Ⅱ 二〇〇五 - 二〇〇七
展開図
はつなつのひかり浴びたる自転車のかごのなかなるむきみのレタス
口元にやさしい笑みを浮かべつつ会釈するひと気味悪い、俺
そういえば初めての告白をしたときのにおいだけしか覚えていない
絆創膏を貼るそのときまでわたくしが何かに傷つけられたことに気づかなかった
歩道橋の影に隠れた中学生が曇天に飛びたつような目をする
世界中爆発したよでもあそこの角のところにコンビニあるよ
真夜中にどうしようもことはある 愛が足りないということでもなく
生きるものみんなひとしくあくびした顔が豚に似ているありがたい事実
NHKを流しておけば薄まるよ死とか性とか尿意とか全部
元カノに似ているひとがバス停にいたので今日は晴れるとおもう
「今朝のとれたて天気です」それならなんであれわるくはないな
「向日葵のような笑顔」「しみのない肌」「くびれたふくらはぎ」などなどの疵
知らない人からのかげぐち 目に見えて接近してくる昼の雨雲
真夜中の押し入れのなか僕たちは耳打ちする時の顔でうで切る
タクシーをとめるごとくに人をとめ道をたずねる老婆もいとおし
天井にごきぶりが這っていく様を君の肩越しに見てる寝室
就職祝いの花束みんなありがとういっぽんさしておく黒い薔薇
ウェーブヘアの女友達と手をつなぐ蟻の巣みたいな
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