第2話
「しょう・・・」
「・・・ぐん?」
渚とゆかは目をぱちくりさせる。
「はい」
「将軍って。徳川さんとか、藤原さん的なあれ?」
「すごいよ!渚!あっ・・・その、将軍、さん?将軍様って言った方がいいのかな?・・・エイリアンだって疑ったりしてごめんね?」
「エイリアン?」
「将軍がそんな乗り物に乗って来るから悪いんだぞー。砂浜で乗るならせめて白い馬にしとけよなー」
「でも、お馬さんだったら走って逃げちゃうかもね?ひひーんって。見た事ない珍しい乗り物だったから、渚もわたしも見つけられたのかも」
「・・・珍しい乗り物?ああ・・・これの事か、驚かせてすまなかった。本来なら正式な訪問手続きを行ったうえで、しかるべき方法でこの地へ訪れなければならないのだが、昨日は急を要する事態だったんだ」
「将軍様は忙しんだね?」
「昨夜は、特別だった。すまないが君は?」
「えっ!?・・・・ッ!」
・・・・・ブゥゥゥン。
将軍の関心が自分に向けられると、由夏は影のように音も無く素早くスライドした!
「うわぁあっ!ゆか!びっくりするからそれ使うなっていつも言ってるじゃん!」
「ぅぅぅう。ごめんなさい」
「まったく。私、渚。こっちは由夏。どっちも高校生」
「そうか。優れた高等教育のおかげで僕は助かったのだな。改めてありがとう。渚殿、ゆか殿。」
「はっはっは、苦しゅうない。褒美は両手いっぱいのイケメンと小判でいいからねー」
「なっ渚!将軍様に向かって失礼だよ!!は!しょ将軍様あ!どうかお許しをぉお!」
ゆかは泣きながら跪いて哀願した。
「いいんだ由夏殿、褒美というのは余りにも偉そうで相応しくない気がするけれど。いつか必ずお礼をさせてくれ」
「冗談だよ将軍ってばいいって気にしなくて。困ってる人が居たら助けなさいっておばあちゃんから言われてるもんね。じゃ、行こうか由夏?」
「うん。そうだね。じゃあ。将軍様?私達学校があるから。いくね?」
「わかった。二人ともどうもありがとう。それと渚殿」
「うん?」
「渚殿は明日もここを通るのか?」
「通るよ」
「そうか、ではそれまでに式の用意をしておこう」
「しき?」
「・・・しきって?なぁに将軍様?」
「僕と渚殿の『結婚式』だ」
「ぶっ!!!」
「・・・!!!」
渚は腰を抜かしかけて。由夏両手を胸の前で組んで目を輝かせる。
何食わぬ顔で将軍が続けた。
「今の君は僕の体よりもとても大切なものだ。どうか気を付けて。いってらっしゃい渚殿」
「ちょっとちょっとちょっと!!まってよ!いってらっしゃいじゃないよ!もう新妻じゃん!新妻気取りじゃん!」
「渚殿。新妻になるのは君のほうだぞ」
「そういう事じゃなくってっ」
「なななななななぎ!なぎ!なぎ!!渚!落ち着いて!!落ち着いてっ!!!落ち着いてぇッ!!はっはっ・・・はっ!!・・・オエッ!!!」
「ちょっと由夏!あなたが落ち着きなさいよ!」
・・・背中さすさす。
「はあっ・・・はあっ・・・ありがと、渚・・・わたし、二人の為にお花でブーケを作るね?」
「そう言った土着の風習があるのか?」
「え・・・・うん。そうだよ?将軍様」
「そうか!なら僕にもぜひとも手伝わせてくれ」
「え?・・・うん!渚の為に一緒に綺麗なブーケを作ろうね?将軍さん!なんちゃって・・・」
「うん!渚殿の為にがんばろう、由夏殿」
「あーあーはいはいそこまでー!そこまでですよー」
「どうした?渚殿?君は由夏殿と早く学校に行かなければ・・・そうだ!僕が途中まで送って行こう。そうしよう!学校は・・・えっと。どっちらだろう・・・」
「こっちだよ!将軍様!」
「そうか!すまない由夏殿。よーしいくぞー!」
「ああーもう!はぁ・・・・まいっか・・・・」
「さぁ渚殿!遅刻してしまう!それに君たちの学び舎を見てみたいんだ」
「渚!いこ!靴の砂も払わないとね?」
「はーいはーい!今行く。今行くからもう」
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