何取る問題

「じゃ、とりあえず席決めからした方が良いよね。5枚並べたから、好きなの引いて。並べたの俺だから、俺は残ったのにするわ」


 というわけで、ゲームの準備の前にほらっちさんの案内で席決めからスタート。いつも通り大進歩を裏向きで並べて、引いたカードの内容によって開始時のプレイ順が決定される。今回は5グリなので、かまどと調理場2枚ずつに加えて井戸が追加されて、計5枚。


「よーし、じゃあ私から! えー、いきなり井戸引いちゃったー!」


 あらら、甘菜ちゃんご愁傷様。やる気が空回っちゃったね。じゃ、次は私が行こうかな。


「うりゃっ。4調理場! ってことは3番手か」


 まあ、良くも悪くもなく。5グリって初めてだから、どんなアクションスペースの配置になってるのか、ちゃんと把握してないんだよね。初手で職業出せるかな。


「私は……5調か。4番手。甘菜ちゃんがババ引いてくれたから、最悪は免れたね」

「いいもん。ハンデハンデ!」

「お、甘菜ちゃん言うねー」


 くびきさんは4番手。この人いつも番手が悪いような気がするな。それでも強いから、気は抜けないんだけど。


「3かま……2番手」


 うわっ、いつの間に! いつ復活したの石積君!


「えー、じゃあほらっちが残り物の2かまじゃーん。何か仕込みやがったなー、ぶーぶー」

「失礼な! 厳正な抽選の結果だよ!」


 そんなわけで、ほらっちさん、石積君、私、くびきさん、甘菜ちゃんのプレイ順になった。

 さて、お次はボードの準備だ。ドラフトの前に、ちゃんと5グリのアクションスペースを把握しておかないとな。





 真っ先に確認したのは、もちろん資材市場。4グリだと葦石飯だったんだけど、5グリだと葦石木になるのか。うーん、5グリの方が飯が辛い? 3グリ4グリだと1ステの飯行動は資材市場行くだけで済ませることもあるんだけど、5グリだとそういうわけにはいかないみたい。1ステの動き方はよく考えないとな。


 他には窪地のレンガが3つずつ累積するようになってたり、4グリ以下だと追加スペースだった家畜市場が標準装備だったり、岸辺の林という木が1本ずつの累積スペースでなおかつ1葦も付いてくるというスペースが追加されてたりする。葦はわりと軽いのかな? 岸辺の林は、2木1葦はもちろん、必要な状況なら1木1葦でも行く価値あるよね。


 そして5グリの最大の特徴は、6か所ある選択スペース。4グリ以下でオプションで使えるので『ちょっと子供がほしい』と『家畜市場』という、どちらかを使ってるともう片方は使えないというアクションスペースがあったんだけど、5グリだと『建て増し(増築だけできるアクションスペース)』と『小劇場』、『授業その2』と『ちょっと子供がほしい』、『林』と『授業その3』がそれぞれ対になってて、これらは片方が使われてると、もう片方は使えない。小劇場の飯をアテにしてると、誰かが建て増しに入っちゃって飯が足りなくなる、なんてことは普通にありそう。これも気をつけないとな。


 あと、もう一つ。『副業』という、1木で厩を1つだけ建てられてなおかつパン焼きができる追加のアクションスペースがあるんだけど、これにはボードに「1~4人」って書いてあるんだよね。4グリ以下だといつも使われてたんだけど、5グリでは使われないのかなって思ってたら、結局今回も使われるみたい。

 ほらっちさんが言うには、この表記は5~6人用の拡張が出る前の表記だから、5グリでも気にしないで使っていいんだって。確かに、4グリは使っていいのに5グリ以上はダメって理由は思い浮かばないもんね。誰かとパン焼きでかぶったら、種パン埋まっただけで死にそうだし。これは4グリでも起こり得ることなんだけど、5グリだと相手が一人増える分なおさら競合が激しくなる。生きてくって大変だ。


 よし、アクションスペースはだいたい把握した。次は、いよいよお待ちかねのドラフトだ!





「いやー、アグリコラってこの瞬間が一番楽しいよね」

「ホントですねー。5グリだと5+もあるから、見たことないカードもあるし」


 楽しそうに話すほらっちさんと甘菜ちゃん。1番手と5番手だから隣り合わせで座ってるんだけど、私から見るとこれも新鮮な組み合わせだ。この年齢差だと、親子みたいに見えて微笑ましい。ま、これからバチバチやり合うんだから、微笑ましいなんて言ってられないんだけどね。

 さて、今はこの二人のことより、私の手札だ。何が来たのかなー?


【職業】

双子の研究者 ハイドシュヌッケン飼い 掃除屋 子なし 豚追い ウイスキー蒸留職人 厩見本作り 箱造り


【小進歩】

植え替え じゃがいも畝立て機 ガラスビン 煮沸窯 猟師の帽子 ドリルくわ 家族向け住宅 最終章


 今回は8-7ドラフトというやつで、8枚の中から1枚ずつ抜いていって、最後に余った1枚は使われずにゲームから除外される、という方式。数あるカードの中には『待ち構え』みたいな煮ても焼いても使えないカードもあったりするから、そういうカードを手札に入れなくてすむようになるのはありがたいよね。

 え? 待ち構えの効果はって? さあ? 使ったことないからわかんなーい。


 いや、今は待ち構えのことなんてどうでもいいわ。うーん。何取る問題。

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