627 春といっても寒いよね。

大好きの日にお菓子配ったよねえって話。

僕は自分の決まりにしばられていることもあるけど、

そうしないと何もしない気もする。

理由付けして予定を組んで、きちんと実行するのは大事な事だよね。

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 大好きの日のギフトの新天地分は姫の手紙も付いている。

 ご褒美ほうびリゾートの時に「これも」って預かってて、何と全員分ある。

 僕のような誰でも当てはまるような短いコメントでバリエーションしたものではないし、文字拾いした字ではなくて、手書きというか手作り風。

 人口確認していないんだけど、何千人どころか、豆の国からも引っ張って来てて1万人くらいはいると思う。

 流石さすがにホンの一部だろうけど、名前入りでコメントが入っていた。


 木版ってヤツで秋の授業で確かやった。

 それを印刷機にセットすれば、自動で刷ってくれるけど、キレイに刷れるのは200枚くらいで、ムリしても500が限界だろうから、その間に次のを作るとかしたのかもしれない大変な作業。

 で、カワラ版って言われているものの印刷はコレで、別にかわらに掘っているわけではないのって当たり前。第一大きさが違うしカーブしていたら使えない。

 粘土版にしても、乾燥や焼きが必要だろうから、すぐってワケにはいかない。

 あの人達は刷る道具は持っていないから1枚づつスミを塗ってカミを当てて、ゴシゴシするってこと。

 僕らには簡易な印刷方法だけど、この国では写本が普通だから同じものを作れるのはすごいことで、東地区にはいなかったけど良く目にするもの。

 サッと刷って、パッと売るというには手間がすごい。

 バカにする人は多いけどやってみれば超人技ってことが分かる。早さが必要で読めないと話にならないから、キレイな文字って事は大事。きっとカミに下書きをしないでラフを直接して彫っている。そうじゃないと間に合わない。


 僕は芸術としてカワラ版はとらえていない。世の中にあるお仕事を体験っていう授業で、いかに時間内に彫って刷ることをどうするかを考えて、というもの。

 もちろん全部サラではムリだから、下書き文字はあらかじめ書いてきてもらう。

 絵をバ〜ンとして文字をちょろっとだけ。文章じゃとてもムリってことは、工作(芸術)の授業の方では何日か掛かった作業だったから分かってる。

 文字を彫って、絵を彫るのは別な人でチーム。作業していない人達が道具の準備をする。2つあるいは、いくつかの木版を合わせて、ぎゅっと固定。道具にセットしてボタンポン。

 刷り上がったのをジッと見ているのは、みんな満足そうだった。このまま大量に刷って、段々と甘くなっていって、どこで版がつぶれるのかってところまで。

 それを大事に持って帰る子とそうでない子で争いになったりしない。


 姫にお友達はいっぱい出来たみたいだけど、これを任せなかった気がする。

 その気持ちは理解出来るけど、行動が分からない。僕が1人なのはいまさら。

 決めた事だからって言い訳にしただけ最後だからイイよねって理由が必要なの。

 手紙を入れようって、僕のすることを予想したんだよね。すごいね。

 あの時点では、どうしようか、どこまで配ろうか、やっぱりやめようかと考えているときで、まだ決めてなかったんだよ。


 みんなは忘れがちだけど、姫はスゴく広い地域の代表なの。他に人材がいないからで暫定ざんていと思っている人が多いみたいだけどね。

 僕は後見って位置にいて実質運営をしているけど僕に人望はないから、やっぱり姫の存在は大きい。

 みんなに邪険じゃけんに扱おうとすると困った事になるよってしたり、いなくなった人達がどこに行ったとかをリークして、潜在的なブレーキを植え込んでいる。


 プレゼントの山に1つずつお手紙が付いていて、他のトコは僕だけだけど、この地域だけは2つで名前付き。素朴な姫のお手紙の方だけ認識されて、もう一つの方は包みと一緒に丸めてゴミ(リサイクルはする)になると思う。

 書いたモノまで存在が薄くて、良いモノがあれば認識もされなくなるみたい。

 ブツだけの関係だし、国を壊したキッカケを作った。

 そこは侵略され(し)ちゃってもう跡形もないということも隠していないし。

 踏み固められた土地は木にも畑にも良くないからバラバラにして耕してある。

 ちょこっとあった畑もまともな手入れをされていなかったから、農業の知識も林業の知識も何もない人達って扱っている。


 目的も意志もないようで、ただ従ってきたような感じがしてた。

 特産品探し、資源探しをして、それぞれは小さくて弱いけど、まとまって協力すれば隣国にもまけない経済圏が作れるようにって考えた。

 ものすごくがんばらないと新しい通貨を持つというのはムリだもの。

 お金をつくりましたは誰でも出来ることで、それが立派であれば受け入れられるものではないの。

 食べ物や衣料に医療、他の様々なことを外に頼っているんでしょ。

 じゃあ物々交換してもらえるようなモノが必要だし、お金を造ったってことはそういうことを進めて、この新通貨を使いたいってならないと価値を得られない。


 自国の通貨を持つというのは、持てて嬉しいって止まることじゃなくて、商売をするためのツールを得ただけのこと。

 外との商売でその国のお金を使うんなら、不満があったとしてもその国の通貨を使えばいいだけのことで、独自の強みを持っていないなら外注になってしまう。

 実際そうなっていた。


 大きい国に断られた新通貨だけど、商会のある地域と実は資源がたくさん眠っている地域で挟み込んで浸透させていくのは面白いと思っていたから、ゴーにした。

 それなのにちっともやってくれない。

 一番意欲があるときがスタートの時で、新商品の勢いは売り出しの2週、ひと月で判断するんだから、この先が期待できないって、次の展開を準備はしてた。

 新しいお金作っちゃった責任があるの。ダメだった、終わりとするには巻き込んだものが大きすぎるんだよ。

 出来るように整えたのに、約束したのに、やらないって気持ちが分からない。

 これはお友達のすっぽかして気まずくなる程度の約束ではないの。国全部をベットしているんだよ。


 まあそれで、移住の人達の情報がやっと入ってきて、道中の様子を聞いて、段々とランクダウンしてた。

 到着が遅れたことでまた下がって先行して来た人達であ〜あって。

 それから元が国ではなく、行き場のない難民って扱いにしてる。実際帰る場所はないんだし。

 限定的だけど良い職人って思っていたのに、納品されていたモノが既に仕上げされたモノで、組み立てと板金ばんきんくらいだった。え〜っ本当にタダの内職じゃない。


 そういう感じで、開発計画を修正修正って下向きに何度も変えた。

 段々と農業時間を増やした。あの人達に必要なのは体力と意識改革で、土に触れてもっと現実を知ってもらいたい。

 読み書きして、本をたくさん読んで、経済を理解出来るようになったら、自分達のしてきた事がこれっぽっちで、反抗心を持っていた元の国に養われていたことを知って、ついでに自分達の決断の意味、約束を履行りこうしなかったことの尻拭いにどれだけ苦労しているのかをしっかり理解してもらいたい。


 あと着いたときに、ファイアーした通貨の意味。

 たぶんこれが不満いっぱいの元なんだろうけど、交換の評価はがんばって国を盛り上げた見込みでしたんだから、何もしてくれないなら元の評価分との差額が過剰になっちゃって、評価を上げた差額を僕らがかぶらないといけなくなる。

 それで国として持っていた分はほぼ全て焼却して、国としての借金をいる人達の頭数で振り分けたから、1代では返せない大借金持ちからのスタートになっている。


 かつての国はもう侵略されたからなくて資源があろうが興味無かったんでしょ。

 たぶん教えてくれなかった他の国からの借金があって、それを返せって残った人達が言われて同じ状況でうらまれているよって教えたりした。

 それに給金は出ない。食事代や住居のお金も必要ってことで、差し引き自分達の食い扶持ぶちにも足りない。それはまだ「売れる」収穫にはなっていないからね。

 マトモに働いてくれている豆の国の役人達の給金も負担すべきだし、今年になってからの提供物資も頭割り負担。

 というのも宿題にしていた勉強を、明るくなってできた冬のヒマな時間にしていなかったようでテストが惨憺さんたんたる結果だった。

 最初の方は簡単だから点数が取れる。中盤はドリルをして、間違っても見直しをすればできる。終わりの方はこれから3年生が習う単元ってことで子どもレベル。


 なのに全員が不合格。子どもは良いの。もう少しだったし、学ぶ姿勢を感じる伸びがあるから期待できる。大人達はどうして。

 経験から分かる問題は多いし、王族もいたでしょうとか、名前しか書いてないとか、ふざけんなだよねえ。

 大人が白紙で出したのが多いってことで、イイヨするのを止めたって理由にしたんだけど、これはワザと。

 新天地の計画書を住民達が読み込んで受け入れることにしたって聞いていたんだけど様子を見ているとホントかな〜って。そんな知性的には見えなかったんだよ。

 顔が悪いって事じゃなくて、ぼけ〜っとしてたもの。


 子どもが低くて、王族とか大臣とか学のありそうなのは合格ラインが当然高い。

 いちおう名簿で分かるし、国の交渉役も分かっていた。その人達はみんなのお金で勉強していたんだから、同じに考えることはできないよね。

 一般の人達にも学びの機会を与えていたのなら、大人は全員合格出来たはずで小国はどこにも学ばせる仕組みがなかった。

 たぶんおじいさんかひいおじいさん(初代)がそうしたんだろうね。

 少ない領民に学びを与えたら、このおかしな状況に気が付くし、努力しようとするだろう。そうしたらいつか蜂起ほうきそそのかす者が現れるとか、心配したのかな。

 権力からはみ出された人達、自信が無い施政者ってだいたい同じ考え方をする。


 ドリルがかなりいい出来で、小国でもソコソコ売れたんだけど、大人向けの物語とか経済の本や技術書とかは全く売れなかった。

 あかりや服やタオルは売れたんだもの。買わないってことではなかったし、お酒やめずらしい食べ物まで売れていた。

 もしかして興味が無いんじゃなくて読めないって可能性はあったけど、「住民達が企画書を読み込んで・・」って聞いていたからねえ。

 自分達をよく見せたいって気持ちは分かるけど、そう聞いたらそういう風に計画するんだから正直に申告してくれないと困るよ。

 とはいえ、子ども達とスタートは同じはずで、あれから1年半だから、いまだに読み書きが初級っていうのは危機感が足りない。


 それで、大借金があるよって話をした。

 テストは基礎問題なんだから、合格しないと給金は出ないよって。

 毎月費用は乗ってくる。農業はこれから本格的に生産したいし、ここの技能は自主練をして欲しい。もっとマジメにお仕事に取り組んでねした。

 たぶん来月にもテストをして、今度は点数を公開するってした。

 次はそれぞれに合わせて作成するから、子ども達のほとんどがパスする。

 公開と聞いて、大人達は零点というのはマズいって思ったはず、思って。


 というのをついこの間した。きっと反感とか怒りとか疲れたとか悪意いっぱい。

 それなのに「大好き! これからもがんばろうね」って手紙があったらどう思うのだろう。僕のは版を押したものだし、姫の手紙は版画で温かいから余計にね。

 もう好かれようという気持ちは皆無、ううんちょびっとはある。

 決めたからしたギフトのテーマは大好きなんだもの。去年の経験で覚悟はしてたけど、今年は2回目でみんなが分かっていたのに今年はゼロ個だった。

 好きの反対は無関心。嫌われてはいないと思ったけど、それ未満で相変わらず僕は自己分析が甘い。


 龍宮リゾートはお友達との交流だけじゃなく、島の人達のためのものでもある。

 悪いイメージの払拭ふっしょくのためなんだから、実際のリアルな人をだましたり、そそのかしたりしちゃだめ。かといって理不尽りふじんを許すことはしない。

 来る時に誓約しているから問題になることはないけど、制裁はほどほどに。

 もう大切なものを減らしたくない。この場所は育てたいところだから、策謀さくぼうするなら徹底的にアレしちゃう。

 それは両方にで、覚えていない人達より島全体の方が大事だもの、当然。

 かつてのように個人ではもう捉えていないというか分かんない。

 メモでは分かるんだけどそこに気持ちがないから、もう見たりしない。

 やっぱり思うような何かはなかったねしてる。


 人魚さん達はウチ村の大人達との交流や段階的にした社会性に馴染なじんで、他の人というものが尊重する対象だという認識を得た。

 刹那的せつなてきに生きている人達で善悪の基準がおかしかった。

 これを矯正きょうせいして、こっち寄りに変えてからは、すごい勢いで吸収した。

 食べ物は豊富だし暖かい。ゴロゴロしてオモチャを見つけて遊ぶっていう毎日が天国みたいだったけど、それはとてもつまらないことだった。

 不足がないところが満たされないって。ちょっと気持ちが分かったから、遠慮は一切無しであれヤレこれヤレした。必要なパートにして、それに応えてくれる。


 ごく当たり前のことをしただけ。様子は観察して・・いたのは常連さんだけど、ずっと飛んだままの円盤とかあった。

 チクンはしたし、クスリとか、インフラも万全にした。お酒とかは制限付きだけど、種類は増やした。

 それだけのことをしているし当然だけど、フルオープンはしない。ニンゲンとの交流もそう。必要だからしてるし、リゾートにしたのは何となくそうした方が良いかなあって思った。

 監視のための場所にって造った島だけど、どうせなら仲良くがイイ。

 百島ももしまがダメそうだからというのもあったのかもしれない。


 好意的だったのはシオーネの人達だけだったなあって、他は会っていないし、置いてきただけなんだけどね。

 僕から交流を求めるのは、もうこれで終わり。ちょっとした工場の生産量くらい作って、きっとオヤツくらいにしか思っていないというのは分かってるのに、決まりだからってして未練みれんがましいよねえ。

 グルンワルドからは紙幣原紙をもらって来たし、この辺用の硬貨もある。

 気持ちを切り替えてお金作りしようね。

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時間軸が前後するのが毎度あってゴメンナサイ。

時間が経つと分かってくることがあるし、何で気が付かなかったのかなあ。

まさかって思ったよね。小さな国の中では仲良しで区別なくするって。

貴族ってヤツはってことで、オブリスなんちゃらって、分かっている事を

いうのは出来ていないってことだから。

イヤそういうことじゃなくて、世界一好かれない僕でゴメンネ。

じゃあまた見てね。

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