書きたかった おまけ

 7:00

 探偵の朝は早い。私はいつも通りの時間に起きる。ま、浮気調査とかあったら寝ない日もあるけどな。……というか、キョンシーには睡眠要らないよな、うん。


「……ニュースでも見るか」


 テレビの電源をつける。テレビには、神妙な顔で女子アナが「速報です」と言っている。……なにかあったのだろうか。


『本日午前6時半頃に、○○県○○市に隕石が降ってきました!隕石は市全体を覆うような大きさのようで、被害は計り知れません。


 あっ!……えっ!?え、えっと……ひ、被害者の数ですが、奇跡的に市に住んでいた人たちは市外にいたとのことで、ゼロだそうです……


 え……。今日は○○市の市立高校の入学式でもあったようです。


 正直私達は驚きを隠せません!死者がいないのは良いことですけど!』


「うせやん……」

 その市にも人ならざる者がいるのか……?にしても凄いな。


『専門家によりますと、「オチが思いつかなかったから隕石でも落としたんじゃね?」とのことです……?』


「うせやん……」

 そんな理由で落ちてくる隕石ある?まぁ、専門家が言うならあるのだろう……。


「さて、人が死んでないのなら安心だ。朝食でも食べよう」


 7:30

「ネモフィラの!3分間クッキング〜!」


「何故いる?」


 キッチンに向かうとそこにはネモフィラが待ち構えていた。しかもエプロン姿で、だ。


「いや〜、料理を作りに来たに決まってるじゃん」


「いや、だから……」


「今日作るのは……?じゃん!ホットケーキ!」


「聞いて無いし……」


 ネモフィラは私を無視して料理を進める。


「最初に、小麦粉、ベーキングパウダー、卵、牛乳、バニラエッセンス……その他色々用意します」


「端折るな端折るな」


「次に、アレをアレしてアレすれば……完成です。あ、完成したものがこちらになりまする」


「端折り過ぎじゃね?」

 何も伝わってこないぞ?


「ささ、食べて食べて」


「ったく……いただくぞ」


 私はそう言って一口食べる。


「っ!これは……!」


 卵とバニラエッセンスの甘い匂いに牛乳のまろやかな風味が加わり……


「美味い!」


「ふっ……そりゃ白熊木はぐまきさんが作ったんだから」


「白熊木かよっ!」


 お前が作ったわけではないんかいっ!


「妾料理が下手でさぁ、一回作ったら白熊木さんに出入り禁止と言われて……」


「どんだけ酷いんだ……」


「あ、そういえばロー……じゃなかった。お嬢様から伝言もらって来たんだ」


「先に言えよ」


「『今度の日曜にわたくしの家に来ませんか?』って言ってた」


「ふむ……了解と伝えてくれ」


「はーい。じゃねー」


 そう言うや否やネモフィラは、鳥に姿を変えて素早く空へ飛んでゆく。


「あいつ、キャラ変わったな……」


 あの事件以降彼女はブラックライ家で働いてるわけだが、どうやら上手くやってるっぽいな。


「さて、さっさと食べてしまうか」





 8:00







 ……ボーッとしたり、ゲームしたりした。




 12:00


「昼飯食うか」


 私は豚骨のカップ麺を食べた。




 14:00


「今日は暇だなーー」

  ホントに何もすることがない……。


「……。公園に行ってみるか」

 幸い、今日は曇りだから日傘も要らないし。



 14:10


「おねーさん凄えええ!!」


「まだまだだな」


 私は小学生相手に大人気なく本気で遊○王をしていた。


「小学生よ、なかなか面白かったぞ」


「し、師匠と呼ばせてくださいっ!」

「お、俺も!」

「僕も!」

「私もっ!」


「フゥン……良いだろう。貴様らを弟子にしてやる」


 その後、決闘デュエルのレクチャーをして帰った。


 16:00


「ん?電話……依頼か?」


 電話を取る。すると、荒々しい呼吸ノ男性の声がした。


「た、助けてくれ!今ストーカーに追われてるんだ!」


「……依頼料は後でもらう。今すぐ向かうから、場所を言え」


「雷火町の四丁目の……亀里コーヒー前だ!」


 雷火町は私が住んでいる町だ。米○町と似てるが、この町ではあそこまで犯罪多くないぞ。


「承った。一分で行く。そこまで持ちこたえてくれ」


「あぁ。頼むぞ!」


 私は窓を開け、向かいの家の屋根へと飛ぶ。


「ホントに今日が曇りで良かったよっと!」


 屋根から屋根へと飛び移る。その姿はジャングルの猿さながらだ。


「亀里亀里……着いた。さて、依頼主は……」


 私は亀里コーヒーの屋根から周りを見渡す。


「見つからん……。1分だからそんなに離れてないはずなんだがなぁ……。電話でもするか」


 電話の着信履歴から男に電話をかけなおす。


「もしもし?探偵やってる朱宮あけみや天蓋てんがいだが……生きてるか?」


「ハァ……ハァ……生きてるが、今扉をドンドン叩かれてる……」


「場所を言え」


「亀里から交差点に向かってる途中の路地裏だ。扉を叩いてるやつがいたらそこに俺がいる」


「はーい」


 私は順番に路地を確認していく。


一つ、二つ……3つ目の路地でようやくストーカーを見つけた。


「そこの君、何やってるの?」


 私はそう言い、屋根から飛び降りる。女はそんな私を見て驚いたあと、すぐさま逃げようとする。が、当然キョンシーのほうが一般人より運動神経が優れているのですぐ捕まる。


「もう大丈夫だぞ。出てきたまえ」


「あ、ありがとう……」


 扉を開けて出てきたのは……。なんか、イケメンな奴だった。


「チッ。いつの時代もビジュアルで人を判断しやがって……。ほら、さっさと依頼料払え」


「は、はい。……ちなみにいくらぐらい?」


「ん?んー……3000円でいいぞ」


「高い……けど、思ってたよりは安くて良かった」

 色々な意味で安心したのか、床に崩れ落ちる男。


 そんな状態でも1000円札を3枚取り出し、渡してくる。


 私はそれを貰い、


「この女は気絶させて縛ってある。警察署のやつには私の名前を出しとけ。そしたら何とかなるぞ」


「わかりました。改めて、ありがとうございました」


「……フン」


 感謝されて嬉しく思わない人などほぼいないだろう。この仕事は感謝されるためにやってるところもあるからな。まぁ、一番の理由は人付き合いが少なくて、金が貰えるからだけど。




 その後、晩飯を食べて寝る。これが、私の一日だ。


 ……またいつか会えるといいな、お前ら。


 次会うときは金ズ……依頼主として会おう。


 じゃあな

―――――――――――――――――――――― 

 完

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