618 寒いけど暖かい。

 連邦のトップ会議のメンバーが一新されたらしい。

 おベントのケータリングの時に聞いた話らしくて、今回の冬騒動には直接関係していないのまで更迭こうてつされて、隠していた不正蓄財を没収されたって。

 それは全員、王様もで家族いっぱいなのに同じく没収されて、家族いっぱいいるし王の肩書きだけの一般事務職に降格したらしい。

 他の人達はそのまま辞めたみたいだけど、王様は降格になっても残ったらしい。

 王の蓄財は国と近すぎて、ゴッソリ取られたみたいだけど、働くってエライね。


 処分が厳しいのは改革のムードだからじゃなくて、連邦にとって冬は生死に関わることに直結することだから。

 去年から警告していて、準備してきたことをダメにするところだった。

 私利私欲でただでさえお金の無い国に散財させて混乱させた罪ってことらしい。

 ワザワザ公布と同様の知らせを倹約財政の中で国費で行って、援助してくれている商会との関係を悪化、優遇の条件を悪くしたって罪。

 もう法律がちゃんとあるから、誰も彼もぷら〜んとかにはならない。

 ウチにとってはオンブおばけになってて重荷だったから都合良かったけど、国としてはこれで春から始まる予定だった返済が出来ないどころか、追加借り入れ|(債権証文)を要請された。


 民衆に分かりやすい発表だったけど、実際は罪はもう既にあって上から5番目くらいまでいなくなって指導する人達が必要だっただけ、罪状は審議済みで実行を留保されていただけで、ちょっと調べれば分かる。

 何で安心していたのかが分かんないんだけど、ヤ〜メタって人を外で見ることは実は身近である。足りない分は強制労働だから工事現場とかにいるよ。

 王様ももう自由に意見を言うことはできない。王様好きの人達のためにニコニコしてただ居るだけの人になった。


 これからのんびりするつもりだけど、それはのんびりに入らないらしい。

 改めて、かつて村だったところを見る。

 古ぼけた風の駅舎・・にワザとしてて、そういうテーマで統一してる。

 壁に水槽があって海のと河のが一緒に泳いでいる。美味しそう。

 そこを出ると厩舎がド〜ンとあってその先に狭い原っぱ。左に大きな建物がチラリ見えて前にもキラッとしたのがある。白い塊、また大きな建物。

 駅の反対にも建物してて、こっちはポツンだけある。その間、線路の先は森。

 反対は海ド〜ンではなくて柱状の島がいっぱい、先っぽがこんもり緑してる。


 小さい建物の前には露天お風呂で、広め湯池に別々の泉質のが流れ込んでいる。

 お風呂は僕にとって必要だけど、建物の方が大事。これは他の場所にもあって、僕の他は入れない部屋。

 東雲しののめには温泉はないから作ろうかな。他にもあるナゾ部屋は入らせないし入口がないんだから興味を持っても無意味だよ。


 トイレは常に最新のが駅にあるし、さびれた駅なのに調理室が立派で真ん中の調理台が広いし、大きな冷凍室、冷蔵室があってお肉とかお魚とかがお休みしてる。

 食器はちょびっとあって保存容器がいっぱい。不釣り合いに大きい。

 自分用には作ったり作らなかったりで、もっぱらお土産用に調理してる。

 食材は何でもあって、他では無いのまであるよ。

 廃棄が出ないように在庫把握、賞味期限を見ながらレシピの研究とかもしてる。


 反対側のチラリ見えていたのは飛行の道具の発着場兼保管庫。ノルデンサイズのが4台入る。今はオスティンとノルデンがあって、ハミングバードやロビンがいっぱい。

 行き来が減って、フル稼働ではなくなったから、整備待ちとか休憩ってヤツで、整備の時に気づいた機能を加えたり無くしたりしてる。

 使い勝手が悪くなると使わなくなるから、利用度が下がったのが帰ってくる。

 直してってだけで、ただのソウイウ機能なだけだけど嬉しい。

 ここに人は帰ってこない。


 キラッと見えたのは温室でずっとある。これでも一時期よりは少ないけど、激減していないのは品種が増えたからだけど、遠くの方のは土だったり、豆とか草あるけど緑肥してて何も作っていない。

 ほとんどが早回し用の畑で老朽化が早い。何度か建て替えをしてる。

 前にあるのは熱帯のだったり、果実のだったりでチラチラ経過を見ていて、どれも品種改良をしている。


 白い建物は蔵ってもので、ミソやショーユ、お酒とか、特別なものや特殊なものばかり。個々がすっぱり分けてあるから、場所効率の悪い蔵にする必要はないんだけど、気分ってヤツ。梅干しや梅漬け、梅酒とかのリキュール、各種漬物いった漬ける系のや、それから派生するものは街に工房を造ったから、空いたところでチーズを作っている。

 これもレシピ、菌が大丈夫になったものは、東雲でする予定でケンシュウ中。


 ここに来た時には、あったものをそのまま持って来たから今まで通りをしていたんだけど、増やしたいという希望に応えた。

 僕もよく分かっていないし興味はあったから、どんどん建てていったし、アチコチから収集もした。

 出来るっていうからだけど、フォローが大変だった。それが遊びの気持ちばかりで、誠実ではなかった理由は心の分からない僕が知ることはできなかった。

 そのお世話で何を間違えて、何を失敗するのか、突飛なことが良い結果だったりで無駄ではなかったけど、自分からしたことはちゃんとやって欲しいよね。

 遊んでいた人達が帰ってゴッソリ減ったけど、続けたいってものはあるから、行き来が出来ないゾーンに移動して続けていた。

 そこにはもしもに備えてごっそり伐採してて、ちょうど広々してたから、そこにモモを植えて増やしていたし、すっぱいサクランボの木とか、辛いぶどうの木、あとは畑とかを避難してた。


 バックアップは大事だし、真剣にやっていた人達がナマケモノに豹変ひょうへんしていくのはよくあったことだけど、最初から気持ちがなかったことに気付けない。

 それを分かる事が出来たのなら、最初の失敗もなかったはずで商会が迷走して、色んな事が後手に回ることもなかった。

 プラスの気持ちでコーティングされているのは分からない。

 すごい詐欺師さぎし(って自負じふ)の僕がだまされるのが、気持ちをいつわるという手法で本当にそう思い込んでいると感情の欠けた僕には看破かんぱができないみたい。

 そういえば、どんな危機も察知するはずなのに、割とグサリされるとか、スコ〜ンと記憶を飛ばされるのは、そういう事だったのかもしれない。


 今までずっとやっていた人達の作業まであらくなって、文句をいっぱい言うようになった。

 これって効率化や味の改善、衛生とかでもない。

 何かが良くなることではないし、やってしたものでもない。

 色んなのをはずしていったものは、初めて記憶だけで造った・・と変わらない程度のもののようで、量もそれくらいなのにベテランの顔をしてる。

 今はやっぱりどっかの工房に入ったみたいだけど、あんな態度が通用するとは思わない。使う品種は百島のから契約農家に変わって酵母こうぼは用意した。

 工房は老舗らしいとこから引き抜いた人達で、やってもらって良いなって思った人に工房主を任せてスタッフを選んでもらったら、女性ばかりのとことかが三つできたりした。

 職人に大成した女性はいないらしくて、でもコンチハしたときには若手は半々くらいで、年配に女の人はいなかったんだけど、会話と雰囲気であ〜そうって。


 当然、課題はしてて自信作の改良酵母と大豆の、この地域の普通のものと挑戦枠を用意してる。

 僕が一通りつくって味を高めているものをずら〜っと並べて味見してもらって、ここからやってみないってした。

 元の工房のをちょろまかしてそのまま造ったんじゃ盗作になっちゃうし、面白くない。これはアチコチで買ってもらって付いているちょびっとのを収集、さらに改良しているからセーフ。

 やっぱり伝統の味にとらわれているだろうし、そんな狭い世界に留まっていたから保身に走るような、ちんまりした世界でこちゃこちゃをまたきっとする。


 かなりバリエーションがあって他にもあるんだけど自信があるのだけね。

 これをちょっとお皿に分けたのをそれぞれめたり、いだり、ゴックンしたりして選んでもらう。

 レシピもちょっとずつ違って、ここでは好まれないのもある。

 ウチで造っていたのは1年醸造するけど、早回しするからずっと早いだけで速成はしていない。ショーユのレシピ寝かせないものだったけど、同じくらい置いた方が美味しいからそうしてる。

 簡単にミソっていっても赤いのや白いの、こうじのがあってそれを胡麻を混ぜたりして加工するのもあるし、ショーユも濃いのだけって思っているだろうけど、薄いのもあるし、材料や製法でも味が変わってくることが分かるよね。


 火入れのタイミングとか濾過の仕方とか、老舗しにせは他の職人に大事な所は隠していて、それは一子相伝に近いやり方をしていて、有名どころにいたって同じ味を再現できるワケではないの。

 僕は研究してたくさんのデータからレシピを作っているから、温度湿度管理や衛生とかを道具で計測して、その通りにすればソコソコのものが造れるってわけ。

 それを最上のものにしてってオーダー。工房間では秘匿ひとくしないで大いに人材交流をして、見せ合って高めて欲しいし、それをフィードバックしてレシピを完全なものにしたい。


 味に自信が持てるようになって故郷に帰りたくなったら、工房も材料調達経路や販路も作るから大いに地元の味にしてねってお話しした時にはビックリしてた。

 フルオープンなのはこういうことで、オイシイは広めたいからねには感激して泣く人もいたんだけど、Uターンは僕らの関わりのあるところだけだし、そうじゃないと約束はかなえられない。

 行った先で修行の話をして、若手を送り込んでくれるかもしれない。

 仕入れとか販路とかで結局は僕からは離れられないんだけどね。


 秋から工房は過剰に造っていて、道具を利用する速成組と伝統風味でじっくりなのがいて、速成の人達は帰郷希望だったから、故郷か近くのところで製造をしてもらう。

 超ハードだけど目標がちゃんとある。忙しいけど、カリキュラムを段階毎にこなしていけばある程度以上にはなる。ちょっと時間が足りないんだけど、後は実践をこなして向上していってね。

 修行に入って十何年かしてもろくな知識や技能は得られなかったのに、スッと身に付くように工夫してて、工房間を移動する人が常にいるから、閉鎖的な考え方を壊せるかなって実験風味。

 味はソコソコからスタートだけど、仕入れのは僕らの所だし安く出来る。

 狙うお客さんは美味しいものをこれから知っていくお金持ちではない人達だから一緒に成長して行くってイメージなの。なんか愛されそうで良いでしょ。


 僕は人の友達は作れなかったけど、気持ちの誘導とか盛り上げ方とかは分かる。そのための布石作りはしているし、これからさらに種まきして肥料をタイミング良く加えながらすれば、きっとよく実ってくれるだろう。

 世情はちょっと不穏なんだけど、関係するところは荒れないようにしてるし、いざという時には支援もする。

 蔵はそんなことがあって、やってばっかりだったけどイヤな感じはなかった。

 僕に好意的なのかなあって誤解はもうしない。お仕事の上でってことだよね。


 蔵のそのお隣は花卉かき棟で希望の通り大きくしたけど、当のやってくれてた子ども達は帰って来なかった。

 あの気持ちはウソではなかったんだろうけど、ホントでもなかった。

 今回エルフのことで、からんだシルフィーにもキノコ&カイコ棟の思いは無かったなあって。これもどこかに任せたいんだけど、どうしようかな。

 三ツ滝郷でキノコをダメにしてたし、出来そうな人材が思いつかない。

 カイコはこの辺は盛んだから、改良程度。あとコレを利用した美容利用を研究してて、学校で研究テーマにしてくれるんなら渡すんだけど・・


 花卉生産がタネ商品のように残って、そのままオンしてんの。

 作業に人手が要るけど、チカラが要るところをナシにして、子ども達の仕事に用意した。情操を育てるにもいいし、繰り返しの仕事もちょうど良いくらい。

 キノコやカイコの世話もすごく合ってるって思っていた。

 楽しい仕事だったけど、大切な・・にはならなかった。サカナいっぱいの水族館もカモメも動物達やシャチ、それに接客というのもね。

 家が変わって街に住むようになって、心境の変化(を僕が分かるはずないけど)も感じられない。

 同じように僕に接して来るし、仕事をしなくなったことを気にしているようにもみえなかった。


 盗賊村とか売られたとかの子も傷がえているんなら良いことなんだろう。

 子どもは僕に近いと思ったけど、心の内を分かる事はなかった。

 学びは楽しく身に付いているようだし、今が楽しいなら良いのかもしれない。

 学校は来週から試験があって、実質今期のラスト。

 年明けはそれで判明した足りない部分を集中的に学んで、全員を揃えようとしてて、やっぱり取りこぼさない。

 大人の方はもうちょっとシビアなんだけど、学校に通うことが目的になっている感じがどうしてもあって退学や留年するのも出るだろうね。


 学校が「万民に教育を」とは思っていない。

 研究者を確保して、僕の興味のために研究をして欲しかっただけだし、当然その他のこともしてもらうって、子ども達のための先生役をしてもらった。

 人と強制的に関わる事で広い視野や欠如している社会経験をして、もっと深く考えられる人、研究する彼らを受け入れて欲しかったというのもある。

 どう教育するのかっていうメソッドは里や人魚の町でして、今までの恐怖で詰め込むというのではないものを探した。

 結果、色んな事をするにしてて、順番とか内容はまだ模索中だけど、この方法はなかなか良いみたい。

 ドリルにしたり、パッケージしてみたこともうまく行ってる。


 交流も学べるって副次効果を経理騒動で大量に入れた人達が作った。

 主役だった人達は仲良しを構築して、それぞれ就職したんだけど、経理の人達がごっそりいなくなって、いちおう勉強を継続して、まだ通っているのはいるしお金持ちの就職しないボンボンはいる。

 ん〜まあいっか。害はないみたいだし。


 蔵の先にあるのが僕の研究室で前より広くして、ちゃんと整理もした。

 その先には果樹園やぶどう園とかがある。

 一時期よりはコンパクトにしてて、常に稼働状態の部分は過疎かそ村程度。

 水族館は養殖場のようだけど、出入り自由で、ゴハンあるから避難とか休憩所のような感じかなあ。

 シャチはすっかりホームにしてくれて、ずっといる。ニャーニャートリもいっぱいいて、とても賑やかでココは楽しいよ。 


 これをみんなにも感じて欲しいなあって、もうじきどうぞしてみる。

 遠征に付き合ってくれてありがとうって気持ちをね。ホッとする温泉宿とはまた違った楽しさを足して生活を豊かにワクワクでいっぱいにするんだよ。

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