書きたかった2-2
「さて、次は門番だな」
「はい、行きましょう」
「しかし、だいぶ寒くなってきたな」
天蓋様はこの季節に適している薄手の長袖パーカーを着ていますが、それでも寒いと言っています。
「そうですね、まだ秋だというのに温度は冬並みですし……」
実際私も、長袖のワンピースを着ていますが少し肌寒く感じます。
「……椿さん寒く無いでしょうか」
「しょうがない、私のこのカイロをわけてやるか」
「ふふ、お優しいですね」
「ローズは私を過大評価し過ぎだ。何をしても褒めるし……まぁ嫌ではないがな」
微笑を浮かべる天蓋様。心なしか天蓋様のポニーテールもいつもよりゆさゆさ揺れている気がします。その姿は写真に撮っておきたいレベルに美しかったです。
「あ、いたいた。おーい、白山椿ー」
「わっ、待ってくださーい」
美しく、賢くてカッコいい天蓋様はこんなふうにたまーに子供っぽいので、一緒にいて飽きませんし、楽しいです。
おっと、先程から私の感想ばかりですね。気をつけなければ……。
「……朱宮天蓋様、いつもお嬢様と仲良くしてくださりありがとうございます」
「いやいや、こっちこそ色々美味しいもの貰ってるし……あ、そうだった。ほら、寒いと思って」
「カイロ……ですか。ありがとうございます」
あら、珍しく椿さんが照れています……微笑ましいですね。
「にしても、相変わらず立ち振舞いが綺麗……というか、芯にぶれがないな……」
「はい、お嬢様を守るために日々精進してますので」
「貴方の忠誠心はどこから?」
「わ、私は……えっと……」
「椿さんはこういうこと言われると固まるんですよ……」
「そうだったのか……可愛いな」
頭から煙を出している椿さんを見てそういう天蓋様。少し嫉妬してしまいます。
「……って、私は何を考えているのですかっ!」
「ん?ローズまで壊れたか……二人も壊れた人が出ると流石に運ぶのは骨が折れる……」
「「壊れてませんっ!!」」
「お、そうか。で、椿はなんでここで働いてるんだ?」
椿さんはハッとした後、コホンと咳払いをして話し始めます。
「私と
生計は二人でバイトしながらたててましたが……私も山茶花も、昔から何かを覚えるということは苦手ですぐにクビになってました。
ある日、スーパーのレジのバイトをしていたときに、メイドさん……メラレウカさんに会いました。」
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次回へ続く
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