、楽しみにしてるわね」
食べ終わった私の体はジョギングも相まって温まってきていた。
「やるぞー!」
私は完成済みのお店の奥にあるベッドでさっさと眠りに落ちて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます