637 プラコ改装アレコレ。

プラコは一時的に集まっただけなのに、どうしたいって言ってくれない。

今回みたいな計画は集まりだした時からあって

少し出し(拠点を2つ造っ)たら考えてくれるかなって。

あの2つは僕に必要なものだから、彼らの希望ではないの。

今回もそう。場所の選定は僕がした。

いいのかなあって気にするのは、ちょびっとだけね。

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 プラコはねえ。シェルターみたいなつもりで造ったんだよ。鬼さん達を保護しようって、半分だけの本気。

 僕のお手々は小さいから、そんなに広げたらダメって分かっているのに、必要って頭は気持ちを無視する。連邦が危機的状況でいつもなら差し替わる勢力がいるんだけど、今回はそれもないって実はかなり前から知っていた。

 聖国には各地からの報告があって、隣があやういとかダメそうっていう報告も来るから、該当国の報告との差でだいたい想像は付いていた、僕はね。

 いるって知らなかった役人達は頭でっかちだから、報告を鵜呑うのみにして問題なしにしたんだろう。結構分かりやすいと思うんだけど・・


 手を出したのは気まぐれと興味なだけで、やりっぱなしのつもりだったのに面従腹背めんじゅうふくはいで暗殺されかけたから引けなくなった。

 そういう意識はなかったんだけど、僕って早く出来る方を選択するみたいで必要と思えば、その結果がどういう事になるかってことまで分かってしてる。

 罪悪感なんかない、じゃなくて忘れてるの。ヒドイよねえ。

 シナリオを用意して鬼さん達を解放するだけで後は勝手にやってだったのに、悪い人を放置したままだし、ノルマ進めない。

 それじゃあ危ない(破綻と荒廃)から仕方なくだったんだよ。

 始めた以上は止まることは出来ないんだから、僕の基準でされたくなければ積極的にシナリオを進めれば良かったんだよ。

 なので、あのシナリオでは貴族が大部分残るようにしてた。目立つ巨悪は流石さすがにイイヨはできないけど、貴族っていうものは残るはずだったんだけどね。

 それがやらない。たぶんアレはワザとで自分だけは残るっていうあさましい計算があって、面倒な政敵を排除してくれるとだけ思っていたみたい。

 そんなことないのにね。


 僕はぷら〜んに何も思わないし、ここまで国が衰退したんだからシステムとして機能しなかった責任を取らないといけないワケで、今後を考えると働かないで良いことになっている特権は余計なんだよね。

 まあシナリオを進めればそれになるんだけど、穏便に着地することが望みじゃなければ仕方ない。

 財政が破綻はたんしているのを誤魔化ごまかしている状態なんだから、無料を止めないといけないし、それを施行してラクラク乗り越えられるように準備しないと大きな帝国が崩壊して北の広い地域を護っているシステムが終わっちゃうわけで、モタモタしていたらダメだった。

 ノルマとか期日とかを守らないって宣言したようなものだしね。

 暗殺が僕に口実を与えちゃって、責任を取らせる対象が広がったちゃったのも成り行きだからしょうがないの。


 その流れで何か面倒くさいのは、全部こっちに押し付けてシメシメって思ったんだろうけど、そうするとこっちに主導権も人気も奪われる。

 僕は鬼さん達のイメージアップをしたいんだから、僕をあなどっている政府のことまで考えたりはしない。

 面倒でも政府でやったぜってみせないと、民間にチカラを取られるだけじゃなくて、経済もにぎられちゃうんだよって、そうなってるね。

 目立つことをして、人気回復アンド聖国の影響を弱くしようとしたんだろう。

 逆にそれがトドメになって、悪だって分かっているけど部門の長としての力量で残されていたっていう「執行猶予付き」って事を忘れてなのか、それも復権するとでも思ったのか、くそ忙しい時期に多額の費用を掛けて余計な仕事を突っ込んだ。


 冬は終わりって広報したの、あの人達。久し振りの広報ってことで信じるかどうかで混乱したってわけ。

 北の地では冬が2ヶ月も延びたら、閉じ込められるんだしね、それだけ備蓄が必要になる。それを過剰にはしたくないし、政府の言い分なら春の準備の方をするべきで用意するものが違ってくる。

 生活を裏で支えてくれてた鬼達が今年に限ってウソを言うわけがない。

 迷いを先んじて「過剰になった分の物資は買値で引き取る」という契約をして購入のうれいを取るようにした。


 まあそれはいいの。買い手は保障してくれるんなら不安なく買ってくれる。

 では生産者の方はってなると準備が生活に関わってくるし、僕らも鬼さん達と関わりがないところの面倒は見られない。

 普通なら混乱するところだったけど、新参の辺境の国とヒツジの村のある国が聖国の暦を指示すると宣言して、冬の準備に入った。

 それで他の国々も追随して混乱が起きなかったってだけ。

 国がニセ情報を正式文書を作成して交付するなんておろかなことをするとは思わなかった。

 国のことに民間の会社がどうこうすることはしない。

 その後始末に隠し資金を掘り出されて、やってない人達まで巻き込んでダルマ落としの上の方を吹っ飛ばした。

 それがけっこう隠していて、春からたくさん必要だった資金をまた僕らから借り入れするのがちょっとで済んだってことは一部の人達しか知らない。


 僕らは当然ビジネスチャンスにして、あの人達が罪に問われるのを他人事ひとごとにしていた。隠し資産がどこにあるとか証拠とかはね。知らないの。

 それでも王制を形だけ維持したのはかしこい選択だったように思う。扱いはどうかと思うけどね。

 よくある混乱期に物資がなくなって都市部で困窮こんきゅうするってことはなかったどころか物資が良い感じにあって、今まで入って来なかった西側のようなものまで来るようになった。

 周辺部にも無職はいないし、熱くは出来ないようにしたけど満遍まんべんなく寒い冬ではなかったし、もるだけの日々でもなく案外楽しかった。

 夢破れて身体を壊して故郷に逃げ帰るってこともなく、しっかり稼いで帰ってみれば村には念願のボイラーが設置されるってオマケまである。

 はたして来たのが隣村のヤツで、今は商会に入ってアチコチにボイラーの設置をしてるそうだ。アイツたしか一緒にドカチンしてたよな。

 見なくなったと思ったら、就職していたのかって。


 じゃあこっちのを修理・・って言ったら「ゴメン。この機種の設置方法しか教わってない。修理するより新しいのにしてくれ」って。

 修理は経験と技術がいるから、ちょこっとケンシュウしたくらいで覚えられることはないの。知らない機種の調整だって出来ないと思うよ。

 いっぱい積んできてるし、新しい方が壊れないからって全部新しく変える。

 どうせ援助品だしねって軽〜く。

 汎用の機種がシンプルで、量産しているから一番壊れない。

 温度調節が自動では出来ないけど、窓を開ければいくらでも温度は下がるんだもの問題無し。

 無償というのは本体設置だけだから、お湯供給には使用料というのがある。当たり前のことで、ジャバジャバ掛け流しなんてことは出来ないよ。

 一見チマチマした行為だけれど、お金が掛かるとなると不要な暖房や無駄遣いはなくなるでしょ。事実、使用量が1割以下になった。

 設置がタダだから、あと全部フリーって思うらしいけど、物々交換や通貨の残りを超えたらお湯が出なくなるし、道具だから不正なことをしたら使えなくなるだけじゃなく色んなのを道連れにしてドカン(っておどしてもらってる)。


 それで検針という仕事が出来て、今までは外から来たのは肉体労働しかなかったけれど、給仕とか、オベントお届けとかの配達のお仕事が出来るようになったし、宿とかイラッシャイマセだけじゃなく、縁故な雇用ばっかりだった以外の会社の募集を集めて斡旋あっせんできるようにしてる。

 最初、国にやらせようとしたのに、これもウチに来てて人足から役人の募集もしてる。

 簡易クローネのバウムを働く人全員に持たせる計画だったから、都合良いといえばそうかな。

 通貨が足りないっていうのと手作業面倒めんどいってことで、役人の給金の支払いで導入して、もちろん僕らのとこもそう。

 大変なだけなら、しょうがないで終わりなんだけど、その分の人がいるし、僕らがザ〜っと突っ込むだけで、あっという間に計算が終わっちゃうのを見たら、自分達が何人もで何回かチェックもして、延べで考えると膨大な時間が掛かっているのに〜って思うよね。

 ちょろまかしてるっていうのまで分かっちゃう。えっと、運んできた人のポッケにあるよって。


 新しく仕事を作ったのもバウム払いだし、買い物をする総合店や周回道沿いの店も現金を扱わない感じ。いやいや使えるんだけど、慣れていない人達はリアルのお金だとすっごく時間が掛かるから、イラッとして釣りはいらんってするんで高く付く。

 レジ処理の速さが違うから、おのずとバウムを使うようになった。

 でも最初だけだもの。ひと月も経たないウチにサッとできるようになったんだけど、バウム払いの方がカッコイイからね。

 最初はバウムが進まなくて、それじゃ通貨足りないから、認証出来なかった期間に作った通貨まで納品することになったけど、新造なのに5年しか有効じゃないとかにいつの間にかなっていたんだって。


 面倒なこだわりとか、変なプライドとかがあると新しい事は受け入れてくれない。うさんくさいっていうのは自覚してる。

 かえって周辺の、後発になった街の方が普及度がずっと高い。

 この街には便利な地下列車があるとかも庶民だけ。お金持ちは自前の馬車で保有コストは掛かるし、待ち合わせ時間に来ないんだけどって事も楽しいらしい。

 冬は馬車を出せないから、ずっともっていて夜のキレイな街を見ていないの。

 そういうものだよね。


 新通貨も潤沢じゅんたくとはいえないけど、行き渡るようにはなった。けどこれで首都のキャッシュレス化は遅れる気がする。

 庶民はもっと進んで、リアル通貨は扱わないって店も出てくるんじゃないかな。

 どうせお金持ちは店には来ないし、レジレンタルが安いし、強盗対策や万引き対策もできるなら、犯罪者を作らなくて済む。

 大いに勧めている理由は他にもあって、これに住民登録機能を持たせていたり、ほかにも保険の契約があればとかだけじゃなく、健康診断の結果とか、職歴や学歴情報も溜まっていって管理っぽくなっちゃうけど、国には情報を渡さないよ。


 カッコイイとされているステータス機能には、ここの人達用の情報が出てくる。

 お小遣い帳やスケジュールに連動したアラーム、連邦になってから付いた個人番号、よく書き間違える自分の名前とか住所とか、まだ読み書きが怪しい人は見ながら書くことも出来るし、僕らのところならペーパーレスかな。


 戸籍が実はないって人が多い。帝国は申告制でやっぱり人頭税だから庶民は人数分の登録はしないし、引っ越しされて納税がとどこおったのを探すのが大変〜だったんじゃないかな。

 貴族は血縁じゃないとか、親戚から来たとか、隠し子もいるし、偽名用に戸籍を作ったりしてて、とにかく実態がワヤヤだった。

 色んな都合で役人を登録して、さらにバンコも導入した。

 お金運びは小悪党を捕まえる口実にはなったけど、手間とミスが多くなる。

 支給情報を書き変えて、長期に荒稼ぎをしていたのとか、自分の給金を水増ししていたとか、なんかの腹いせに削るいうことがまかり通っていたらしい。


 これはうちに差配を依頼されて分かったことで、結構あちこち腐っていたみたい。それが発覚しなかったのは明細を出さなかったからで、人が少ないとか、そうなっているって言われたらもう調べないだろうね。

 経理関係の多くが処分されて、さかのぼって、関係まで判明してグレーになったのが多くいた。かすめ取られた分はいずれ戻されるけれど、加害側はすぐに返せるはずもなくて、給金明細の返金という項目に青くなる。

 もちろん利子は付いているし、長期ならすごい金額だもの。利益供与とか分も関係者に重複して乗っている。

 エライ人達にはやらなかった責任も按分あんぶんしていて、支払えないと罪に問うことにしてて、かなりの人達に返金項目がある。

 みんななら罪悪感より早く返済ってことで、がんばるモチベになっているんだけど、反対に成果の分かりにくい新事業やインフラは避けられて、ウチに押し付けられたんじゃないかと。


 でもそれ、すごく大事なことだし、仕事を増やすってことで税収が上がるんだから国の事業にするべきなんだけどね。

 成り行きだけど、僕らの会社が門番役をして仕事を斡旋あっせん、戸籍登録やこれからはチクンとかもされる。

 そうなると家を紹介して、お買い物は僕らの店を使う。休日は僕らの設備で楽しんでになっちゃう。

 色んな事業を始めるから、いくらでも人は必要で、実は待遇も良いらしく人が減りすぎて、ウチに合流したいって申し出が来るようになった。


 これは併合へいごうじゃないから提携になる。表向きも何もかも変わらないけど、人材の斡旋あっせんとシステムの導入が安価でできるくらいで、あとアドバイスくらいかなあ。

 欲しいと思う会社はない、というか押し付けられているのを何とかするので精一杯だし、やりたい事業はあるし、いっぱいいる鬼さんも春に旅立たなかったから、お仕事を振り分けただけだもの。春まではお客さんだったけど、心のやしが終わったら当然働かせるんだよ。

 僕が好きってワケでも、ここが良いってことでもないって分かって、希望することもないってことだから、各地に振り分けをした。


 送ってガランとなっても、もしかしてって甘い期待してんの。バカみたい。

 残った鬼さんを入り口の方に移動してもらって、居住区の大部分を閉鎖にした。

 これは立ち入り禁止ってことじゃなくて、泊まる人が多ければブロックを開けるって感じ。手前側のお風呂だけ使う。食堂にあった内と外を分ける壁を撤去。

 これからは2階(ここの言い方だと1階)でごはん。今までのところは事務所を拡大した。事業範囲が増えたしね。

 もう鬼さんを特別にはしなくて、誰でも泊まれるようになるんだけど、出張者の宿泊だけ、鬼さん達もここならそういう扱いで、居住を選ぶなら外の寮に住む。

 まあ鬼さん自体入れ替わりするし、僕にとって特別な人達だから贔屓ひいきってことではないんだよ。


 外のナゾな出入り口をなくしてスッキリと外面そとづらを整えているのはね。

 いよいよココをオープンしようとしてて、たくさんいた鬼さん達の最後のお仕事になった。すごく広いここを使って、商会で扱っているものを全部置く、巨大なお店にする。

 そのための店員を大量に集めていたし、鬼さん達が特訓をしてた。

 開発した道具も機能ダウンして並べるし、最新馬車はゴムの配合を見つけたからゴム車輪のを売り出す。

 あと参考品の車、自動車、ロビンやボート類まで、すごいだろうって見せる。

 これだけ大きいと、でっかい遊び器具も置ける。気球の天井から吊り下げ展示はスゴい迫力だったよ。

 ガ〜って動く大昔の大きな生き物も作っていて、まだ見せてないものはかなりある。結構楽しいと思うな。僕はソックリぬいぐるみとかチマチマアクセとかだけ作っていたわけじゃあないんだよ。

 運動会はシーンで見せたり、部屋レイアウトもデコした状態で見せる。服もこんなの作っていたのっていうのもある。

 全部が売り物じゃあないけど、買い物は楽しいよって知らせたいし、興味を持ってくれると嬉しいな。


 それでここは何とお店なのに入場料を取る。高い金額ではないけど、それ以上の価値はあるし、ここに日常のお買い物する人達が来ると他の店が売れなくなるかもしれないって心配をした。

 うんそう、バウム以上のを持っていて残金が一定以上ないと入場もできない。

 何とか普及させたくて色々しているんだけど、国が熱心ではないから、お金持ち層に弱いというか面倒だからもうイイヤ。

 これから空いてるところにお楽しみをする。僕は忙しいんだから寄ってこないなら知らないよ。

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プラコは最初の計画通りの形にした。

残っていた鬼さんに後ろ髪とか、いままでアリガトウもなく、アッサリとね。

バカみたいにここの鬼さんは違うって思いたかったけど変わらなかったよ。

オープンに向けて最終調整をする。

ゴソッと居なくなったんだもの。すぐにはムリだろうし、移行期間ってヤツ。

出来る事が当たり前だったのが出来なかった時のフォロー体制って感じ。

平気に出来るように練習がんばって。じゃあまた見てね。

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