629 良かった探しをする。

僕は見つけないとプラスという感覚はもう分かんない。

要素を並べて見て「良いこと」が多ければ幸せってことにしてる。

どう考えても、労力とバックが合ってないし、お馴染(なじ)みの殺意が多くなった。

ちょっと聖国にいた頃を思い出すね。

あの時は周りの事も、自分のことですら関心が薄かった。

今は驚きや発見、その成果がちゃんとある。それだけでいいの。

でも・・いちおう・・確認だけはする。

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 ようやっと配り終えたのは21日の夕方。たぶん北の方ではお日様がお休みしちゃっているんだけど、南の方ではアクビをしている時間。

 迎えに出てきている人達がどこも兵隊な人達で、あとなんか偉そうなデブちんや神経質そうな人とかっていうのも大体同じ。

 コンチワってして「よろしくね♡」ってした時には、色んな感情でいっぱいで悪いのが7割くらいとその他の分からない気持ち。

 そこにポイって最後の人達を置いて、サッと行くのも一緒。

 ちょっと前にお菓子おいし〜した顔が青っぽいのは決意の表れかな。


 この後、グルンワルドに寄って秋冬のデザイン画や試作、新しい製品のアイデアとかお酒とかを置きにいくつもりなんだけど、街で解放イベントがなかったら、またコッソリ夜中に行くだけにするつもり。

 記念日の習慣がなかった人達にやってしているのは僕のエゴでしかない。

 それをするのがイヤイヤだったことにスゴくガッカリするのを見せちゃうのはいけないこと。勝手に思い込んで、期待したりはもうしない。

 隣の人がいつもとちょっと違うことに気が付けばそれで良いんだもの。お仕事関係で従うしかないだけの僕に気持ちが来ないのは当然。だから確認だけ。


 明日が鬼さん達の解放の記念日。二年前に周辺地域一帯に非道行為と解放を呼びかけた。それが伝播して、想定通り異種族をいじめたり、まして奴隷どれいにすることは悪、それをした組織が悪事を振りまいているんだから、立ち上がらないといけない。

 まあそういうキャンペーンをかげでもしてた。それがドライブして女性差別撤廃、ストリートチルドレンを保護ってことまでした。

 もちろん無差別にってワケじゃない。基準はあるよ。

 悪党がチカラを持っているのは正義側との境界が曖昧あいまいだったせいだし、急に異種族と仲良くというのはムリだって知ってる。


 それで主題を置き換えて、世の中に半分いるニンゲン女性を僕ら側にして、男性至上主義を少数勢力に変えた。

 抑圧された人達同士は手を取り合うものだし、それがなくても僕らの商品は女性寄りに作ってきた。

 耳障みみざわりのイイ言葉は正義になるし、便利やオイシイはそれを後押しする。

 僕は新しいモラルを押しつけて、隠れていた犯罪を暴露ばくろしてみせた。

 なんかねえ。悪い人って僕に寄ってくるんだよ。何か出てるのかなあ。

 罪状には想像も入っていても冤罪えんざいはないはずって領主館にドンドン送り込んだ。

 それは領主のチカラを支えて来た人達だけど、かばうことはもうできない。

 少しずつ迫ってくる終わりの時を感じながら、刑を執行していく。

 今まではそれを無実の人達かどうか調べないままして、圧政をごまかしてきた。


 楽しい事は別にあるし、ガマンするより楽しんだ方が絶対にいい。

 刑は公明正大(想像もあるけど)にして粛々しゅくしゅくと行う。これが重りになって、悪い事が減っていく予定。

 だいたい刑を受けるような人達は何でもしているから、差別をした、不誠実だった、暴力的だったって事を殊更ことさらに大きく言う。

 きっと心にきざまれて、新しい僕の倫理感を正しいものと思い込んでくれる。

 これから教育という事業をして、それを次世代の人達に当たり前していくの。

 異種族を、弱者を迫害していたのを普通としてきたようにね。

 これが広がって行けば、今まで野放しだった思想犯罪とかも罪に問うにしてイイヨになって抑止ができるかなって。

 3世代くらい掛かると思っていたけど、案外早く進みそうで、やっぱり反動が僕に来るの。アチコチで狙って来る。ホント前みたいだよ。


 保護したようになっている囲っている地域が南の方にポツポツあって、だまされた人達が大人しく従ってくれている。

 でもたぶんだったことが現実になってきてて、ウソじゃなかったねえってだけで、生産してよが終わったらバイバイのつもりだった。

 今は他にも生産して欲しいものが出来て、反対に捨てられないように普通しているってだけだもの。割り増しに何かはしていない。

 それが僕基準だったから、その日暮らしな人達にはすごく良く見えているだけ。何も上乗せはないの。

 それでも良さそうなら最初からのプランのように追加をちょびっとして、特別にされていると勘違いしててね。


 広い地域全部をイイヨはしない。ただの利害関係でたまたまなんだもの。

 手の内に入って、お仕事をしてくれるなら、ちゃんとするのは当然。

 福利厚生ってヤツ。

 たぶんこれでいいの。イイ顔をして与えてもらうのは胡散臭うさんくさいされる。今までそういう人が一時いっときだけ、ごはんしたり、身体をてくれたりしたけど、そういうのは続かない。

 ここが働く場所で、だから色々してもらえる。そうじゃないのがそれを得るのはおかしいって勝手に働かないを追い出したみたい。

 そうしてもらえるのは助かるけど、それでいいの?


 意欲がある人だけ残っていて、すごい人だけじゃなく変な人も見つけた。

 どっちも排除されちゃう人になるんだけど、先に確保してブラウン商会によろしくねした。今までだったら評価されないし、そうなると自分もダメな者って思い込んじゃう。

 何となくピ〜ンしただけなので、何者になるかは未知数だけど、うまく育てれば地域のためどころじゃない人になると思う。

 連れて行きたかったけど、どっちも希望はここで、家族とも一緒が良いそうなので、それをネタに「何でもする」って約束。

 どうして欲しいとかはないの。とりあえず全部をしっかりやって、心の幅を広くするように体験をしていってにしてもらった。

 もし望む研究や行きたい場所があれば出来るだけかなえてにして、資金は僕が出すけど、成果はあげるってナゾ契約をしてある。

 これは本人が気がつくまではヒミツ。


 ちょっとだけ気が向いたらで、たまたま。

 担当が恩着せがましい事をメモを見ながら言う大根ぶりが気になるけど、気の優しそうな子は気が付かないし、オマケな家族達はビクビクしてる。

 僕が突っ込んだからってイジメないでねの心配は大丈夫そう。

 仕事はいっぱいあるし、全部をマスターする最初の人になるか、外に出る道を選ぶかも自由。

 こっちの子は研究体質だから、とにかくたくさんの物事、その仕組みに触れる事をして、したい事は大きくなるまで決めないでってだけ約束した。

 案外変じゃなくなるかもだけど、それでもいいの。


 元々、お互いの交流がなくて隔離されたようなトコはタマタマ変わったものを探していた時に引っかかった作物の仕入れ先。

 カポックとカカオとバニラ。バニラは良いニオイだねえってだけのもので、他のは観賞用?ってだけのものだった。

 たぶん貴族とかが観賞用として育てているトマトと同じノリなんだろう。

 実は僕らの赤いソース類の原料というのは抵抗があると思うから、商品名には赤のなんちゃらにしているけど、内容表示に名前は書いてある。

 標準器(規格)には、成分や原料、添加物、着色料、香料は必須だし、アレルギー原因になるものは表面に明示しなさいとしてる。

 添加物がナゾで買う人に分からない名前でもね。


 そういうわけで小麦は良く表示にあるんだけど、アレを「特上品質」の表示と誤解しているようなの。(読めるようになった方がいいよ)

 いや確かにそうなんだけど、これから普通に表記されることで品質は関係無い。

 それにウチはアレルギーを避ける取り組みを進めていて、少しずつコメ粉に置き換えをしていたりしてる。


 カポックはもっと南のあっつい場所だと思っていて品種改良したのかなというか、観賞用に持ち込まれた感じがする。

 カカオもそうでジャンジャン育つものではなかった。

 それで龍宮島にも移植して、もっぱら増やすようにしている。苗としてね。

 これから計画している南進、シオーネの大陸|(が、たぶんある)探検で、現地住民|(が、たぶんいる)に作ってもらおうとしてるの。

 南の鬼さん達の事はよく分からないし、見つけて「じゃあ農業やって」というのは僕の勝手な押し付けだもの。そういうのはもうしない。

 もう助けなきゃなの対象ではないし、南の地域は隷属がゆるやかでどちらかというと出稼ぎのようだった。

 助けを求めていないなら手を出すのは余計な事だし迷惑になる。

 僕の集合に応えてくれたのは嬉しかったから北でもしたんだけど、南では必要ないことのようだし、そういう認識みたい。

 関わりを求めないから近寄ちかよって来ないのだし、この前のエルフ達みたいに高いお鼻だと悲しくなる。


 お仕事上のお付き合いで、利用するしたたかさもある。

 でも僕はそういう関係にはしたくなかった。事実そういう相手ではなかったし、もっと手前の友達でもないの。

 ずっと避けていたけど気持ちの整理が付いて、割り切ることにした。

 それならおだやかにできるし、もう保護が必要ないのならってシステムをゆるめて結界もユルユルにする。システム依存度を下方修正、つまり手操作が増えて、難易度が上がった。

 セクションで切っていた森で迷うのもなし。道具に頼っていた作業じゃツマンナイだろうって、そういうのも微調整の他は停止にした。もう十分習熟しているし、ラクラク過ぎてツマンナイよねえ。


 まあそう思ったのは、前日なのに街の人達しか、お祭り準備がなかったからで、たった2年で安心出来るようになったってことだもの。

 それは良いことなんだけど、ニンゲン達がやってくれるのに鬼たちがこたえないというのは少しだけモヤリする。

 人との関係を軽く考えて欲しくないからイベントをしたんだし、この分だとカーニバルの山車だしも今年はグルンワルドから出していないだろうというのは、販促経費がガク〜っと下がっているとこで推測した。

 詳細は見ていないけど経費処理は準備の先月か実施の当月にするものだしね。


 僕が提供するものの他にも販促費でバンバン使うのが良くないって思ったのかもしれない。

 なぜか10月初めや去年末に巨大山車だしの注文やイベントのも来ていたから、忙しいしヤレって言われないならそれで良いにしたんだろう。

 鬼さんとニンゲン達の関わりの機会を設けて、知ってもらうことが認識を改めさせるには大事だし、ニンゲン達を知るために大いに外に出ようねしたかったんだけど、ブラウン商会が去年一気に拡大して、官の優秀な人達が加わっている。

 だからって任せるのは違うんだけど、それで良いならいいの。


 スポーツ大会や通貨配布でそれぞれの国の事情がちょっと分かったし、娯楽ごらく少ないなあというのは感じた。僕らの商品が物価を下げる働きはするだろうし、もう野放しにはしないっていうのは、いずれ全納する通貨と明細でハッキリする。

 まあその矛先ほこさきが政府に向かうだろうけど通貨総量を誤魔化ごまかしてきたのはキミタチのご先祖様からの蓄積だし、評価が低かったのは自分達が税の種類を増やすことばかりして、経済を冷えさせたのが原因だものね。

 聖国はちょっと慈善団体ぽかったけど、もうひとつの国だよってしたし、利益は取らないとこれからはやっていけない。


 お返しの供物で国民を食べさせるやり方は終わり。

 みんなには回らなくて結局僕らは飢えていたし、異常な肥満もいて極端。

 理想を維持するのは想いだけではムリみたいだし、優秀な人がいても自分が困っていたり想像するネタがないと人の事までは考えてくれない。

 気付いてくれる第三者が必要なのかなあって、いくつか用意してみた。

 それでも宗主国として護れるようにアドバンテージは欲しいから、周辺に食料を作る国をバランス良く分散させたいし、くさらないもので備蓄したり、購入出来る資金を持てるように国を豊かにね。

 スゴイって思われる必要はあるかなあって、かつてのように研究と文化を盛んにさせて強みを作りたい。

 僕らはそこをチラチラして、資金集めと影響力を強めていく。いずれ僕が退場した時に困らないように・・ううん、もう少しガンバルって決めたし。


 大海の方にも通貨導入するんだけど、まだずっと先かなあ。

 もし取引があっても人魚にはクローネあるし、ニンゲン見つけても物々交換で大丈夫だろう。生地から違う服があるし、食べ物も魅力的。製材された木材だってなかなか。お酒はかなり強力な商材になりそうだったしね。

 言葉はどうかなあ。知っている言語に近いものだと良いんだけど。


 前はとってもイヤだった暗殺が今はそうでもない。

 安全地帯を作ろうとしたけど、それを作れたときには僕に関心がなくなるみたいで見えない人もいる。

 悪意を向けてくる人を排除して、お仕事を作って、楽しいでいっぱいにして、病気とか将来の事とか、安全とか不安要因を消していく。

 知りたい気持ちや学びたい、新しい何かをみたいというのはみんなも同じだと思ったし、すごく喜んでくれた。


 その結果、僕に来るマイナスの感情が少なくなった。

 でもね。プラスの感情が元々ないんだから、残ったのは必要ってあるだけで意識されない空気になっていく。僕の希望とは違う方向に進むの。

 それで大丈夫にさせないようにしようかなあって、最近思い始めてる。

 どんな気持ちでもね。

 無視されるよりずっと良い。それなりに強くなってて痛いばっかりでもないけど相変わらず人任せなのが僕らしい。

 そう思えば暗殺しようとするのも関心があるって事だものね。

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通貨配布で、いっぱい乗ったけど会話らしきものはなかったな。

人がいたくさんいても、僕はソロなんだなあって。

今回ので割り切ることをさせられた感じがするけど、良かったかなと。

いつまでもウジウジ引きずらない。もう平気。じゃあまたね♡

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