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 アズキばあちゃんは、そこら辺のおばあちゃんと違う。


 とってもファンキーだ。


 紫色のサングラスをして、黄緑色の杖を突いていても、背筋はしゃんとしている。白猫なのに頭の一部分を紫とピンクにめていて、とってもオシャレ。

 服装も赤と紫と黄色の迷彩柄めいさいがらワンピースで、とってもオシャレ。


 そして、物知りばあちゃんでもある。


 僕はメモに書かなくても覚えられる特徴をとりあえず書き込みながら、キュウ☆ニクニクさんに言われた占い結果で、聞き逃した事をたずねてみた。


「ねえ、アズキばあちゃん。【ごじの相】って、何なのか知っている?」

「ああ? 【ごじの相】?」

「うん、占い師のニクニクさんにね【ごじの相】が出ていて【雷に注意】って言われたんだけど……」

「それなら【の相】なんじゃないか? 午後五時にお前に雷が落ちるんじゃないのか?」


 思わず僕とアズキばあちゃんは、雲一つ無い晴天の空を見上げた。

 今日も良い天気で、ぽっかぽか。


 う〜ん、気持ちいいニャー♪


「……って!? 僕に落雷らくらい!?」


 おくれながらも、アズキばあちゃんの言葉に衝撃しょうげきが走る僕。


「せっかく、新聞社なんてたけに合わない良い所に就職出来たのに……残念だったな」

「いやいやいや! ばあちゃん、僕の命を簡単かんたんあきらめないでよぉ!」

「まあ、ニクニクの占いも必ず当たるとは限らない。とにかく、午後五時までにはにわとりの記事だけは仕上げておくれよ」

「……僕の命よりも、にわとりの記事の方が大事なんだね……」

「真面目な話、午後五時に外をうろついていなければ良いのだよ」

「にゃ、にゃ~るほど!!」

「さぁ、さっさと帰った帰った。あたしゃ、にわとりの世話が毛虫の手を借りたいくらい、忙しいんだよ!」


 多忙たぼうだと言うアズキばあちゃんに、ナイスな生存方法を教えてもらい、再び鶏のクチバシつつきの洗礼せんれいを受けながらもはてな新聞堂へ戻った。


 さあ! さっそく、記事を書くぞ!!


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