641 楽しくできたかな。

これから山下りの7区、楽そうに見えるけど下半身の負担が大きい。

進むチカラが弱い人にはツイツイ踏み出せちゃうから

いい気になって、タッタカのペースで楽しく出来ちゃうかもしれないね。

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 ちょこ〜とトラブルはあったけど、海のキレイさは伝えられたし新しい休憩所の形もテストができた。

 いつも色々と盛り込み過ぎみたいだけど、あえてマイナスして、ユッタリ空間だけってしてみたら良かったって事らしい。

 これはリゾートで得た経験。与えるモノは外に求めればいい。

 例えばココの場合。景色がキレイであればそれでイイんだよってした。

 動物もいないし、お花畑もない。食べ物は軽食だけだし、遊びも無いんだよ。

 ムズムズするけどガマンした。


 序盤の問題連発で実況の子達に嫌われて、とうとう画面にも登場しないし、用意した台本のほとんどを使って、子どもの走りだけになっていた。

 お話しをふくらませて、退屈なウンチクやツマンナイ世間話の台本を面白くしてくれる。チョコチョコ出てくる仕草しぐさも可愛いいね。

 だから見に行かないで商店街の広場で実況だけ聞いているって人がいっぱい。

 臨場感は行かないと得られないけど、走っているから通り過ぎるのは、あっという間だから、トップはとか他の人とか、今どんな状況というのも分からないよね。

 う〜ん。応援の人達にも実況聞かせたいんだけど、どうすれば・・うん、逆にもすればいいのか。


 あまりに子ども贔屓びいきかたよった内容だから次の人には公平にってお願いしといた。ネタ台本も、もうないし。

 まあでも注目するところはある。仮定なんだけど期待しているのが7区の下りに登場する教授達で頑張って2人で繋ぐ。

 丘区間は休憩所があるからってことで小さい子達ががんばってた。それがほのぼのしてて、しかもトップ争いだったしね。登りで刻んだ分長めの距離にしたけど、ダレる子はいなかった。

 冬は天気のいい日にグルリと学校内を走って練習した成果かなあと。

 こういうことしないと、いつも同じ場所ばっかりだから、楽しいとこあるよって見せる目的もあってね。

 行き帰りが同じルートをなぞるだけってつまんなくない?


 小さい子ばっかりだったから、中盤で追いつかれているんだけど、限界って感じの大人達と笑っている仮装の子ども達の構図が危ない。

 大人の方を映せなかった理由はそれもあるってことにしてね。

 走っているときにジャマになった上着とか、給水場で渡されたヒモ付き飲み物とかがジャマって、ポイ。

 かっこ付けでしてたサングラスとか、抽選組とかの仮装品やハチマキとかもポイポイする。今日は暖かいし、暑いよねえ。

 アレは後続の人達に危険だし、その後どうすんの、誰が拾うの?なのでペナルティが付くし、実際巻き込まれてケガになったら賠償も発生するって規定してる。


 見てくれている人がいれば拾ってくれるけど、レースだからイベントだからってポイ捨てが許されるワケはない。お祭りの後の惨状ってやつ。

 そのために子ども達はリュック背負っているし、ウッカリでもゴミ落としたら拾ってねっていうのを学校では約束にしてる。

 街で道路に汚物を捨てる、ペットのウンコをさせたまま、マーキングを当然ってしている。

 タバコを歩きながら吸うとか、吸い殻をポイ捨てするとか、チ〜ンしたのをポイとかね。何かした跡のゴミの散乱、いやいつもだ、がヒドいとかが僕のいた地方では普通で当たり前してた。


 それがヤだったんだよ。聖国では割とキレイだったけど、何でも側溝に捨てるから河が詰まって腐乱してスゴイ事になった。

 僕が密かに決まりにしたのがポイ捨ての禁止(ゴミ箱の設置)とゴミの分別と肉の部位は取れるだけとって、処分するなら生ゴミにして肥料化、生ゴミは全部ね。

 ここに来た時には街はキレイって感動したし、手が汚れていないし、食前食後にも手を洗って、携帯している布で拭く。

 商店街ではイベントして決まった場所に捨てるってことがちゃんとしてる。

 アイドル達がそうしてって言ったとか、お姉さん達にコラ〜されたからとか、ポイ捨ていけてねえって、忍者な人達に言われたからかも知れないけど、他でやるお祭りの跡はゴミだらけ。

 次のことを聞かなかったのは、たぶんそれもある。


 あの人達、走りながらポイポイ捨てる。とうとうそれに足を滑らせて、転倒する人も出た。なのにゴメンネもしないで行っちゃう。人としてどうなのって。

 転倒した人はシップして包帯とテープで固定。

 また走り出したけど、ムカ〜は無くて「しょうがない」って。

 良いのか悪いのか。事故を引き起こしたってことでペナルティが加わって、他の人達も交代で待ちが普通になってきてる。

 去年もあったことで、ルール化するとハッキリ分かるってだけで、見ている人達にも何をしたって表示や記録で分かるようになるの。

 ルール違反をこれこれして出発できないってことがね。


 教授はね。理論通りにすれば速くなるって言った通りだったんだけど、自分達ができていない。

 それを子ども達は何でとは聞かない。進まないのが不思議だし面白いからって。

 今年は体力が付いて、考えと身体の動きが一致してて、進まなかったのは、たぶん気持ちだろうから、この区間にするようにお願いした。

 思った通りにできない気持ちを下り坂が後押しして、カッコイイポーズ通りにグイグイ進んでいく。とうとう他の人を抜いたときには大歓声が起きた。


 坂を速く行くには下半身筋肉が大事なんだけど、これを見越して腹筋背筋に下半身強化をしてた。

 1年がかりなんだけど、テーマを絞ってプロテインも飲んでいたよ。

 その割に肉は付いていないんだけど、体調不良になることはなかったし、お外で長く立っていてもクラリすることがなくなったみたい。

 成長期にしっかり栄養を摂っていなかったからかなあ。

 でも目論見もくろみは大成功! きっと明後日あさってから数日は筋肉痛になるだろうけど、この成功が今まで進まなかったノロイをはらってくれると思うんだ。


 ちょっとなごみ枠だった教授だけど、イベントでカップル成立とかもあったし、アイデアのロイヤリティも支払われていて、頭良いし、何か背が高い人が多いし、知的な小金持ちってことでオススメ。

 条件の割にモテないけど、これで少しは良くなるかなあって、そういうの分かっていないけどフリはしてみた。

 カッコイイのは走り出しだけ。あとは爆走ゾンビみたいで、坂に走らされてる顔は映さないでね。


 坂はちゃんときたえている人が強い。7区ゴールは順当な順番になっていて、さすがって思う。

 去年は10KMくらいトップとドベの差があったけど、1KM内にほとんどがいて、オシリが少し離されているって感じ。

 トップグループは一塊ひとかたまりで・・って子供ちゃん枠内のことで、この5人はずっと付かず離れずだった。

 実況はワザとごちゃ混ぜな言い方にしてたよね。


「例によってペナルティで強制待機の後の走り出しです。ホントりないとというかヒドいものですねえ。

 はじき捨てみたいに思っているようですが、この累積るいせきが来年にも反映されるんですよ。名前を変えてもおおむね同じチームってところに倍で加算されます。

 ラクラク予選通過だった人達も安全とはいえない負担になっていて、抽選選抜も見直しされるんじゃないでしょうか。今もりていませんしね」

「昨年、このペナルティ規定はなかったのは『大好きな街の人達がゴミをポイ捨てしたり、決まりを破るはずはない』ってことだったからだそうです」

「うわあ、信頼を裏切ったってことですか。アノ子の? それは大罪ですね」

「そう大罪です。来年後悔しやがれ。・・あっ、ほほほ」


「ラスト近くの大事なところですが、何処どこにエースを入れるかがポイントになりますね。どのチームも9区、あるいは10区のどちらにするかってようです」

「スタートダッシュでも準エースを入れて、ペースを握るというやり方もしていたのは子ども達チームでしたけど、どこも同じことをしてて差が付きません」

「あれは5チームで相談しちゃって、メンバー選抜もしてバランス良い振り分けをしたからですね。仲良しだろうけど戦術まで話し合っていたらこうなります」

「7区に教授を置くのは希望が来たかららしいですね。教授が初めてカッコ良かったです。その様子はヒドかったんですが本人達に悪いので秘密です」


「この辺りはキレイに整備されていて住民を待っているようですね。

 これから工場や工房が造られて、大きな店などの計画があるそうです」

「わあ〜。ステキですね!」

 ちょっとワザとらしいよねえ。今は道しかないから、どう表現するか苦労しているんだろうけどね。

 丘ルートの時の子ども推しをして、対岸が良い場所ってイメージを作れたし、あの時間って湾がキレイに見えるんだよ。

 何か悪いイメージを持っているのは震災もあっただろうけど、それ以前からあまりよくない。内陸重視っていう現政権の海嫌いは相当なもので、前政権がのろいとかで消えたとでも思っていそうなんだよ。

 前政権が情報を重視して、重用した忍者を結果的に大きくした。

 それが細長いだけの国を強国と呼ばれるまでにしたと思っていて兵力が劣っているのを連戦連勝にしたのも情報があってのこと。

 忍者の秘伝書を見る機会があった時の内容は、この国が実際にした少々トリッキーな方法で、少ない兵力で大群を翻弄ほんろうする方法が書かれていた。


 きっと戦略参謀までしていたんだと思う。

 だってねえ。盗賊村襲撃のあの人達がお間抜けで中堅クラスまでいたはずなんだけど、ほぼ野盗のような戦い方だったんだよ。

 それでも貴族のボンボン兵は一蹴いっしゅうした。個々のチカラの差が歴然だったもの。

 考えない戦い、甘い訓練、戦術の知識がなくても勝っていたっていう昔の記憶。

 イッセーノセで言われたことを順番にやればイイだけの作戦。

 外注が完璧で、仕事を失わないために何でもしたから、自分達が優秀と勘違いしてたんだよね。


 その後は悪さをさせないように誘導して半年以上待機させて、考えを少しずつ変えさせていった。

「悪い事をしたねえ」「このままだと逆賊ぎゃくぞく」「時期を待って国を変えよう」

 貴族兵をナイナイしたのは弱かったからと来る途中で悪い事をしてたって聞いたし、実際に村娘をさらっていた。

 自分達も戦いでおかしくなって帰りに村を襲っていたんだけど、これを押し付けようってことにした。悪いのは貴族達、それに国だって。

 そういう流れは予想していたから、ウワサと情報や本を津々浦々つつうらうらまでほぼ同時に届けた。

 お世話をしてくれたのは、戦いのあとに保護された盗賊村にいた子ども達。

 罪悪感が良いエッセンスして、急に落ち着いて、村のために未来のために何かしようという気持ちに変わった。これからの事を「正義」って植え付けられて、効果が良すぎて暴発しそうだったから前倒しで実施した。


 まだくすぶっている地域は少しあるけど、その後の国作りは仮政府が機能して今年には何とかなるかなと。

 さっさと小競こぜり合いを終わらせて、アチコチにずっと昔からある野盗の討伐、それにいたった原因の「貧しさ」を解消したいところ。

 建前はそう。

 このまま不安定だと街の拠点がいつか危うくなる。変わってすぐにとはいかないけど安定が進めば、偽装状態を解くこともできるし、その頃には生産が安定して売り先が欲しくなるだろうからね。


 8区になって、どこかおかしかったレースが体裁ていさいつくろって「何かありました」して、お行儀良く走っている。

 途中、道広がりは道の閉鎖しておくべきって言う人が出るだろうけど、応援する人達がいないと走りがダレるし、見ている人がいないとモシモに対応が出来ない。

 途中のポイントの人員の回収をして先に回す必要もある。

 ゴミをポロポロ落とすから、それを応援の人達が拾ってくれるだろうってね。

 現にそれでケガした人まで出た。

 前回もポロポロで、ケガが無かったのは奇跡というしかない。

 車やバスが行き来しているのは見ているし、重大な違反行為って念押しにもあることだもの。

 現実問題、長い区間を抜けなくスタッフを配置する事はできないから、応援の人達にそういうのを期待してるんだよ。


 整地されただけの場所だけど、ここの街路樹はズルして成長させているから、街中より雰囲気がある。まあそれしかないんだけど、緑っていややされるよね。

 現在のトップはケーサツチーム。

 追いつかないだろうと思っていたけど、例のアレで追いついた。

 市民チーム、農業ギルド、保険ギルドとか、役所有志チームとで先頭集団。

 会社からのもあって参加が幅広くなった。

 スポーツ大会が運動熱に関係しているとうれしいんだけどね。

 去年は埋もれていた保険ギルドが躍進したのは、バスを使わないで行き来をし始めたからみたい。あそこには坂があるし行き来が頻繁になったから運動になるだって。

 健康には良いし、大いに歩いてね。

 まあこれがルート変更したバスじゃ早く着くって理由じゃなければだけど。


 去年は一時的に2区分の差があったんだけど、今回はぎゅっとしてその中に子ども達もいる。

 去年はずっと良い勝負をしていたのが教授のところで順位を落とした。

 それを気にしていたのは知っていたし、さらに増えた枠でお仲間が増えて、理論実践だけではなく成果を出したいって練習をしていたんだよ。

 効果的な区間をお勧めしたのは僕だけど、ペース制御する筋肉が目標に足りてなかったから、どっかサボっていたんじゃない。

 運動していないなら、すぐ耐えられなくて転んじゃっただろうけど、予定完遂ではないだけで、しっかり下半身はきたえられていたから、止まらないまま交代地点を駆け抜けて、止まらないかもって、みんなでキャッチ体制をしてた。

 うん、限界を超えた走りはとっても速かったよ。途中何人か抜いて教授がトップグループだったんだけど、アレは見せちゃいけないヤバイのだった。


 8区ですぐ抜かれたけど、それがあって子ども達がかなり前の方。

 後半は元気いっぱいの大きい子たちがいつも以上にがんばってる。

 大人達もこの辺にエース級を入れてくるから、とっても速い。

 いつの間にか僕がいて、8区に入ったから迎える準備を始めてってした。この辺、限界付近で走っちゃう人が出てくるから、遠くに焦点を合わせて様子を確認して行ってしてる。

 やっぱりスタッフが足りなくて道の途中ではいないから、もし転んだりしても応援の人達が路肩に移動してくれる(かもしれない)だけで痛いの飛んでけ〜くらいしかできない。学校の医療部の何人かが行った。

 先ずは教授の状態。お見せできません顔で走っていたんだもの。

 その他グループが走っているところに随伴ずいはんして、すぐに対応出来るようにした。


 9区でスピードアップしたところがいくつか。今回は拮抗きっこうしているし、揺さぶりをかける意図でスピードを上げたりゆるめたりのようで、考えているなあって。

 僕は大人チームの事情は知らないから、へ〜ばっかり。

 学校で研究しているのは効率的な鍛え方とか、走り方だけだもの。

 走りの戦略ということを今まで誰もしてこなかったから、何かしてるっていうのがとても興味深い。あの横並びというのも、もしかしたら作戦だったのかな。


 子ども達のチームのそれぞれ一番速い子がまだ出てない、10区かなあ。

 大人達のは去年は10位まで表彰したんだけど今回は5位までで、ちゃんとクラスを分けたから、子どもクラスも表彰する。1位だけね。

 だって50人プラスサブで2人だもの。

 僕はあからさまに分けるし、それだからガンバル。勝ちを意識して考えて練習をして欲しい。精一杯やって負けてくやしいって気持ちはとても大事。


 9区で様子がおかしかった人はどうやら走り切れるようで良かった。

 10区で待機しているメンバーは僕の予想通り。途中のそれぞれのメンバーを見て、大人達大丈夫かなあって思った。

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駅伝回を終えるってつもりだったけど、終わらなかったよ。ゴメンネ。

走っているだけなのに問題起こしすぎなんだもの。

あと変顔も止めてよね。ビックリして医療隊を送るのが遅れちゃった。

次はちゃんと終わるから、また見てね。

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