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 しずしずと歩くキュウ☆ニクニクさんは、はてな新聞堂を出て目の前にある、小さな原っぱでぐにつかまえる事が出来た。


「ニクニクさーん!! 待ってー!! 今日の運勢占うんせいうらないをお願いしまーす!」

「だから【ごじのそう】が出ていて、かみなりにはくれぐれも気をつけなさい」

「僕の占いじゃなくて、新聞の占いですよ! 何座が一番ラッキーなんですか? 教えてくれないと記事が書けません。お願いします!」


 僕が肉球にくきゅうをこすり合わせてお願いのポーズをすると、ニクニクさんは面倒臭めんどうくさそうにため息をついて、あさんだサンダルをかたっぽ、ポーンとボールの様に投げ飛ばした。

 えがいて地上に落ちたサンダルは、コロコロと2回転してうらを背にして止まった。

 その結果を見たニクニクさんは、僕のおでこにビシッと指をし付け、


「今日は、めえめえ座が1位よ! 最下位さいかいは、にこにこ座!」

「ええ?! そんないい加減かげんな!(しかも僕はにこにこ座なのに)」

「じゃあ、マメ。気をつけなさいね」


 そう言い捨てると、颯爽さっそうって行くニクニクさん。


 僕はしょうがなくタマジローさんのメモ帳に「1位、最下位」と書いた。

 これだけいい加減かげんな占いなんだ。

 僕が自由に書いたって同じだろう。

 

 だから僕のにこにこ座が、1位だ!


「よしっ……と」


 はてな新聞堂へと戻り、まだぐーぐーと寝ているタマジローさんの頭の上にメモ帳を置くと、僕はアズキばあちゃんの元へと急ぐ。


 約束の時間から15分もぎていた。


 (ΦωΦ;)=333


 アズキばあちゃんは、はてな島の東外ひがしはずれの家で一匹暮らしをしている。

 ちょっと足が悪くて杖をついているけれど、とってもパワフルで大量の鶏を原っぱでのびのびと飼育しいくし、美味おいしい卵を作っている。

 

 ばあちゃんの家の敷地しきちになるさくをくぐると、原っぱに野放しになっている大量のにわとりが、僕を『大歓迎だいかんげい』してくれた。

 彼らにしつこくしつこくしつこーくつつかれながらも、家にたどり着くと……ばあちゃんは、僕が鶏につつかれて、にゃーにゃーあわてているさまをほくそ笑んでながめていた。


 ……意地悪いじわるなばあちゃんにゃ!


「……えーっと。逃げた鶏の特徴とくちょうは?」


「2羽ともトサカが赤くて短い、体毛は白。クチバシは黄色で『こけこっこー!』と鳴く。早く見つけておくれよ」


 僕のメモ帳がポロリとしばに落ちた。


「えっ……それは島の鶏みーんな同じ特徴にゃあ。それ以外に2羽だけの特徴は?」

「無いよ、鶏だもん。あ、あとオスじゃないからね。卵を産むのはメスだからね。早くしないと、明日の分をそこらへんでんじゃうから、いそいでおくれよ」


 僕はきたくなる。

 こんなの、どうやって記事に書けば良いのだろうか……。

 

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