1-4
はてな新聞堂へ戻ると、外出をしていた
眠っていたタマジロー先輩も起きていて(しかし頭におっきなタンコブあるにゃ。誰がやったのかは言わなくても分かるにゃ)、大あくびを何回もしながら、自分の作業をホニャラホニャラと進めている。
「おう、マメ。アズキのばあさんから話は聞いてきたか?」
三毛猫の編集長、ミケランジェロさんはイケてるおじさん猫だ。
今だってピロピロ
(家族のために
けれど、お家ではフリルのエプロンをつけて、奥さんのためにご飯を作っているんだって。
ギャップが面白いよね!
「はい! もうゲラに活字入れてもいいですか?」
「……文章を
「はい! 練るほどのネタがありませんので!」
自信たっぷりの返事に、ミケランジェロさんの笛がピュロ〜……♪ と
僕たちの
日当たりの良い南のお誕生日席にミケランジェロさん。その右下側がふくふくのタマジロー先輩。入口扉側の左下が僕の席。
そして、僕とタマジロー先輩の
その作業台の上には縦18センチ、横13センチの木箱が置いてある。
この木箱を『ゲラ』と言う。
この
活字ハンコを
その上に白紙をペタンコ。破れないようにゆっくり
こうして新聞にしていくのだ。
けっこう大変な作業でしょ?
僕はその活字ハンコが置いてある
よく使う文字は手前の棚に置いてあって、後はあいうえお順に大量の活字ハンコが並んでいるのだ。
はてな新聞堂の
お弁当箱の中が三つのタッパーで分けられている、と思ってくれると分かりやすいと思う。
そして三つに分けられるから、三匹がそれぞれ
僕たちが
紙面の上半分がミケランジェロさんの一面。
残りの下半分の、左半分をタマジロー先輩の占いと天気。
そして残りの右半分の部分を、僕がお知らせを書く。お知らせがまったく無い時は、
僕は、まだ活字棚から活字ハンコを探すのが苦手だにゃ。
新聞としてよく使う文字列……『~しました』とか『~探してます』等は一文のハンコになっているけれど、他の活字は一個一個探して嵌めて置かなくちゃならないのだ。
本当に一個ずつの文字だから、たくさんの数があって、僕たちの新聞社の大半は活字棚と言ってもいいぐらい。
僕はさっそく活字棚から『【✿お知らせ✿】』『ア』『ヅ』『キ』『ば』『あ』『ちゃん』の活字ハンコ探して来て、
続けて、『の』『鶏』『2』『羽』『探してます』『!』と木箱に嵌める。
ふ~~。
これだけを活字棚から探して、嵌めるのに、僕はとても時間がかかっちゃう。タマジロー先輩なら、きっと僕の半分くらい。ミケランジェロさんなら更に半分の時間で出来るだろう。
僕はまだまだ半人前だ。
それからも、えっちらおっちらと活字ハンコ探しては嵌めて、
『【✿お知らせ✿】
《アヅキばあちゃんの鶏2羽探しています!》
特徴:トサ力が赤くて短い、体毛は百。クチバシは黄色で『ニけニっニー!』と鳴きます。メヌで卵を産みます。
見つけた方は、はてな新聞堂か、アヅキばあちゃんまでお知らせ下さい!』
出来上がった
――なーんて、やっていたら!
ミケランジェロさんの
この時計は、僕の
二匹の先輩方には、すこぶる
例の占いの時間がやって来て、僕はにゃあにゃあと
ドキドキドキドキ。
……外は
……近くでゴロゴロ鳴っているのは、タマジロー先輩の腹ペコのお腹だけにゃ……。
……
そして。
……一分
……二分経過。
(ΦωΦ;))))
……五分経過。
……雷は……落ちてこない……?
僕は頭上に注意しながら、机の下からコソコソと
――空は
これは占いが
「やった、やった〜!! 外れた、外れた〜!! やった~! ミケランジェロさ~ん、記事の
僕は占いが外れた
ミケランジェロさんは「お、早いな!」と
嫌な予感は……すぐに当たった。
「ば、ば、ばっかもーん!!
「あ、あにゃあ??」
……それから。
こってりと叱られた僕は、涙目で
そして、ハッと気がついたのだ。
これが【誤字の相】で、ミケランジェロさんに怒られて【雷が降った】事を!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。