恐るべし
私が屈辱的1軒増築を強いられてから、早6ラウンドが経過。ここから先は最終ラウンド開始までの経過を、ダイジェスト風味でお送りいたします。
え? いきなり飛ばし過ぎじゃないかって? だってしょうがないじゃん! あの後の私なんて、ただ「手数が足りないー木が足りないー」ってボヤいてるだけだし! 私以外の3人の戦いを、クラフトビールを
「こんなん、飲まないでやってられますかってーの!」
「これこれ織木ちゃん、君まだ未成年でしょ」
はい。というわけで、まずは石積君の13ラウンドまでの経過をざっと説明しておこうかな。畑は日雇い行けばいいだけなんだけど、私と同様木が足りなくて苦労してた様子。それでもなんとか13木材をかき集めて、柵で6マス埋めることには成功。盤面の形としては部屋3畑6柵6で、空き地はなし。部屋はまだ木の部屋だから、改築含めて最終ラウンドにどれだけ点数行動取れるかってところだね。
あ、さっき説明しそびれた『区画整理』だけど、石積君めっちゃ上手に使ってた。効果は、いつでも1つの畑にある小麦3つを野菜1つに置き換えることができるというもの。小麦3つを野菜1つにするのって、本来なら効率はあまり良くないんだけど、石積君の場合は日雇い行けば畑を耕しつつ小麦をもらえるから、そういう風に小麦が余りがちな状況を作ってしまえば、自分から野菜を取りに行かなくてもよくなる良いカードになるんだよね。やっぱ弱いカード使うのうまいわ、石積君。
ほらっちさんは途中まで飯がきつそうだったけど、レグワーカーでガンガン木を稼いで、調理場を取得してからは軌道に乗って一気に伸ばしてきた。なんやかんや一番最初に4人にしてるしね。やっぱり手数は正義。盤面は部屋4畑4柵6、14ラウンドに『手押し鋤』で畑が5枚になって、家畜も3種繁殖態勢。農場ボードは一番充実してる。盤外点はあまりなさそうだけど、
私はとにかく手数も木も足りなくて、妥協して10本4マス柵を引くのが精一杯。このゲーム、何回妥協って言葉使ったんだろ……アグリコラとは、妥協することと見つけたり。盤面は部屋3畑6柵4で、空き地が2。家族は『二人目の配偶者』の効果で急子に行って一応4人にした。あ、二人目の配偶者はというのは、他のプレイヤーの1人目の人物が急子に置かれていても使えるようになる、という職業カードね。アグリコラって、家庭環境が心配になるようなカードが多いように見えるのは気のせい? こんなカードに頼らずに、健全に4人にしたかったなぁ……。
くびきさんは見習い大工のパワーを活かして、真っ先に5部屋5人にして5マス柵に厩4つ、石の家に改築済み。と、ここまでは強そうな形に見えるんだけど……畑、ゼロ? さすがにそれはちょっと厳しくない? 考えなしにここまで畑を放置してるわけはないと思うんだけど……最終ラウンドに、何か知らないカードでも出してくるのかな。
以上、それぞれこんな感じの盤面で、いよいよ14ラウンド開始。スタプレはくびきさん。
「はい、最終ラウンドだねー。私の手番は一瞬で終わるから」
「え? どういうことですか?」
「見てればわかるよ」
私の質問に答えたのはくびきさんではなく、石積君だった。え? 私の知らない何かがあるの? そんなカード出てたっけ?
「ほい、畑種行くよ。そしたら『怠惰な種まき』の効果で種撒きをキャンセル! すると次の人物1人をすぐに占有されていても配置できるから、また畑種に配置! また種撒きをキャンセル! これを繰り返して、5人全員畑種に集合! 畑5枚耕して、最後だけ種蒔きをキャンセルしないで実行! 2小麦と2野菜植えて、終了!」
一瞬にしてくびきさんの農場ボードの空き地5マスが畑タイルで埋まって、小麦2つと野菜2つが植えられた。
「え……えー!? そのカードって、そんなこと出来るんですか!?」
あまりのことにびっくり仰天して、素っ頓狂な声をあげてしまう私。「出来るんだよー。カードのテキスト見てみる?」と言って、怠惰な種まきのカードを見せてくるくびきさん。カードを手に取って、テキストを読んでみる。
あなたの手番に得た、制約のない「種をまく」アクションを、使わないことを選べば、すぐにまだ配置していない人物1人を好きなアクションスペースに配置できる。(占有されていてもよい)
「あー……なるほど……出来るんですね……へー……すごい効果ですね……」
驚きのあまり、ただただ感心して、呆けたようにカードに見入ってしまう私。
「いやー、ほらっちとマナブーはもう知ってるからつまんないけど、織木ちゃんの反応は新鮮で嬉しいわー」
「でも今みたいに使おうと思ったら、それまでに畑以外を全部終わらせておかないといけないから、なかなか難しいカードではあるんだけどね。今回はキレイに決まったね。5人全員畑種に集合したのは、俺も初めて見たわ」
「やー、ここまでキレイに決まったのは初めてだわ。めっちゃ気持ち良かったー」
言いながら、席を立つくびきさん。
「私手番終わってすることありませんので、お花を摘みに行って参りますわ。ではごきげんよう。おほほほ」
こうして、くびきさんは悠然とトイレへと立ち去って行った。
怠惰な種まき、恐るべし……。
この後は、各々が手番を消化していって、最終ラウンド終了。最後の収穫の処理を終えて、ついにゲームが終了した。
……一応……クラビで12点は取ったけど……もうちょっと、やれたよなぁ……。くっそー。
「じゃ、結果発表するよー」
点数の集計を担当したほらっちさんがスコアシートへの記入を終えて、みんなの点数を読み上げていく。最後のアレまではほらっちさん優勢かなって思ってたんだけど、くびきさん最後にとんでもないブーストかましてきたからなぁ。どっちが勝ったんだろ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます