623 寝正月とはいかなかったみたい。

 年末まで商店街を見てて、搬入の調整をしてた。

 ウチはセールしないってことになっているから生もののコントロールは大事で、解凍したものが売れ残ったら廃棄(居酒屋にどうぞとか)するしかない。

 街の従来店はくさらないからって、ずっとそのままにしているけど、消え物じゃないものほど売れ行きを気にしてコントロールをしないと、次のモノが作れなくなって困ることになる。

 僕らのは大量生産で単価を下げているんだから、売れないモノを作ったら、倉庫を圧迫していくんだけど、それは見込んでいる。

 倉庫が異常に大きいのはそのためでもあるし、将来に記念展とかあるかもだから、1つは残してある。

 商会倉庫は劣化しないようになっているけど店頭はそうじゃない。


 配置を工夫したり、セットにしたり説明のカンバン(POP)を作ったり常に工夫は必要で消え物じゃないからどうするかの判断が難しい。

 季節ものだったし、数量はいっぱい考えた。半年先のことを予測するし、服とかはもっとずっと前にしないと原料の計画とかが間に合わない。

 ボンヤリしている人達だし、今は好みを誘導しやすいけど将来はそうじゃないから、個々の地域用にも考えないといけないとか多様化してくるだろう。

 その方程式や変化を見つけるためにも、データいっぱい集めて分析をしてる。


 今のこれが、どこのどの地点の何が影響したとかを少なくとも1年前につかみたくて、出来るなら2年とか、5年前とか欲張りたい。

 僕らには好みっていう難しいテーマがある衣服だけではなく、通貨っていうものもある。流行とは別なものでも、毎日目にするものだし、時流とは違うものにすることはいけない気もする。

 とかいって停滞している考え方を変えようという意志はあったし、人々の気持ちを手っ取り早く改革に向かうという機運になったのは確か。

 日常、目にするものの影響はかなりなモノというのは分かっていたし、ニュース紙がアッサリ受け入れられた素地を作るだろうことは期待した。


 大衆誘導は研究されて来たことだし、エライ人達は露骨にしてきた。影響と結果を考えずにね。それが停滞を長くして市民文化は衰退してる。

 学びを取り上げただけで、とても扱いやすくなったけれど、それは管理層にも影響してここまでしましょうがどんどん下がってて、名前を書けて読めるだけで知識人だっていうの、笑っちゃうよねえ。

 足し引きだって一桁レベルだもの。商人のだましが露骨ろこつなのに気が付かない。


 大国には実は戦うチカラなんかなくて、農業生産力があるだけっていうのも割と最近知った。情報がないといっぱい誤解をする。

 かつて聖国はそれを利用してイメージ作りをしたけど、ここまでヤバい状況とは思わなかった。それでう〜んって考えて「ニュースをもっと見て」ってお墨付きしたし、うっかりだったけど通貨に期限をして、財産把握を早急にする。

 底辺に学びを推進して、賢くなった子ども達が真摯しんしな目を持って話した事を大人は嬉しそうに聞く。それがただ読み上げているだけで、練習をしているだけであっても繰り返し繰り返しされれば、意味を伴ってくる。


 そこに個々の事情はあったとしても子どもに鬱憤うっぷんを向けることは出来ない。

 そうなると外観や性質の違った対象に向く。

 もっともらしい理由を付けてあげれば、善悪分けをするのが大好きな人達は、巨大なものにロマンとか言って・・とか、そこまでするのには物語がいるの。

 それで今作ってる、そういう話。大まかなプロットを十数本用意して、妄想力がたくましい元百島のお客さんとか、自称作家さんとか、冬休みのグループワークとかにしてる。



 ツンツンされて、う〜んって伸びをする。コケコケしたりモ〜モ〜してて、ゾロゾロと崖のところに行く。どんどんと空が明るくなって、サッと光があってそれは僕らにも見せてくれる。

 今日はおはようではなくて「おめでとう!」っていうの。

 いっぱいあって、ニャ〜ニャ〜して来て、降りてシャチにおめでとして、元水族館でもいっぱいして、畑や蔵や花卉かきや虫、小さい菌や作りかけの服や本にも今年もよろしくねをする。砂浜にも島柱、海や空にもス〜ハ〜にも全部。

「大好き〜!」って。


 わがままを応援して、助けてくれる全部に。

 僕のことキライな人達がどんなにいたって負けないって決意みたいにした。

 去年は泣かないってしたのに泣いてばかりだった気もする。

 ガ〜ンな事もあった。それで人を諦めて、人を諦めないって思ったかな。

 今年やるつもりのこといっぱいある。それでまたいっぱい嫌われるんだろう。

 その日はずっと幸せで、ずっと引きこもりたいってチラチラ。でもがんばるね。


 二日三日はいつも通りのことをした。西では冬の休みは元日までだもの。

 向こうの休み方とこっちのが合わさって、休みがちょこちょこあって長いんだけど、まあいっかにしてる。

 学校はまだ休みで、ここのに合わせて7日まである。そのはずなんだけど会社とかはもうちょっとあってまちまちだった。老舗しにせとかだと15日あたりみたいで、商店の始まりは他の店を見ながらって感じだった。

 僕ら関係は全部始まりが一緒、これは決まりだよにしてる。


 役所がそうだから合わせただけで、初日に前合わせ服で盛装をしてくれば、特選マス酒が振る舞われて、お昼前で帰っていいよってして、どうなるかなっていうのはこころみみたいなもの。

 そうじゃない人達は当然夕方までお仕事をする。

 新年の挨拶をしてお酒飲んでコミュだとバリバリとはいかないから、帰る。

 盛装して机お仕事はムリだもの。

 例えばしたことに反対はなかったから、今年はやってみる。

 変だけど文化は盛り上げたいし、初日が色々になっているスタートを揃えたい。どうなるかな。


 あとね。新年にあるアレを潰したくて、鬼さん達の露出を増やしていて代わりのイベントを今年もするってかなり前に言った。

 この辺でしてる鬼を悪者にして遊ぶ恐ろしい風習。去年はつぶせたけど今年は西の方ではしているかもしれない。

 やらせないようにマメは売らないようにしたし、あっちの方でもマメを作るどころじゃなかったはずだけど、そのために作ってたのかもしれない。

 沿海地域ではまだ露出は、ちょびっとだからしているだろう。


 投げるって行為がここだけじゃなく、広い地域全部で好きみたい。

 僕はそれにビクってしていたんだけど、理由がやっと分かったりした。

 やたら過剰に反応して、地域の風習なだけなのに恐ろしい事をしてきたって罪悪感をき立ててつぶした。そして禁忌にしようとしてる。

 鬼がダメなら僕にって思ったなら恐ろしいことだよね。仲良くはできないな。


 去年いつも通りしようとする人達を止めた。みんなは働き者の小さくて善良な鬼さん達を知ったのに、準備しているのが怖いって感じた。

 ねえ、それをどうするつもりって聞いたら「鬼は悪で排除しないといけない」っていうの。だから「鬼は悪じゃないよ。可愛いよ」って、ハッとしたみたいだけど刷り込まれたことは、当たり前にして考えないものらしい。

 これは思い込みなだけだからイメージで上書きすれば、いずれなくせることだけど、僕のはそれぞれが見て思ったことだからムリだなあって、でもいいの。


 明けて4日の一時オープンを今年もした。店が増えたけど人も増えたからパートもいる。みんな休みたいから人員集めに苦労すると思ったんだけど、いっぱい希望があって、クジをするほどだった。

 どうやら割増しのパート代より、なんちゃって盛装が魅力だったみたい。

 あれは販促も兼ねているし、ユニフォーム扱いだからプレゼントを去年もした。

 ちょっとだけ高いものなだけで収入は上がったし、もう買えない値段ではないの。本物じゃないしね。


 で、分かんないけどアケマシテオメデトウをしていらっしゃいませする。

 買ってくれた人には鉢植えをプレゼント。去年は配布したアレね。

 別にやらなくても良いんだけど、このおめでとうは松の内じゃないと言えないことだし、こういう服も後になると理由付けが効かなくなる気がしただけ。

 楽しむ事は時期や雰囲気も大事だもの。その時ならではをちゃんとするなら、ネチネチと他部族をネタにらしをしなくて済む。


 この松の内っていうのも、王都の方とは違う。向こうは15日までで、税が一方的に集まって豊かな人達は長めに休むってことで、庶民はその間をウロウロする。

 貧乏ヒマなしだけど、仕事を出す人達が休むからボンヤリするしかないだけで、定給じゃないから、グーグー腹ぺこが年末年始だったよね。

 始まりはそれぞれで落ち着かないだった。

 去年は年末まであって、年始がいつからってハッキリしてた。多くの人達が定職を得て、選ばなかった人達にも仕事があった。


 今年の始まりはかなり違う。というか終わりから違ってた。

 役所のアレな人達がチカラを失ったのは、僕らが援助を切る理由をしたからとそれをネタに調査されて隠していた裏金とアッチ側のヒモがハッキリ。

 お友達は仲良くしようねだから、そういう人は向こうにどうぞして、抜けるタイミングを失っていた人材(職人さんとか)をゴタゴタしている隙に抜いたりとか。

 ウチの方だと「違うよ」したから、お仕事は止まらなかったし、秋キャンペーンして冬にドカンとして、人を大いに動かした。


 他も同じようにとはしない。隣街が参入を希望して来たから即、ニコイチしたくらいだけ。人材がこっちに流れ出した危機感だと思うけど、グダグダばかりのココと違って判断が早くてステキだと思う。

 一番の嬉しいことがウチに動線を引けたことで、商業ギルドの子達が学校に通うために設置した海沿い便が定期便になったのはいいんだけど、便数も増えたから無人とはいかなくなった。

 あちこちに必要人数が増えていって、それは他の会社や商店もで、効率という風潮と頭数の激減になった役所がアッサリ統合を受け入れた。

 首長対決とか面倒なのもなかったのは、本屋のおじさんが名前だけは大物で裏に常連さんもいるってところだろう。


 マウント合戦もなく、アッチは活かしてコッチは統合って事務的に進んでた。

 たぶん冬の報奨金がおバカな人達の失策で減りそうだから、お財布を合わせて何とか捻出ねんしゅつできないかなってとこだろう。

 隣街では、ちょっと前まで注文が殺到して在庫がけたらしいから、税収はかなりある。それでこちらに合わせて給金アップ、報奨金まで余裕だった。

 お祭りするようなことあるんだ程度の認識みたいだけど、完成品じゃなく火薬だけ大量になんだから、危機意識持って。

 こっちの商隊は花火をぶっ放されるせいで、盗賊が寄りつかないそうで商売は順調ってことだから高台の方もとっくにルートが回復しているんだろう。

 どおりでウチへの材料注文が来ない。心配は違う理由でしていたんだけどね。


 在庫がけたってことで、内陸の方へはもう売らないでにして街道を閉鎖した。

 火薬単体では売るのを止めて、花火だけの製造にしてもらった。

 そろそろ娯楽としての花火を広めたかったし、商材としてはステキだから大いに生産しようってお願いした。

 西へも北の方にも売り込みたいから、共通語の勉強頑張ろうねって。

 道具じゃないから、職人さん付きになるんだもの。必要だよね。


 お隣の火薬はそれほど質の良いものではないので、武器転用はそれほど心配はしていない。道の整備が出来たのもその辺の理由だと思うしね。

 去年の夏にすごい量の注文があったって、ウチからも材料を納品した。

 花火を作って欲しかっただけ。その交換条件に晩夏のある期間は高台に住民を移動させるっていう変な要求も聞いてくれた。

 得体のしれない商会に頼るくらい相当困っていたんだろう。内陸の人達の横暴振りが何となく想像がついた。

 それで意固地いこじに動かなかった少数の人を除いた多くの人達が助かった。それでかなり好意的ってことみたいで、編入に誰の反対もなかったってことらしい。

 僕、血だらけだったんだけど。


 僕らが選挙で立てた人の他は誰もいなくて、大丈夫かなあだったんだけど、政策の話は分からないなりによく聞いてくれたって聞いてる。

 ウチの候補を知って、はなから編入するつもりだったみたい。

 花火の街はもちろんそれだけじゃないけど、ばっかりしててキケンがある。豊かになるような利権もない。貧しくもないから人は多かった、それだけの街。

 商会では仕事を選ぶのばかりだったから、いっぱい用意したけど選べないのが、普通らしくて、すごく甘やかしているとよく言われる。


 どんなことをしても帳尻を合わせることはできるから、本当には困らない。

 僕と仲良くしてくれるならって思ったんだけど、みんな僕を利用しているだけなんだって気が付いた。

 だったらもうイイヤって、思う通りにするにしたんだよ。

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