619 まじな試験しま〜す。

 月曜から三日間が楽しい試験で範囲は今年の全部。当然、学校行事だった運動会やお祭りや遠征とかもだし、水泳大会のことも問題に出て、今年ならではのこよみのことも良い問題に出来たかなと。

 科目分類を始めたから、ごちゃ混ぜではなくて読み書きは標準語だけだし、外国語では共通語の他にお隣のいくつかもちょろっと出る。

 例えば登場人物の心情をって問題で、つい使っている方言だか分からない口語で書いちゃうとバツ。文章に引きずられないように気を付けて。

 僕もよく混ぜこぜしてるけど分かって使ってて、リアルイントネーションするとネタにならなくてポカンとされる。


 言葉は大事なモノって意識があって、気持ちを表現したいときに使うだけで、方言をネタとして使うことはしない。

 適当に使っていたら現地で発音や用法を間違っちゃう気がする。

 そんなに器用ではないから、引きずって正確に話しているつもりが伝わらなかったり、誤解されたりすることになるかもしれないでしょ。

 僕も会う人全部の言葉を話せることはなくて、知っている近い地域の言葉で話しているだけ。そうすると向こうもそれを知っているから会話が何とかできる。

 共通語は伝わる言葉だけど飾りのない言葉だから、ハジメマシテで仲良くなりたいなら使わない方がいい。

 シンプルな言葉は冷たい印象になりがちなので、色んな事、例えば季節や天気を織り交ぜて、相手を観察して言葉にする工夫が必要なんだと思う。


 共通語の問題はそういう感じで天気や気温の表現とか気持ちが多く出てくる。

 他の地方語はオハヨウとかオイシイとか1、2、3とかトイレ使いたいとか。

 標準語の「トイレ貸して」っていうのはビックリした。

 だってアレを持って行かれると困るし、どうやって持っていくのって思った。

 そういう齟齬そごが起きないように、最小限のこと、文化の違いなんかをチラッと学ぶって感じ。見逃しがちだけど大事でしょ。

 からいとかっぱいの苦手とか言っておかないと、地元でウケ狙いの極端なのが出て大変なことになるんだけど、それをネタにして遊んでくるのは不和の元。


 官吏の試験とかそういうのを見て、それぞれの国の学びの傾向や程度を知る。

 今まではよく分からない貴族の歴史や文化を習っていたようだけど、そういうのは重要とは思わない。主なものだけでどんな政権があって、政治が変わったねの方が大事で何故なぜそうなったとか、それでどうなったとかを学んで「だから」を理解して「自分なら」する。

 与えられたものを詰め込むだけでは知識なだけで、使い方を知らずにぼんやりしていた過去の僕と変わらない。それでは学校に来る意味がないの。


 運動会やお祭りや遠征が個人にどういう学びになっているのかは実は分からないけど推察は出来る。問題は最初にあった期待で、答えはそうなった結果とかそうなる傾向なだけで、計画はざっくりしたものだったもの。

 計画書にそういう細かいことはなかったし、現場で考えたものもある。

 あとは場当たり対処を期待した。

 それを問題に使って正当化してる。残された企画書が事後に書かれた報告書というのは良くあるけど、失敗もしれっと創るウソツキは僕くらいだと思う。

 本当の理由は「何かしたい」だけだもの。眺めているしかできないんだから。


 筆学所では習わない外国を含めたザックリとした歴史と地理も学ぶ。

 今までのは落書きみたいな方向や距離を無視した地図でおかしいというより奇妙で、これが重要機密って聞いて、すごくガッカリした。

 遠征した一番遠いところがひと月というのは徒歩なのか馬車なのか分からないし、経由する手前にある王都までもひと月というのはあり得ないよねえ。

 行ったところはどこも海沿いなのに内陸に書かれていたのもあるし、王都の向こうにあったのもある。何日かが分かれば良いとか言っていたけど、パッと指摘できる矛盾ばかりで「こんなんで重要書類? めてんの」って言ったのはナシにしてね。

 というか距離で表記して。


 僕の作った地図はまだ抜けている地域はあるけど、かなり正確で色分けしたりしてて楽しい。竹定規で測って計算で距離が分かる。

 歩く速度で日数は出るけど、道の状態に馬車は影響する。

 海沿いなら隣街は半日で用事を済ませて帰って来れるようになっていて、正答率は高かった。うむうむ。


 では王都までは行くのは・・歩きでも同じく不可能が答え。

 これはひっかけ問題じゃなく、内陸は隣街まで行けるかどうか分からない。色んなお友達とお話ししているとか、街の西地区の事は自然と耳にすると思うし、遠征してお客さんと会話していれば間違えないはず。

 これは社会科の試験だったでしょ。さんすうなら速い馬車とか道の事情に治安は加味しない。それを分かって答えたなら悩む問いではない。

 息抜きのつもりだったし。


 机上と現実で悩んだかもだけど、ウチには理論を超えた現実があるんだから、見えたままが正しいし、変えたいなら変えられる。

 実際には理論を超える製作はできないんだけど、公開しないことは割とあるから、見かけパラドックスはかなりある。

 それを当たり前にしないで、ちゃんと不思議って思ってね。


 上のクラスでは、さんすうは算術を超えてきてて、考えないと答えが出ない。

 それで問題の最後に算学か数学かってアンケートを入れて、数学になった。

 僕もパクパクする言葉よりも言いやすいから助かる。

 結構、新しく加えちゃっていて、事実上放って置かれていた標準語を引っ張り出したもので、前政権の最大の功績だと思っている。

 一つ前のはここが王都で初めて国を統一して戦いの人達の政権を樹立した。それまでは緩やかな統治で従うのも表面的なものだった。

 それを武力で負かしたから、従わない素振りを見せれば滅ぼされる。


 キッカケはそうだけど、1強になって他国にもにらみを効果的に出来る。接する国がどこも強かった細長い弱かった国が強国となった。

 急にどうしてなんだけど、陰には忍者さん達がいて情報を集めて戦局を有利にしてくれる。来ると分かっていれば準備して取り囲めば勝てるし、来ないって知っているなら帰りま〜すして、畑をたがやしましょうができる。

 戦う人達の下っ端は農民なんだから、駆り出されたらゴハンが作れないよ。


 ずっとただ待機しているうちに畑が雑草に変わって、あ〜あってなったり、パッて攻められて、ザクザクって良い感じに育ってきた作物を刈られちゃう。

 青田刈りってヤツ。

 バタバタしてる時にエライ人を捕まえたり、取ったど〜したりっていう正々堂々とは違う事ばかりして、他所よそを弱らせたってわけ。

 それで勝ち続けにはならなかったのは、他の国も忍者を雇ったからで、圧倒的にはならなくなった。

 それで暗殺し合う・・にはならなかった。諜報が仕事として進化したんなら、顧客を失うことは当然避ける。いちいち危険をおかして侵入なんかしない。

 情報は先方にもらえばいいって事で実は繋がっている。派遣したんだもの。


 勝ったり負けたりするだけで国境線は変わらなくなった。戦術をアドバイスしたり、兵の訓練法を教えましょうとかの技術方向に進化して、華々しい忍者の技は戦いばっかりが終わってからで、伝達速度や諜報のスキルも向上した。

 居ながらにして他国の動向が分かる。それは素晴らしいはずなのに向こうの方は契約を解除していった。戦いに忍者は不要って。

 それでまた大きな争いがあったんだけど、情報を持っていない国はコテンパンに負けた。すごい賠償金をとってウハウハして、貴族にも資金が流れて来たってワケで、味方する武将もいて内乱を起こした。

 相手にならないことは分かっていたから、みんなで集まって、その後の相談をしようって会議をしていた。

 そこにザバ〜ンが来て、主要な武将が全部いなくなった。

 で、アッサリ内乱が成功して政権が変わったってことなんだけど、そういう歴史は書き換えられて元気に戦ったことになってる。


 そういう歴史はウチの人達ならみんな知っているんだけど裏話としておいて、残す歴史はどうしよっかって相談中。歴史にウソが多いんだよ、この国も。

 なので次回は試験や資格関係には歴史は出ませ〜んってしてる。

 その分抜けてラクラクとはならないけど、明らかに矛盾しているナゾ歴史を覚えないで済む。

 オカルトチックな始まりだったけど、去年もっとさかのぼれるってしちゃったから整合性が取れていないの。100人以上もの歴代の王様を覚えるとか、たくさんの貴族、王様も兄弟姉妹いっぱいだしとかね。

 今代も養子とかもバンバンするから、人物がからんでワケが分からない。


 官吏認定試験は実務能力重視に調整したから、使えない知識より現実的。受かって勤め始めたら違いすぎて、愕然がくぜんとして辞めちゃう人は出ないと思うし、新人つかえね〜のが、上司の子どもだけかもね。

 寿限無寿限無って何のためか分からない事を小さい時から覚えたことは(王都では少し役に立つかもだけど)使う機会がないの。

 試験で半分以上占めていたそれをゴソッと取った内容に変わる。

 もう1日がかりってこともないし、具合が〜人が〜とかで別室受験もあり。


 前に聖国の役人試験に匹敵するって言ったけど、内容は大きく違う。

 必要な知識を詰め込んだから難しいってことで、国際折衝のための他国の知識や現況の把握、簿記ぼき、ナゾ公式が登場する高度な計算とか、証明とか、色んな金属の精錬知識は通貨造っているからだけど、農業とか狩猟の知識もある程度は知っていないといけないのに勉強するような設備はないから独学だもの、大変だと思うよ。

 あ〜そういえば、学校造るの忘れていた。予定はあったんだけどね。


 体育は運動会やお祭りの練習でみんなすごいって分かっているし、記録をとって研究データとかに利用してる。運動の方法を知っただけで上昇率がすごい。

 調理はグループでやりましょうではないから、全員が一通り作れる。グループだと得意な人がハイハ〜イってやっちゃって、できないままの人が最初いた。

 目指しているのはイエメシなんだから料理は必須で、大人にもさせたい。

 簡単調理が美味くできま〜すってこともする。忙しい人って雑な食事になりがちだもの。食事は楽しくして欲しいし、るべき栄養を押さえないと大きくなれないし、病気になりやすくなる。

 運動の後のタンパク質や朝食で摂るのにも種類があるし、タイミングや量も知っておいた方がいい。


 チクチクも出来なきゃだし、ガ〜ってエプロンを作ってそれを調理の時に使う。

 ボタンは素晴らしい発明だって分かるのは、その前を知るからだしね。

 他にもジッパーとかペタリ付くのとかあってデザインしましょうは来年。

 今年はボタン穴作りして、ボタンも付ける。

 チクチク作るのは大変だけど、知っているのといないのとでは大きく違うんだよってことは体験しないと分からないよね。


 工作は大人クラスでもする。土コネコネや椅子作りは楽しいし、染色や絵付けのスゴイ人は時々見つかる。だからってそっちに進みなさいはもう言わない。

 オススメをした方がラクなんだけどって事もね。どうせ。

 今は何でもして、好き嫌いなくやってみてやりたい事を見つけてね。

 も〜いくつ寝るとって時期でもあるから、去年は文字書くだけだったけど、そういう宿題も出す。どうだったか教えてね。


 それで試験終わったし、遠征のご褒美ほうびってことで協力してくれた人達だけ明日から旅行。街の手伝ってくれた人達はチケット渡したから年が明けてからってことで、年末のお仕事をキッチリ終わってね。


 これを予想していたみたいようで試験終わりの終業式では、ワ〜って大きな歓声になった。

 アレは任意だもの。そうなるとメンドウだから行かないにする人達も割といた。

 僕がお友達もいるからって気を使ってイイヨイイヨすることはないの。

 お仕事だって言ったし、ちょっと前に似たお祭り(学校行事を)したし強制はしていない。去年も十分な成果があったし、サボった大人との差別化やテストしてって、つもりもあった。


 たぶん来年はしないけど、正式オープンするからお金貯めて行ってね。

 街の人達には、結構イイ仕事料を払っているんだから、無くても良いんだろうけど販促って意味とちょっとテスト風味。失敗しても笑って許してねってことで。

 じゃあ今日で学校は終わり〜! 楽しい1年だったかな。

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