013 食べるの幸せ
これからの晩ご飯、新しいメニューを提案しま〜す。5日で一巡とか、さみしすぎる。ひと月毎日違うものとは言わない。ある程度で繰り返すのは材料や調味料が少ないからもあるけど、それでもなの。焼いて煮るだけだって大丈夫。食事は楽しくって、ワクワクするものなんだから、ね。
僕はあまり食べなくても大丈夫なので食事は生きるためじゃないの。でもお腹は普通に
食事は大事! 美味しく食べないともったいない。材料とか、その扱い方というのは本に書いてある。でも、どうやってが書いてないし、細かい数値が載ってないから作れない。きつね色とかどのキツネって思うし、ほんのりとか、ヒタヒタって何のこと。ひとつまみって、人によって量違うでしょ。
作ってるのを見れば良いって思いついてから、あちこちに忍び込んで作ってるのとか、作ったのとかをこっそりしてた。僕は空気ってされて無視なんだけど、透明になってるってことじゃないから、当然見えてる、よね。
聖都の偉い人は、毎日違うものを食べてるって思ってる(言っているのを何度か聞いた)から、余計無茶ぶりしてる。食材を別な人に買いに行かせて、これで作れとか言うらしい。考えて見てよ。珍しいだけの食材渡されたって、それを切って焼いてで料理ができる事はあんまりないから、困るはずでしょ。でも大丈夫だったりする。毒じゃ無ければ問題無い。とにかく見栄え重視で、高い食材を煮たり焼いたりしてるだけ。確かにお高いの食べてるけど、味分かる? 香辛料そんなにかけたら何だかわからないよ。
まあ、料理の人も分かってるから主人の料理は見栄えだけで味見はしない。舌がおかしくなるし。こういう人は費用が味みたいなものなんで、
なので、僕が拝見するのは、まかないの方。高級食材を適切に調理したものはそりゃ美味しそうなんだけど、ガードが堅い。でなかなか盗み食いが出来ないから、盗むのは調理法。見て食材や分量が分かるよう頑張った。お偉いさんの使用人で屋敷維持のメイドさんや執事さんが超人気なのは、お給金もあるけど、これ。
町の料理店だと、こっそり見ているぼくに気がついていても怒らない。裏口に小さいお皿で置いてくれることもある。もちろんキレイにお皿まで舐めて、にゃ〜って言って感謝する。(空気はしゃべらない)
最初は、食べ物(というか調理法)を見るためにうろついていた。そのうち、僕と同じように空気あつかいされている人達がいることが分かったというのがみんなとのキッカケ。(おじさん達は違うけどね)
うちの町の料理(この食堂)は、香辛料とか高いの、珍しいのとか色んな食材とか値段を気にしないで使ってるの。僕がそういう料理系が詳しいというのもあるけど、蓄財が目的じゃなく楽しくやりたいから。
そのうち、ここの地域だけで生活を賄(まかな)えるように目指している。お金持ちの国から稼げる見込みだし、パ〜ッといこうって。外貨は材料と交換するため稼ぐ。高いはずの香辛料がいっぱいあるから使わないと傷む。減ったら買えば良いし、そのうち何でも賄うつもり。
「はい、新作! 召し上がれ」
一度にいっぱいだと覚えきれないかなって5品くらい作る。ニオイで調理室に顔を出す人もいるから、試食は多めに作るようにしているの。これくらい変化を付けないと、毎日同じって思う。
僕がここの料理メニュー考えてるんだからね。会うたびノラネコとか言わない、そこの子供達。
「後のメニューは、まかないでも出すからしっかり覚えてね」
期待の目が、こ・怖い・・三人までにしてもらって、教えてるんだけど、意思の
この後、教え合うことになっている。手間になっちゃって、ごめんね。
作っておいた石鹸が固まっていたので、これから使ってみる。問題無かったら、今日から置くよ。そうそう、温泉のお湯では泡立たないって言われるけど、ここのは成分的に大丈夫!キレイになってね。
お風呂に行って、石鹸使ってみた。洗う前の腕と比べてみる。
「やばいって。こんなに汚かったの、ボク」
・・・驚きの洗浄力だ。さすが未知なるパワー入りは違うなあ。感謝っ!今日は、これで洗って確かめるけど、髪が細いから負けそうだし落とした油分とか偏ったバランスとか補わないと。お酢で良いかなあ。
丈夫な人達が多いから、当分は両用でもいいか。(未知なるパワー入りだしね)
今度、違う材料でもやってみよう。
「なんで見られているの、怖いよっ。お・お風呂に用意した、お風呂だって」
お風呂から出てきて、食堂に行って料理の練習を覗きに行ったんだけど、ジロジロ見られちゃって。
「つやつやっ!」「さらさらだぁ!!」「肌の色違う、別人みたい〜!」「ぷにぷにぃ」ってベタベタ触られたぁ。
「ボクは男だよっ」
そこのっおじさん! 手をワキワキさせて近づかない!
「知っとる」「分かっとる」「ちょとだけだから」「痛くしないから、なっ」
なんかもう。なで回されたぁ、ぐりぐりと・・・
その後、お風呂が大混雑になって、何かのレベルが上がった人がたくさん出てきたのだった。
そして、また朝が来たの。まあ来るよね、夜の次だし。
食堂がね。明るいの。雰囲気はもちろん、光的にピカピカって感じ。別人! 女の人はもちろん男の人も残らずみんな。2段階ぐらい色が明るくなってるし、グレーだったのが「髪、茶色だったのかよっ」って言われている人もいた。どんだけ汚れていたんだか。
今日も朝の会議に食べ物関係の人来なかった・・・って、食堂の人だよっ。昨日も一緒に料理作っていたよ。お風呂の後に、ぷにぷにって、ぐりぐりって、なで回されたよぉ。
「で、来たよ」
食堂に行くと、何の?て顔された。
「ここの人誰も朝の会議に来ないから来たのだけど」
「ああ・・・そんなのやってんだったねぇ」
ごめんね。てへっって顔された。 まさか・・・言おうとすると、
「え〜と。卵は毎日食べてるでしょ。卵はいっぱいあるの。トリしかいないのよ」
「牛どうしたの。十頭くらいいたよね」
乳製品の計画が他が忙しくって見落としていたあ〜
「・・・食べた。というか毎日食べてるでしょ、お肉」
「実際は、潰したってところ。肉食わないと力出ないって言うでしょ。あの人達」
「狩り、狩りしてる人は」
そうだよ。狩ってくる人が何人もいたはず・・・
「こっちの方が重要って言われて、畑に行ってるって聞いたけど」
人数が変わらないはずが余裕だったのは、別グループを丸々引っこ抜いたからかあ。そういえば、今日の畑の人って狩りの人だったような。何か違うなあって、あれって思ったし。
今さら、どうしようもないよなあ。どうしよう。でも、乳製品は作りたいしなあ。山羊なら、すぐ買って来られそうだけど。草原の維持や食肉を考えると牛やブタが良いよなあ。
あれ、あれれ。牛を誰が肉にしたんだろう。狩りの人が畑なら、毎日くたくたで出来ないよなあ。
「じゃあ、肉にしたの誰?」
「あたし達〜 こうサクッとね。じわじわとか、苦しいのずっとだと味落ちちゃうのよ」
可哀相だしね、って良い顔で言われた。うんうんってしてるとこ見ると全員できるのかあ、すごいなぁ。うさぎくらいなら、僕も簡単に出来るけど、牛くらい大きいと、
う〜んって、ちょっと考える。
「じゃあ、近くに大きな牛の群れがいたので、獲りに行かない? 林の方だと
キラ〜ンで光ったよ、目が。
「じゃ、生け捕りね。昼は弁当を積んどけば良いから、作ったらみんなで行ってみようねぇ」
おなじみのお姉さん達なんだけど、大丈夫かなぁ。
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