なんだろう、これ

 12ラウンドも、残り全員あと1手。


 甘菜ちゃんはレンガの家に改築しつつ、石切りの効果で大進歩の石窯。すぐにパンを焼けるので、2小麦を焼いて合計9飯。石窯はレンガ窯の1小麦5飯と比べると1小麦4飯なので変換効率は悪いけど、一度に2小麦まで焼けて、付いてる点数も3点と高い。


 石積君は5人目の増員。出した小進歩は『陶磁器』。いつでもレンガ2/3/4を石1/2/3に変換できる。


 さて、私はどうしようかな。さすがに、もうそんなに良いアクションは残ってない。豚さんは3匹溜まってるけど、ウチももう3匹飼ってるしなぁ。こんなことなら無理して夢遊病者で変換しなくても良かったかも……。

 とりあえず2木材行っとこうか。せっかく家具製取ったんだし。木こりの効果で3木材。





 13ラウンド目。めくられたカードは畑種はたね。畑を耕すのと種撒きを同時にできる強アクション。正式名称は『耕作』なんだけど、やっぱりみんな畑種としか呼んでない。


 私と甘菜ちゃんは池の小屋とイチゴ花壇の1飯を受け取って、石積君は井戸と移動キッチンの2飯と手押し鋤の畑を受領。これで石積君は畑3枚目。

 畑を耕すアクションを使えるのは、残り2ラウンドで畑と畑種の計4回。甘菜ちゃんはもう畑には行かないと仮定すると、この4回を私と石積君で取り合うことになる。私は行けて2回かな。うーん、農場埋め切るのはちょっと厳しいかも。


 甘菜ちゃんは部屋なし増員。これで甘菜ちゃんも3部屋ながら家族5人目。狭いながらも苦しい我が家。あれ、なんかちょっと違う?

 石積君は畑種。畑を耕しつつ、さっき八百屋でもらった野菜と小麦を種蒔き。

 二人ともノータイムで、ここまでは前のラウンドの流れとほぼ同じ。畑が畑種に変わったぐらいだ。


 私の手番だけど、さすがにいい加減畑に行きたい。行きたいところだけど、本当にそれで良いものか。私のゲーム終了までの残り手番は、あと8手。この8手でやっておきたいことは、畑3枚、種蒔き、改築及び手札の小進歩、改築のための葦、家具製のための木、5人目の増員。このうち、種蒔きは14ラウンドで甘菜ちゃんとかぶりそう。出来ない可能性が高い。畑も2枚で妥協することになるかも。ここで畑に行ったら、甘菜ちゃんか石積君がスタプレ取って、14ラウンドは石積君が先に畑種を埋めると思う。で、私が畑に行って、それで畑は打ち止めだ。

 以上のことを考えると、8手の全てで有効な手を打つのは難しい気がする。たぶん、手が余る。だったら、ここは1手の質を上げる方向に舵を切った方が良いんじゃない?

 よし、決めた。最終ラウンドの主導権イニシアチブは、私が取る!


「スタプレ取るよ!」

「えマジ。ここでスタプレ取るの?」


 お。石積君、今ちょっと焦ったね? いいよいいよ石積君。私、石積君のことは好きでもなんでもないけれど、石積君のそういう顔は大好きだよ!


 ここで私が出す小進歩は、これ。コストは木材2で、牧場が6/7/8/10マスのとき、1/2/3/4点をボーナスとして得る効果。つまり、今の私にはこれ1枚で3点の効果を持つ!


「『かいば桶』か……!」


 なんだろう。なんだろう、これ。楽しい。アグリコラ、めっちゃ楽しい!





 甘菜ちゃんの2手目は3木材。これで木が11本。

 石積君は……かなり考えてる。私のスタプレで計算が狂ったのかな? 絶対私が畑に行くと思ってたんだろうね。畑を埋めてくれても構わないよ? ……訂正。やっぱ残しておいて欲しい。


「3葦で」


 3葦か。石積君も改築用の葦がないから葦を取るのはわかるんだけど、それなら漁行ってカヌーでも良くない? なんだろう。『かご製作所』でも狙ってるのかな。なんにしても、畑が残ってるのはありがたい。遠慮なく畑に行かせてもらおう。

 甘菜ちゃんは2木材。木が13本になったから、立派な柵が引けそう。ごめんね、木取りまくっちゃって。悪いのは私じゃなくて木こりさんなんだよ。

 石積君は地質学者が仕事しない方の4レンガ。改築用のレンガは足りてたはずだから、改築と同時に調理場でも取るつもりなんだろうね。さすがに石積君も不労所得だけじゃ食べていけなくなったか。

 私は葦飯。これで改築用の資材は確保。

 甘菜ちゃんは授業。出した職業は『屋根付け』。効果は、出したときに1飯払えば、部屋の数だけ石がもらえる。なるほど、14ラウンドの甘菜ちゃんは2番手だから、そこで改築するつもりだね。そこで出てくる改築柵に行ければ、甘菜ちゃんの農場も良い形になりそう。

 石積君はレンガの家に改築。さよなら移動キッチン。効果を発揮してたのは3~13ラウンドだから、移動キッチンだけで11飯も稼いでたことになるのか。強いな、移動キッチン。確かに1レンガ取ってでも出す価値あるかも。


「それと、3レンガ払ってかまど取るよ」

「かまど? 調理場じゃなくて良いの?」

「うん。諸事情で」


『調理場』はコストが4レンガ、もしくは5レンガとかまどよりも高い代わりに、飯の変換効率はかまどよりも優れている大進歩だ。羊さんを食べるときだけは同じ2飯だけど、それ以外では調理場の方が1飯多くなる。

 石積君は豚さんも飼ってるから調理場の方にすると思ってたんだけど。何か悪いこと考えてるのかな。


 さて、私の最後の手番だけど……やることないや。うーん、豚さんが4匹溜まってるから、それでも取っとこうか。予想通り手が余っちゃったな。てか、やっぱり夢遊病者で変換なんかしなくても良かった……。


「じゃ、僕は3レンガだけど地質学者で4レンガ。これでみんな帰宅して収穫だね」


 収穫の処理を滞りなく終えて、14ラウンド目開始。めくられたカードは改築柵。改築と同時に柵も引ける、これもかなりの強アクション。


 みんなもらえるものをもらって、スタプレは私。


 さあ、いよいよ最終ラウンドだ!

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