出でよ、マイフェイバリットカード

 みんなに迷惑かけちゃったけど、なんとか試合再開。再開後の私の初手は羊市場!


「そういえば買い付け人発動するよね。はい、1飯払って羊もらうね」

「あ、そうですね。すいません、間を空けちゃって」

「いいのいいの。謝らない謝らない」

「……はい」


 やっぱり、ゲームを楽しもうとするよりも、まだみんなに申し訳ないという気持ちの方が勝ってしまう。でもそんなんじゃ、せっかくゲームを続けようと言ってくれたみんなに失礼だよね。

 よし! ここから先はアグリコラに集中しよう。ちゃんと、勝ちに行く。全力で、勝ちに行く。そのために戻って来たんだから。


「でもまー、さすがにびっくりはしたけどね。知らず知らずのうちに、私らが何かまずいこと言っちゃったんじゃないかって」

「いえ、そんなことは全然! 一方的に、全面的に、私の中の問題なので! お気になさらずに!」

「あ、私の手番だったわ。葦石木ね」


 というわけで、くびきさんは葦石木。

 甘菜ちゃんは豚さん2匹で、家畜追いと買い付け人とハイドシュヌッケン飼いが発動。家畜を取るとみんなが幸せになる。良きかな良きかな。

 ちなみに甘菜ちゃんはこのラウンドに『トリュフ探し』という職業カードを出していて、効果はカードの上に終わった食料供給フェイズの数だけ豚さんを飼えるというもの。甘菜ちゃんは厩をもう4つ建ててるから、柵を引いてないのに2種繁殖態勢を築いていることになる。もう飯には何の不安もなさそう。


「やっと使える! 森の監督者で、この間にワーカーを置いて、3木2レンガ!」

「おおー、初めての森の監督者発動ですね」


 すでに木を取れる場所がロクに残ってない状況で、これは強いな。これでほらっちさんの手持ちの木材は13か。そろそろ柵に行ってもおかしくない。

 石積君は小麦の種。また地味な手だなー。って言ってもほらっちさんが個別指導でよく小麦に行ってるから、空いてるときに行っとくのは大事だね。

 私は種パン! 3飯払ってドリル鍬で畑を耕して、小麦1つと野菜2撒き! これでとりあえず野菜は補充できた。残り3ラウンド、全て栄養士を起動できる。栄養士は今6点だから……ゲーム終わったら12点か。クラビフル起動と一緒じゃん! これは栄養士、なかなかうまく使えたんじゃない?


 その後はくびきさんがレンガ改築したり、ほらっちさんが5部屋目の増築をしたりして11ラウンド終了……じゃなかった。まだ甘菜ちゃんの厩見本作りが残ってた。失礼しました。


「厩を1つ壊して、飯と木と小麦をもらって、2木払って『搾乳施設』を出しますね。もうそんなに飯いらないんだけど、一応5飯もらっときます」


 搾乳施設は、出したときに羊さんが1/3/4匹いるなら2/3/4飯、牛さんが1/2/3頭いるなら2/3/4飯をもらえる小進歩。甘菜ちゃんは羊さん1匹牛さん2頭を飼ってるから、合計5飯もらえる。一応点数も1点付いてるから、どっちかといえば点数目的で出したんだろうね。


「あと、後見人で1飯払っときます」


 あ、それもあったか。


 4ステが終わったので、収穫処理。畑から小麦と野菜を収穫して、手元の9飯から8飯払う。で、羊さんが3匹から4匹に繁殖。良い感じだ。ここから先は、もう詰めの段階。残り手数をちゃんと考えて、やらなきゃいけないことと出来ないことの見極めをしないと。集中、集中。


 12ラウンド目、めくられたのは『急いで子供がほしい』、通称、急子いそこ。もちろん栄養士は起動。5飯2点をもらって、さてどうしようかな……って、あれ?


「スタプレ、私のままなんだ」

「誰も行かなかったからね」


 12、13ラウンドでめくれる急子と畑種は強アクションだから、11ラウンドはスタプレの奪い合いになることが多い。だから、11ラウンドにスタプレが動かないというのは、相当珍しい。ラッキーといえばラッキーなんだけど、そうなるとかえって難しいな。とりあえず急子で5人にしといた方がいいのかなぁ?

 いや、待て待て。私、今手元に木がないんだよね。あとゲーム中に必要な木材は、柵の残り3本と、機織り機用の2木で、計5木材か。家畜の点数のことを考えるとこのラウンドか次のラウンドには柵を完成させたいんだけど、まだ木材必要な人はたくさんいるよね。特にくびきさん。手持ちが5木材で、柵が残り8本か。喉から手が出るほど3木欲しそう。ここで急子行ったら確かに3点と手数は増えるけど、柵の完成は絶対遅れるよね。最悪、柵はこのままの形で終わることもあり得る。柵が完成すれば2区画が4区画になってプラス2点、さらに家畜の点数の伸びのことを考えると……ここは急子よりも3木材行った方が良いんじゃない? ここで5人にしたところで、5人目なんてロクなアクション残ってないんだし。えー、本当に? 今、12ラウンド目だよ? 急子をスルーして、3木材? マジで?


「なんか、いつもの織木ちゃんだね」

「もう心配ないですね。完全にいつもの織木さんですね」


 くびきさんと甘菜ちゃんが、何か話してる。

 うわー、また長考して待たせちゃってるよー、ごめんなさい。

 よし。これ以上考えてもわからん。ここは自分の第一感を信じよう。


「3木取ります」

「行かれたかー、じゃあしょうがない、急子にしとくわ」


 くびきさんはノータイムで急子。やっぱり私と同じ考えだったか。たぶん私が急子なら3木、3木なら急子って決めてたんだろうね。


「畑で」


 甘菜ちゃん、初畑。もういっそのこと最後まで畑に行かないのかなと思ってたけど、さすがにそれはないか。


「うーん、仕方ない、ここ逃したらもう柵行けないな。妥協して、13本柵行くわ」


 うわー、ほらっちさんに柵行かれたー! これで柵を引く機会は改築柵を入れても、あと3回。まだ柵を引きたそうなのは、私、くびきさん、甘菜ちゃん、石積君。誰か1人あぶれちゃうー!


「今更だけど、井戸を取ります」


 本当に今更だな、石積君! ここまでほっとかれた井戸が不憫で仕方なかったわ!  もうどうでもいいけどね! 私の次の手は、これだ!


「スタプ連打で! 出でよ、マイフェイバリットカード! 2木払って、機織り機!」

「おおー、織木ちゃんのカードだー!」

「織木さんのために流したからね」

「マジですか。ありがとうございます」

「ほらっち絶対調子の良いこと言ってるから、信用しない方がいいよ」

「いやー、回してくれるならなんでもいいですよー」


 何はともあれ、次のラウンドもスタプレは私! 絶対、初手で柵に行く! 誰か1人、柵を引けなくしてやるぞー!

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