621 おすすめお宿は楽しいよ。

 去年は用意だけして置き去りにしてたなあって。年末で1周年イベントしていたし、どうしても成功させたかったとか、宿オープンとか、三ツ辺も〜とかね。

 百島が急に人でいっぱいになって忙しかった。それでもちょこちょこ見に来ていたっていうのは言い訳にはならないよねえ。

 でももう僕には抱えているものはない、こともないんだけど、突発的になる用事はないからスケジュール通りにできる。

 お客さんコンニチハは望まれていないから、不都合がないかとかだけみとくね。


 宿の居住環境とか設備の不足がないようにとか、どこを切り取っても美しい構図になるようにとかも大事だけど、やっぱり大事なのはゴハンだよね。

 そのために料理の特訓をしてもらって、興味があった人を鍛えたってほどは関われないので、出来合いゴハンとか、ちょっとイジれば作れるとか、調理道具の使い方、お皿の飾り方とかだけ。

 極端に言えば、刃物はハサミくらいで作れるよにもできる。

 百島ももしまの駅のように子ども達だけで運営出来るように構築した料理とかがある。

 それの南国バージョンって、テーマを絞ればそれっぽい料理になるってわけだけど、やっぱりドコらしさはないのは僕らしいのかな。


 もちろんコメやメンにマメはあるんだけど、味付けをちょっと変えている。

 いたトコと同じじゃトラベルした気分にはならないし、望郷の思いをき立てられない。

 味の記憶という要素は注目していることで、旅行を演出する大事な要素だと思っているかな。

 宿の料理に僕がダメ出しするポイントが今ひとつ理解出来ていないみたいで、お家料理と宿は違う。

 調味料も違うし、風味付けとか五感で楽しんでもらうようにってしてる。

 僕も色んなことをしてきて、細かな演出という区別が出来るようになった。

 中にいてお仕事していると分からないんだけど、ワザワザ村の宿に泊まったら、え〜って感じると思うよ。


 真冬なのに今日は暖かい。明日もな気もするし、旅行中ずっとな気もする。

 北の方では冬でも裸族だったんだし、アトラクションの練習という名の遊びを足のままで、水着してやってくれていたよね。

 今日の暖かさなら来た人達も夏遊びが出来るし、遊ぶことの楽しさが人魚さん達に広まったかなあと。

 焦点が合って、これがずっとになるように来年はお祭りしたいし、日々に楽しいが必要だと思う。ただそこにあるだけだった海にもっと興味を持てればイキイキで満ちて続けるんだよ。


 どうやら僕は交流させるために宿という手段を取るらしい。

 行って素晴らしいって思えば見せたいと思うのは当然のことで、そこに意図はなかったはずだけど、他の土地の人達に魅力をいかに見せようと考えるのが楽しい。

 僕がイメージしたもので、リアルとはかなり違う。

 そこには街に意識を置いた人達ばかりで、街の劣化や風化した過去だった。

 わざわざ来る人が、廃墟にしかみえないものを喜ぶはずはないの。


 心に描いている、美しいままの幻想を用意して、住んでいる人達の負い目とか、生活が苦しいとかを違う時間軸に連れていく・・ようなことをしてる。

 全部を否定して、ここに価値なんかないよって言っているようなものだもの。

 僕に反意するのはそういうのを感じ取るからじゃないかな。

 正直、田舎の良さを理解なんかしてはいない。

 僕には美しいって風景だけあって、それから構築しているんだもの。

 突然やって来た異邦人にはさびれて消えかかっているところにしか見えていないのは当然ってくらいに思ってくれるとラク。


 外部資本にゆだねた結果が河辺かべ村ってことで、住んでいた人達にナマケモノの烙印をして、残ったのは子どもだけ。

 冷静に見れば、恐ろしくヒドイ侵略をしているんだけど、誰も気が付かない。

 消えようとした村にはかない希望を与えたり、労働力のためにキレイゴトで勧誘したりしているのは見透みすかされて、もう誰も来ないと思う。

 それでこの国を切り分けて、都合のいい区域、責任の発生しないようにした自治体だけど、自由に振る舞うことは出来ないようにしばっている。

 そのツールに通貨を使って、経済の好調維持とか保健とか、犯罪抑制に助け合いを決まりとして必死でやらないといけないよにしてる。


 印象操作していたり良い方に状況が転んでいて、すぐ隣に不安材料もあるから離脱は危険という事を理解が進むほど分かってくる。

 事実、個々は小さい単位だし、そこですら統一が出来ているとは言い難い。

 課題が山積みだけど、官吏試験のハードルはグッと下がるから、いっぱい人材は来る。中には、くだらない基準で切り落としていた優秀な人材まで来て、先輩ズラ出来る状況ではなくなってくる。


 僕が嫌われることをして来て、これからもするから、なんとなく好かれているとかが豹変ひょうへんしたり、石を投げられたりするのを何でとは思わない。

 ここがこういう状況になったのは、ス〜ちゃんに悪い事をした報復の結果、隷属れいぞくしていないという建前で事実は思う通りに誘導している。

 行き当たりばったりに見えて、深い考察と長期計画や意図はあるんだけど、必要なはずの思いはほとんどなかったりしてる。

 河辺村の大人達の再利用はお試しとか望む形にしたとか、やらざるを得ないって状況に追い込んだんだよ。ヒドイよねえ。


 服を着てね、健康のためにチクンするよ、村っぽくなったねえ、今度はこれをしようねして、勝手にここはリゾートとか言って、みんな勉強しようねしたり、今度はこれ、次はあれって。

 深く考えられないように次々しているようだったみたい。

 僕としては段階を踏んで、いちいち待ってから次に行くようにしていたの。

 でも「急展開だったわねえ」って、常連さんが嬉しそうに言う。


 気持ちが追いつけないうちにって感じに見えていたんだって。

 ちゃんと気持ちが変化したのをみて変えていったけど、目に見える変化になった時には遅いと思うよ。

 ま〜奇跡な大変化にみえているかもだけど、他の地域の人魚さんとはマイナス要素がない分あつかいやすかった。

 暖かくでサカナも果実も豊富で、適度な緊張(サメ)、遊び(人攫い)がある。

 悪い言い伝えを消す事をがんばっていて、事実が多くて証拠も残っている。

 隠す気が全くなかった。西の人魚はウワサのとばっちりだったみたいだけど、優勢種族なんだから堂々としていればねのけることが出来たはずだし、成長をしたり、知識を得たりすれば布をって服作り、山に入ってりょうしたり、草木を叩いてカミを作ることも出来たはず。


 堂々と交渉して金属製品を手に入れたり、襲ってくるなら戦って勝つことだって出来る・・はず。能力を考えたらね。

 色んな場所の人魚さんや引きこもっている異種族をいくつかみて、どこも発展、文化を創ろうとしていなかった。低いところで留まって不遇を嘆いているのを僕には「あきらめた」ように見えていたんだよ。

 だから出来る事を増やして、自信を持ってもらって、ニンゲンと仲良く出来るように、お膳立てなんかもして対等の関係になれるようにってしてる。


 キッカケはともかく、もう僕の計画に組み込まれてノルマがあって、計画が作ってあって、成長もしないといけないになってる。

 ある意味、かけがえのない人達で僕をキライだとしてものがすことはないかな。

 そういう意味では街の人達より・・とか比べたがるし、こういうことを街の人は聞いてくる。全部が繋がっていることを比べるのは無意味、キライな僕に言わせておとしめたいとか、困ったりすのが楽しいんだよね。


 ここがもっと別な感覚になるようにって工夫してる。天国ってイメージかなあ。

 宿は家のアップグレードって位置づけで、疲れをいややしてタノシイをして、ボンヤリって感じだけど、ここは魂の解放のような不思議な癒やしをする。

 ワザと現実味を排除してってところは百島ももしまのコンセプトの近いんだけど。気候や海の色がとてもステキだし、海の中には珊瑚さんごがあって、カラフルなサカナが泳いでいる。

 宿の店員は髪色の薄い、宝石の目をした人魚さん達でスラッとして1年半で作った引き締まった身体。

 特別な感じするよね。

 料理は百島では時々出てた大きなお皿に肉とかがちんまり、くるっとソースしてハーブと南国っぽい花を添える。

 これが出来合いで、飾って載せただけとは思わない。


 去年は「任せた」っていなかったし、盛り付けの指示はしなかったから、手前にある器を使っただけだろう。

 だから似た料理があっても、たぶん初めてって思うくらい見た目はとても大事。

 魅せ方だけは徹底的に特訓した。美しい構図とかバランスとかね。

 時間がなかったし、厨房では当分火は使わない。ハサミとかすくうのとか、ザルとかだけで、給仕にはコーヒーとかの道具の使い方、掃除の仕方、あと大事なパフェの盛り付け方を特訓した。うん数日だけ。


 子ども達はキラキラした目をして、部屋に案内されている。

 去年は作りかけだったから倉庫みたいだった。寝具も適当なものだったねえ。

 それでもすぐに荷物を置いて、着替えてキャ〜って海に行く。

 大人達はまだ部屋にいるみたいで、どっこいしょってしてるかもしれない。

 飛行の道具は疲れないはずと思ったけど、道中興奮していたようで、お疲れって声を掛けそうになった。

 これから運用するのは船になる。早朝に出発して着くときは夕方になるから、乗り疲れて、こんな感じかなあ。


 予定のは船バスとも違って飛ぶの、船がね。

 一見は普通(ううん、この辺の普通ではなくて僕には)なんだけど、岸から離れてからスピードを上げるとぐぐっと上がって船体部分が完全に海面から離れる。

 海中にあるつばさっぽいのだけで航行するから飛ぶって表現がピッタリくる。

 飛行の道具の技術を使って、実際には飛ばないってことで自動制御も出来た。なので、ちょっと鍛えるだけで船員の出来上がり。

 デッカイ木とかクジラとかの衝突事故についてはその部分だけの結界で対処。つるんとして双方に損傷ナシの見込み。飛行の道具とか商店街に張っているアレ。


 推進部分の道具は小さいし、Maxには程遠くて静かだし、浮き上がりや姿勢制御用にも付いているから、本当にス〜って進む。

 波に乗っているユラリ感を期待していたらゴメンネだけど、馬車みたいに船も揺れで酔うっていうし、揺れるのは近づいて着水してからね。


 料理は、百島の後半のようにみんな同じ。あらかじめ苦手なものを言ってくれないと対応はムリだからしない。本人も気が付いていないアレルギーが突発的に反応することもあるから緊急のクスリや対処方法の手順は一通りしたし、定期的にする。

 黒い岩がむき出しだった周囲が緑と白だけになっている。浜に靴が並べてあってそれをくし、手袋もする。

 試作丸出しだった遊具もキレイに作り込んだ。

 キレイにみえる珊瑚はウッカリこするとスッと切れて危ない。そういう注意をどう伝えるかなんだけど、サメって分かりやすいのがいるから、制御難しい子どももドキってする。

 この海域はサメだらけだけど、ほとんど危険な種類ではないし、このラグーンには入って来ないようにしてる。絶対ではないけど・・


 去年はなかった砂浜が広くあって、キレイな貝もアチコチにある。

 欠けた貝は危ないし、ゴミはあって欲しくない。お掃除はたいへんだから、真っ先に作った。流れ着くもので色んな想像が出来るし、汚染がある事を早く知って無くしたい。

 それは人だけじゃなくて、危険な事象を引き起こす病原菌や生き物も僕にとっては汚染になる。

 知らないことは排除できない。海はあまり知られていないし、人はすぐ運のせいにする。どうしてをしないままで、勝手にオカルトにしたりしてして、安易な解決をしておびえるの。ずうっと何十年、何百年もね。


 まあその1つの原因がここにいるんだけど、そんなことをもうしないように、毎日の平凡な楽しみ方ってヤツを覚えて、勤労の汗を流す。それを当たり前にする。

 食べ物があってヒマだと、ロクな事しないよね。

 多種多様なお仕事を用意して、学びをして、段々と好ましいを埋め込んでいく。

 それには他の環境にいた人達に出会って、ここで待っているだけで楽しい感情に触れることができる。

 見て感じて感情を獲得したのをみて、分かるようになるとイイナがちょっと。

 まずはイタダキマスをして、全ての事に感謝ができるようにしようね。


 ホテルの内容は去年造って、チョコチョコとイジって夏には完成していた。

 だけど運営する人材待ちになってて、結局調理の人は用意出来なかった。

 同じに見えて向こうの部族とはやっぱり違っていて、こういうのが普通の事。

 これが、とりあえずオープンするために簡単|(なっちゃって)調理シリーズが一気に充実した理由かなあ。

 あと冷凍方法とかの技術もね。最初は冷やすだけで良かったんだけど、味の違いが気になり出したり、解凍したときに旨味が流れ出たりしてたから、原因を調べてそれが発生しない方法を考えた。

 時間差して水分が移動するのがいけないみたいだから、内部と同時に冷やす方法をね。考えたの。磁力とか微弱なエネルギーで狙い撃ちしたり氷結を制御したりして、一瞬で凍らせるような冷却システムを作って小型化もした。

 これはサカナ獲りとかケーキとか食品関係で味の向上に大活躍してる。


 チラッと運営の様子をみるだけでほぼ手出しはしない。

 たぶんずっと暖かいし、明日あしたは海で遊んで明後日あさっては本島の方に行って観光するツアーがある。

 田舎丸出しの村を想像しているだろうけど、金持ち達の高級リゾートよりずっとカッコイイし(衛生的、視覚的に)キレイ。

 どうしても時々臭ってくるウ〇チの臭いとか、家畜臭とかはここにはないの。

 僕の基本ってやつで飼育でかぎひもは付けないし、トイレするとこやお風呂にも勝手に入る。非常識らしいけど清潔なのは大事でしょ。


 街でも水洗に変えつつあるけど、オシリがちゃんと拭けてない人は割といる。

 しゃがむのを着座式に変更を案内しても着座に抵抗があるようで断る人達がほとんど、ってことはオシリが洗える機能が付けられない。

 ここも両方あるんだけど、大人はしゃがむ方を使うみたいだ。

 ウチ関係は人も動物も毎日入浴するし、石鹸も使うから基本無臭かなあ。

 人魚はサカナメインだから体臭も臭くないよ。

 なのでただよう匂いはフローラルか、ココナッツの香り。


 嫌がっているだろう三ツ滝郷の子ども達も「ツアーだから」って本島に連れて行かれて、イキイキと働く親たちをどこかで見る。

 いつもエラそうにして、怒っていたり命令ばかりだったのが、見たことのない優しい表情をしているだろう。それだけのことだけど何かがきっと変わる。

 キレイに調った畑。大きなココナッツやバナナ。チョコの元がこういう実だったとか、南国の花が鮮やかでキレイだとか、島民がファッショナブルでカッコイイ。


 来たときには緑にあふれていたけど、実を付ける木とかの花だけだったし、侵略のモードの時は、みんながズルズルと本当の奴隷達みたいにうなだれていて、働かされた感が満点だった。

 花の木や草を植えて、道や木々を整えていったから、こうなった。意図的に作ったんだから、見え方は計算している。

 だらんこだったのは、陸上で働くってことがなかったから「ツライ〜」って、それを喜んでいたんだよね。

 身体も出来てくれば、元々背が丸くならない骨格なんだからスッとしてくる。

 秋に農民モードになって、お互いそれがカッコイイって思うしって、まだまだ遊びだったけどね。

 意識が(マトモに)変わったのが春頃からで、製造計画だとか、農業以外の話もできるようになった。

 まあ、そこから1年掛かったってワケだけど・・


 三ツ滝郷の子ども達も見直してくれるだろうし、観光の案内方法とかをフィードバックしてもらって修正する。この先には体験農業とか、乗馬体験とか、火口見物とかも予定してる。

 閉じちゃって今はならして緑化してるけど、ドクドクしている(ウソ)火口をこれから造る予定。物語な背景は必要かなあと思って。

 現在の噴出口は海底でずっと深海だから、見に行くツアーもできない。

 好評だったサメツアーやエサやり(襲われ)体験、クジラやイルカを見たりっていうのもあって、お姉さん達がいるし、これからよろしくねをする予定。


 観光の島になるし、危険なサメが寄ってきてもらっては困るから、クジラと協力して排除してもらうの。

 他のは大人しいし、サメはこの島の特徴っぽいし、漁の対象だものいっぱいいて欲しいかな。

 割とずっといる。けどいるだけ、コッソリ見守ったりしていないし、本島の調整とかしてる。

 とてもキレイな先祖の遺産のようなところに住んでいると、新しくしたりしないで、維持しようとするものなの。

 いつまでもあって崩れちゃっても直したりする。

 だから出来る限りきれいに作って、いつまでもこの風景を守ってもらえるようにするんだよ。


 美しいはきっと心にも作用して、僕が見つけたかった気持ちをいつか当たり前のようにみんなが持って、難しかった料理も当たり前にして、採れたモノで島の味を作っちゃったりするのかな。

 そういうつもりで百島ももしまを作ったんだけど・・ダメだった。

 だからこの島はね。ずっといつまでもって願いを込めてみたんだよ。

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