Stewart Bell Roberts③

小さな異変に眠りから覚めると、顔前に大きな大きなお尻があった。


お尻が揺れる


ベッドが揺れる


僕の脳も揺れる


ジョージは何故あんなにお尻が大きいのだろう?横になったままぼんやりと着替えを眺めてそう思った。

肉の鎧をまとった小柄な体躯は古傷だらけで、樹齢の長い切株みたいだ。

彼はクローゼットを開けてカラフルな洋服を次々手に取ると、それらを左側にざっとよけていく。

そして右側にはブラック、ネイビー、オリーブグリーンが選抜された。

きっと彼の好きな色なのだろう。

履いていたジョガーパンツを脱ぐとなんとも几帳面に畳んでいる。

これが僕だったらソファに掛けるか丸めて隅に積んでおくところだ。

ジョージに好きにしていいと言ったあのクローゼットの服も実は僕の物ではない。

あのパンツはイアンが泊まった時の物だし、あのハットはセスが彼女にディスられて置いて行った物だ。ああ、まだライリーがふざけて買ってきたランジェリーを捨てていなかった気がする、見つかると気まずいな。


別れたボーイフレンドの服を宛てがわれているとは露知らず、ジョージはジーンズに無理やり大きなお尻を詰め込みジッパーが上がらなくてピョンピョン跳ねていた。

結局履けずに自前のパンツを履いたのには危うく吹き出しそうになってしまう。

声を掛けないまま着替えを見ているのは何だか悪い気がしたが、起きるにも早すぎる。

チラッと時計を見るとまだ5時25分、外には新聞配達と寝惚けたお爺さんしか歩いていないだろう。

玄関から出ていくジョージがこちらを振り返ったが気付かれることもなく、僕はそのままウトウトしてドアの閉まる音を合図に夢の世界へ戻って行った。


それから数時間-

窓から差し込んだ朝日が目に染みる。

時計は9時5分、もうそろそろ起きてもいい頃だ。

なにしろ今日は土曜日だから、ケヴィンが遊びに来る日だ。

冷蔵庫につまみになる物はあっただろうか、たまには安酒じゃない少し良いワインでも飲ませてやろう。

と言ってもこれは彼が職場で貰って、重いからとうちに置いて行ったものだ。

そういえば、この間履いていた穴あき靴下はもう捨てただろうか、この間着ていたシャツも毛玉がすごかった、この間・・・

風呂とトイレとキッチンとそれからトイレとキッチン、部屋の中を右往左往しているうちに段々と頭が冴えてくる。

心臓がどくどく脈打ち、こめかみからじわりと冷える。

いつもとは違うことに気付いてしまったからだ。

ケヴィンはもうここには来ない。

ここどころか、どこに行ってももうケヴィンには会えない。


ガタッ


1階から人の気配がする。

「George...」

所狭しと物が積み上げられ、常に足の踏み場がない我が家のガレージ。その奥の山からひょこっと坊主頭が現れた。

僕でも入らないような狭い場所に器用に道を作って入り込んでいる。

くぐって跨いで器用に物と物との間を縫って歩く様は獣道を行く動物のよう。

乱雑に物が置かれたガレージは今や危険地帯と化していた。

一旦止まるように注意を促したがそれでもジョージは止まらない。


階段を降りようとした瞬間、下半身にビリリと痛みが走る。

島で体調を崩した後の記憶が曖昧で、この尻の痛みも原因は定かでない。

ただ一つ思い当たるとすればそれは"一夜限りの関係"というやつだ。

酒のせいでそういう状況になった事もない訳ではなかったが、よりにもよって僕がボトム側になるとは・・・どういう流れでそうなったのか。

気が付くと、ジョージはあと少しで迷宮の出口に辿り着くところだった。


「Watch out...!!」

「あ?怒鳴ることないやろ!」

「Stop! Stop! Stop!」


ふう、危なかった。

足のすぐ下にはスケートボード、更に下には釘が散乱している。

もしもの事を考えると怖ろしかったが、間に合って本当に良かった。

咄嗟に掴んでしまった胴の厚みと顔の近さに心臓がキュッとなる。

失恋をしたばかりでそんな気分ではないという気持ち半分、新しい同居人との新生活の高鳴り半分で胸が引き裂かれそうだ。

当の同居人は些かご機嫌ナナメで2階に駆けて行ってしまったが...


・・・と思ったらすぐに戻って来た。

「ん」

これは、泊めてもらった時にスタッフルームに置いてきた100ドル札。

どういうつもりかと問い詰められてもあの時は混乱していて、他に思いつかなかったんだ。

酒に酔って人を襲うなどあってはならない事だし、それにジョージも男は初めてのはずだ、そういう雰囲気は経験で分かる。

この500ドルは一先ずの迷惑料として、贖罪は追々と考えている。

「I do the same things too. 」

「You too?」

「Yes.」

「...You too?」

「なんや?」

ジョージの目はクリッとして、差別ではないがアジアンならではの童顔だ。

それが飲食に来た観光客を招いては夜な夜なスタッフルームで楽しんでいたなんて、考えるだけなら楽しいが、された方は大ショックだ。

一瞬でも心を許した僕は完全に騙されていたというのか。

その丸い瞳も大きなお尻も罠だったというのか。

日本人、恐ろしい・・・!


ぎゅっと目を閉じて打ちひしがれる僕に大丈夫かと声をかけてくれるが、今はそんな優しさも辛いだけだ。

ちょっと散歩でもして来よう。そうだ、冷静になった方が良い。

「もごもご言ってて気色悪いなぁ・・・。」

言葉は分からないが心配してくれてありがとう、でも今は心の整理が必要だ。


新鮮な空気を吸いたいと言って飛び出した外は暑くも寒くもない過ごしやすい気温だ。もう少し早ければメイコンの桜の時期だったのに。彼の故郷の花だから喜んでくれただろうに残念だ。

そんな事を考えながら歩いて近くのドラッグストアに辿り着いた。

病院の薬で腹の痛みは治ったが、どうにも尻に違和感が...正直に言うとどうやら痔になったみたいだ。鏡で見ると薄っすら痣にもなっていた。

痔の薬が15ドル、痛みを緩和するクリームが6ドル、ジョージの歯ブラシ2.5ドル、コンドームが12ドル。一応な、一応。

勿論帰りも歩きだ。車を使いたいところだが、キッチンで一杯ひっかけたので乗るわけにもいかない。それに歩けばアルコールが適度に回って丁度良いではないか。なんだか体がポカポカしてきたぞ。


やぁ我が家のガレージ、ご機嫌いかが我が家の階段。

見事に床に刺さってるね、我が家の包丁。

「Hi, how are you?」

僕の美しい友人と新しいルームメイト。

2人はレスリングをして遊んでいた様だ。いや、待てよこれはジュードー?ネワザ?

「Hi, Mr.drunker.」

「Is he drunk?」

「I think.」

2人は床に仲良く寝転んで既に打ち解けあったようだ。しかし格闘技でチャイチャナを負かすなんてすごい。僕はアームレスリングでは一度も勝てた試しがないし、負ける度にアイスクリームを奢らされたものだ。今思えばあれはちょっとした喝上げだったのでは?

「I have a good idea. Let's go get some ice cream.」

「・・・なんでや?」

「酔っ払いに絡んでも損するだけだぜ。」

「お前の彼氏やろ。首絞めるか追い出すか、なんとかしてや。」


酒が回ってきたせいか2人の会話が上手く聞き取れない。

「What did you say?」

「He says I'm Stacey's boyfriend.」

ああなるほど。チャイチャナを恋人に間違われるのはよくあることだ。安心してほしい、彼は10年来の友人でありそれ以上でもそれ以下でもない。

ジョージを安心させる為に思いっきりハグとキスをした。それだけなのに...


「The medicine was useful as soon as possible.」

額にクリームを塗っていたら段々と酔いも冷めてきた。改めてジョージに僕の友人を紹介したい。チャイチャナは格闘技一家で育ち、モデルと兼業して家族を食べさせている努力家で素晴らしい好青年だ。女装はモデル業の一環だが、趣味の割合が大きいため普段も大体この格好をしている。

チャイチャナ、こっちはジョージ。旅先で出会いよく分からないが不法入国者なので通報しないように。


ジョージが作ったランチを食べながら久々の賑やかな食卓。

「This is very good.」

口いっぱいに頬張る姿がなんとも豪快だ。僕の事が心配で、食事も摂らずに仕事先から飛んで来たらしいからお腹が空いていたのだろう。

「Are you staying? Use the child's room as you wish.」

小さい頃に僕が使っていた部屋は空き部屋としてそのままにしていた。いつも通り彼にはそこに寝泊まりしてもらおう。

そこに何故かジョージが割って入ってくる。

「Child's room? I'll sleep there.」

「Hahaha, You're gonna break the bed with your butt?」

「何で尻限定なん!?」


団欒は酒を旨くする。きっとケヴィンがいた夜もこんな風に笑っていた気がする。いつもそこのソファに腰掛けて眠るまで映画を見ていた。

「Did Doctor. pass away?」

そうだよ。悲しいね。

「Doctor...」

博士というのはチャイチャナがケヴィンにつけたニックネームだ。ヴァイキングの様な立派な髭と長い金色の髪を雑に束ねて、前に洗濯したのは何日前かというヨレたパーカーをいつも着ていた。

親よりも歳が離れているのに僕らは友達になり、僕は自然とケヴィンが好きになったし、チャイチャナは彼を尊敬していた。いつも一緒に居た彼の死を受け入れるのは簡単な事ではない。

部屋の中にはすすり泣く音が静かに響いて、それに耐えきれなくなったのかジョージはすっくと立ちあがり力ずくで僕をキッチンに連れ出した。

「I don't know what to do.」

「He's mentally strong, no problem.」

ケヴィンに奥さんや娘が居た事もまだ秘密にしておいた方が良いだろう。きっと今は気分転換が必要なんだ。

そうだ、明日3人でドライブにでも行かないか?

「That's fine. Does that car move?」

勿論動くよ、ガソリンは入っているしどこも壊れてない。

「俺がおかしいんかな・・・埋まってるようにしか見えへん。」

「えー...The car looks buried.」

「Maybe it's buried.」

「...。」

これだ、この顔。ジョージがたまに僕に向ける心底バカを見る様な目。その顔してる時の君も結構なアホ面だから今度写真に撮って見せてやる。


「Cleaning tomorrow. Me, you, and that guy.」

顎で人を差しつつ、きっちり自身も戦力に加えているのは彼の優しさだろう。

「I'll work on it.」

「Then we'll drive to the casino! HOO!」

「I don't go to casinos!」


●●●


盛大なラッパの音で叩き起こされた早朝。

飛び起きて周りを見ると音の発生源はチャイチャナのスマホだった。

横には仁王立ちのジョージ。

「It's after 7:00.」

もう7時じゃない、まだ7時なんだと僕は猛抗議をしようとしたが、家の掃除を手伝ってもらう立場ではそれも出来なかった。

しかも二人は近所をランニングしてきたと言うのだ。この元気っ子達は一体いつから起きているのか。


軽く朝食を済ませて掃除に取り掛かるも、溜まった埃を見るとため息が出てくる。それでもいつまでもこの状態を放置する訳にはいかないので、車体の周りの物を全て運び出すことにした。

ダンボールを一つ下ろすと咳が出る、また一つ下ろすと咳が出た。3つ目で止まらなくなりこれはまずいと思った。咳が止まらない。

そのまま棚の前でうずくまっていると降ってきた埃で余計に息が苦しくなった。

「Asthma?」

「I'm... 」

「Do you have your medicine?」

棚の反対側にいたジョージにそのまま庭まで運び出され、危険地帯から逃れた。幸い、薬の場所はチャイチャナが把握しているので問題ない。

ジョージは背中をさすりながら耳たぶや指先を注意深く見ていたのが気になっていた。自分は彼の事をまだ何も知らない。

「Are you a doctor...?」

「My daughter had childhood asthma.」

「(daughter...!?)」

驚きは全て咳に変わって僕を苦しめた。それ以上喋るなと背中をさすられている間も、何か咳以上に胸につかえるものを感じるのだった。

結局僕は戦力外となり、庭で一人”いる物”と”いらない物”の箱に小物を仕分けるだけ。出鼻を挫かれ半ば不貞腐れたような状態になっていた。ひとつ収穫があったとすれば、ライリーの置いていったランジェリーを素早く回収出来た事だろうか。


そこへ1本の電話が入る。大学の同期からだ。

今日ケヴィンの生徒たちでお別れ会をやるので君も来ないかと誘われた。

ジョージはお前に出来る事はほぼないので行っていいぞと言い、チャイチャナは帰りに美容ドリンクを買うのを忘れるなよと言って快く送り出してくれた。


●●●


会場に入るとスラっとした長身の男性が、長い腕を一杯に広げてハグで迎えてくれる。

「Hi, Tom. Thanks for calling.」

「Good to see you Stewart. It’s been ages!」

トムは同期生一の秀才で顔も良ければ人当たりも良く、鼻に付くところもない完璧な人だ。強いて欠点を挙げるなら休みの日に僕をしつこくバスケに誘ってくるところだろうか。

軽く挨拶をして、適当に座る場所を探していると一人の人物と目が合う。

「Riley!」

「Yuck..」

熱視線を感じた先にいるのはライリーだ。何だか苦々しげな顔をしているが人に酔ったのだろうか、元々大勢集まる場が苦手な人だから心配だ。

「Why are you here?」

「Tom called me.」

あいつか・・・と呟きながら席をひとつずれて譲ってくれる。ライリーに会うのも久しぶりだ。僕が居ない間の大学生活や、ケヴィンの葬儀の話、聞きたい事が山ほどある。

「Where is the grave? I'd like to offer flowers.」

僕は葬儀には出られなかったのでせめて献花をしに行きたいと伝えると、地図をスマホに送ってくれた。

急な事だったので研究室の片付けが大変だったそうだ。最中にケヴィンの奥さんが訪れたが挨拶もそこそこに研究室を物色した挙句、価値のない研究資料とガラクタばかりだったのでがっかりして帰って行ったそうだ。手伝いもせずにと愚痴っている。


資料としての価値ならある、と憤慨しながら一つの手帳を出して見せてくれた。僕にも見覚えのある手帳だ。革が所々擦り切れた、大判の手帳がいつも彼の大きな手に収まっていた。ボロボロの紙切れや付箋が大量に挟まって、元の数倍に膨れ上がった手帳は彼の探求心そのものを表している。

「Could I have that as a memento?」

「Why?」

その手帳が欲しい。資料としての価値と言っても中身はケヴィンがプライベートで調べたものだ。内容は写真でも撮っておけば事足りるはずだ。

「I need it.」

「Are you insane?」

必死になりすぎて逆に怪しまれ、どんどん貰えない気配が濃くなる。

仕方ない、最後の手段だ。

「You forgot your lingerie.」

「What? Lingerie...?No no no. Wait a minute!」

僕がポケットから出しかけた物をしまえと押し込んでくる。

「What? It's yours.」

「My boyfriend is here today.」

小声で叫ぶライリーはいつになく必死だ。

「Wow! You're gay now?」

「Tone it down.」


僕が出会った頃のライリーは内気で女の子にはもじもじ、男にはおどおどしている、そんな青年だった。仲良くなったのはマラソン大会の時。僕が周回遅れなのにあまりに堂々としているので、自分は目立たず助かったとはにかんでいた。つまりは良い隠れ蓑になったとの事だ。

「As a fellow gay man, I wish you luck!」

「All right, I'll give you the notebook, you give me the lingerie.」

聞き取れない程の早口、それにライリーにしては素早い動きで僕からランジェリーをもぎ取ると、リュックの奥底へねじ込んだ。代わりに僕はケヴィンの手帳を手に入れたのだ。

「I hope you're happy. Cheers!」

「That's my beer!」


帰りがけ、トムに別れの挨拶をした時にライリーをあまりいじめるなよと軽い注意があった。優等生の彼らしい配慮だなと思ったが、後から考えると彼からは同じシャンプーの香りがした。つまりはそういう事なのだろう。


帰り道、僕は手帳の事で頭がいっぱいだった。

家まで我慢できるはずもなく道の端で立ち止まって、表紙に指をかける。

力を入れて破いてしまわないように、そうっと、そうっと触れた。

数枚の地図に走り書きのメモが沢山、更に一回り小さな手帳が2冊、その中に古い写真、最後にパンのカスがぽろぽろ落ちた。

パラパラと流し見て、あるページで手が止まる。

4月のスケジュール欄に

"Travel"

"w/Stewart"

という文字を見つけたからだ。


当初、南の島への旅行はケヴィンと二人旅の予定だった。

僕の家の貯金箱に二人の薄給から少しずつ貯めてやっと行ける目途が付いた矢先の事、突然ケヴィンが倒れた。

いや、突然というのは違う様に思う...記憶を辿ればいくつも兆候はあった。

残業や不規則な睡眠、食生活は言うに及ばず。


ある晩、おやすみを言う為に電話を掛けると、彼は頭が痛くて吐き気がするから明日病院に行くと言っていた。いつもの声だが、全く呂律が回っていなくてぞっとした。僕はすぐに救急車を呼び、ケヴィンの着替えを持って飛び出した。


―結論から言うと彼には会えなかった。


患者が意識を失っているので同意を得られないという説明だった。やはり酷い状態だったのだろう。

意識が戻るのを待つ僕の前を二人の女性が横切り、看護師と一言二言話すと扉の中に入って行った。僕では入る事の出来ない向こう側に。

女性は自分は妻だと名乗っていた。娘と来たとも言っていた。

もしかして、あの扉の中に居る人はケヴィンではなかったのではと思う瞬間もあった。

服の下は汗でぐっしょり濡れて、惨めな気持ちだった。

壊れたプレーヤーみたいにその場面だけが何度も再生されて、その度蹲って動けなくなって。


「Rain.」


道でしゃがみ込んでいる僕の頭上から年老いた男の声がした。パリッとしたスーツを着て背筋がまっすぐ伸びた紳士だ。顔は帽子で陰になってよく分からないが、恵まれた体躯がスーツ越しにもよく分かる。

その紳士が僕を見て「悪いものに魅入られている」だの「油断していると連れていかれる」だの全くもって意味不明な事を喋っている。僕は今やばい人に絡まれています。

おまけに「雨が降る」「天気予報は当てにならない」としきりに言うが今日は雲一つない快晴だ。

僕は怖くなって走って逃げた。

去り際に無理矢理渡されたハンカチがレースの花柄だったのも恐怖だ。


一刻も早くこの嫌な記憶を二人と共有しなければ。辛い事を分かち合う友人がいた事を頼もしく思う。

そして熱いシャワーを浴び、ウィスキーを飲んで寝る。

「Good night, George.」


―夢を見た。ダディの夢を。


ダディが帰ってきた!

ダディが帰ってきた!

まだこんなに明るいのにどうして?

今日はハッピーな日だ!


PEの授業はブルーだったけれど

給食は美味しくなかったけれど

今日はハッピーな日だ!


ねえ、聞いて

僕はついにゾンビを発見したんだ

ゾンビは南の島にいたんだ

僕はゾンビと友達になった最初の人類だよ


きっと山の中には洞窟があって

洞窟の中には基地があって

そこではゾンビの研究をしているんだ


ねえ、ダディ

話したいことが沢山あるんだ

お願いだよずっとここにいて


「Daddy...」

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