第16話 お嬢様の清楚な日常の一幕
ウィルとバンは風呂に入り、バンの両親と一緒に豪華な食事を共にする。バンの両親は勇者ダンでないとバレないように、バン18歳息子、普通の平凡な子という設定を言われていなくとも理解して、ウィルに一切勇者ダンはバンであると言う事を悟らせなかった。
そして、食休みをして彼らは眠りにつく。しかし、ウィルは眠れず布団を剥がした。窓からは月明かりが差し込んでいて、バンは月を見上げながら空を見上げていた。
「バンさん……」
「眠れないのかい?」
「はい。今日は色々あって」
「そか」
ウィルはバンの隣に座って同じく、空を見上げる。
「凄い人とか、とんでもない魔族が居て……もっと強くならないといけないと思って。
「
「そうでしょうか?」
「気づいてない、使い方が分からない。そもそも使えていたけど、使えこなせていない。そう言うパターンはよくある」
「そ、そうなんでしょうか?」
「不死身王イフリートがどうやって
「え? どうなんでしょうか……」
「過去のバックアップを作って、持ってくる。そう簡単に全てを知って、使うのは無理だっただろうね」
「な、なるほど?」
「これは勘だけど、特殊な能力程、気付くまで時間かかる」
「特殊な能力ほど……」
「まぁ、絶対あるとか言えないからもしかしたら程度に
オマケ程度だとしても、もしかしたらと思うだけでちょっとだけ希望が見えてきたような感じがした。ウィル自身も己を今以上に知ると言うのが大事なのかもしれない。
「不死身王イフリートは、過去の自身を保存して、現実に持ってきて、更には過去の自分の体の状態を上書きする……確かに複雑ですよね」
「能力に頼り過ぎは良くないと思うけどね。過去から持ってきても、強くなきゃ話にならない」
「な、なるほど」
ぼぉっと何かを懐かしむバンは虚空を見ていた。その姿に哀愁を感じた。そして、ウィルはずっと自身が彼に頼り切りな事に気付いた。
(僕、ずっとこの人に頼り過ぎて……話もずっと聞いてもらって……何もしてない……)
「あ、あの、僕ばかり相談してすいません!」
「気にしないでいいけど」
「は、はい! でも、バンさんも何か困ったらぜひ僕に相談してください!」
「おう」
「僕勇者になりたくて! 魔族とか来て、もし怖かったら僕の背中に隠れてくださいね! 剣しか使えませんが守ります!」
「そう言うのあんまり言われたことないな……期待しとくねー」
「はい!」
グッと拳を握って、キラキラしたような目線を向けるウィルに物珍しそうな目線でバンは応えた。その後は、特に会話もなくウィルは眠くなったので布団に入り夜が明けた。
◆◆
騎士育成校とは16歳になる年から、18歳になる年までの三年間、騎士として学びを受け、卒業をする事で騎士の資格を授与される。入る理由は様々だ。強さを求める貴族の息子や、家督を継げない貴族の三男や四男が就職先を求める為だったり、平民だが有力な商人の息子、または本当になんでもない平民。
様々な者達が集まるのだ。
「お嬢様……制服が僅かに乱れております。特に襟が」
「はい、はーい」
「お嬢様、返事は一度だけにするのがよいかと」
キャンディ・エレメンタール、伯爵令嬢。貴族とはしきたりがあったり、丁寧な所作が一般的である。しかし、同じく、位の高いお嬢様である彼女は猫背で怠そうな表情で騎士育成校までの道のりを歩いていた。
「学校って、面倒ですわ……」
「まだ、入学して三日目です。お嬢様」
彼女のボヤキに、彼女に仕えるメイドのクロコは諭すように真実を告げる。クロコはエレメンタール家に代々使える使用人の一族の子である。幼い頃からキャンディがどんな性格なのか知っており、キャンディの両親から彼女を一人前のレディに育てる事をお願いされている。
なので、少々強めにあたったりもする。
「あ! 勇者ダン!」
ビシッと空を指さして、メイドは告げる。それを聞いて、先ほどまで猫背であったキャンディがぴしっと背を綺麗に伸ばす。
「その姿勢をお忘れなきようにでございます」
「……騙しましたわね……クロコ」
「ご両親から適切な教育を任されております故」
キャンディは勇者ダンが居ないと分かるとすぐに猫背に戻る。それを見て普段からしっかりしてほしいのにとクロコは溜息を吐いた。何事もなかったように二人は校舎へと向かうのだが、その最中に大声が聞こえた。
「おい、平民が!」
「鬱陶しいのよ!」
「この間、インティクス様に色目使ってたでしょ!!」
「そ、そんなこと……」
見れば、一人の女子生徒が複数の女子生徒達に囲まれている。平民と言われて因縁をつけられている所を見ると、他の子は貴族の生徒であると二人はすぐに分かった。
「私の言う事にケチをつけるの!?」
「お父様に言いつけてやろうかしら? 貴方のお家だって潰して――」
金髪ロールの貴族女子生徒が何かを言い切る前に彼女の頬に拳が突き刺さった。スクリューの様に捻った拳によって、錐揉状に飛んでいく。
「――そげぶッ」
変な声を出して飛んでいった彼女に、心配をしてその取り巻きもその子の下へ急ぐ。
「ちょ、ちょっと、グミット様!? 大丈夫!?」
「キャンディ! アンタね!」
「やり過ぎよ!」
倒れて気絶をしているグミットと言われる女子生徒の周りに取り巻きは集まる。その数は三人、グミットを入れれば四人だ。しかし、三人からの責めるような視線を向けられてもキャンディはどこ吹く風であった。
「あら、飛ばしてしまいごめんあそばせ?」
「っていうか、アンタ、平民の味方をするの!?」
「いえいえ、わたくしは勿論グミット様たちの味方ですわ」
「嘘つけ!」
「いえいえ、グミット様の頬に虫が止まっていらしたのでこれは取らなければ一大事だと思い、拳を」
「頭おかしいんじゃないの!?」
「あら? キャラメル様、ガムッチ様、ラムネール様の頬にも虫が――」
――ボキボキ
と指を鳴らして、軽く威圧をした。すると三人は気絶しているグミットを背負って逃げるように校舎に入って行った。それを見届けるとつまんないと言わんばかりに通学路に戻る。
「お嬢様、心意気は見事なのですが……いきなり殴らないでください……」
「面倒になったら任せますわよ」
「え……はい」
クロコはこめかみを抑えて、天を仰ぐ。二人はそのまま四人と同じように校舎に入って行った。まさか、そこで勇者ダンが非常勤講師として待っているとは思いもしなかった。
◆◆
「まさか、勇者ダンが非常勤講師とは……まさかの展開でしたね。お嬢様」
「えぇ! 全く!」
「授業を受ける気が全くなく寝ていたお嬢様も起きてましたね」
「ダン様が居るのだから当然ですわー!」
先程、教師であるサクラ・アルレーティアから非常勤講師として騎士育成校でいろいろと教えてくれると説明があった。そして、勇者ダン本人も現れて、僅かだが話をした。
その時に、キャンディはウインクをして自身の存在をアピールをしていたが、関係性秘密なので一切反応はされなかった。
しかし、自身を僅かだけ意識をしてくれていることは分かったので彼女は機嫌が良かった。
「ご機嫌ですね、キャンディさん」
「……誰ですの?」
「おやおや、許嫁の僕を忘れるなんて……酷い人だ」
「……え? マジで誰ですの? クロコ知ってますの?」
「この方はマイケル・ウッシッシー。以前お嬢様と許嫁であった方です。ですが、既にその件は破談しているはずですが……」
「確かに……でも、僕は諦めていないんですよ」
(なんと、面倒くさい方でしょうか……。お嬢様が嫌いそうなタイプ……お嬢様絶対に変な事は言わないでくださいね……)
「面倒そうな――」
面倒そうな人と言おうとしたキャンディの口をクロコは手で覆った。そして、小声で彼女に囁く。
「――あまり下手なことを言うと、勇者ダンに清楚な方と思われませんよ? 良いのですか? 折角今のところは良いイメージで通っているのに」
「はっ! 確かにそうですわ! おほほほほ! えっとライケル様?」
「マイケルです」
「あ、そうですのね。そんなことより、わたくしこれから用事がありますの。ここで失礼しますわー」
「……まだまだですが……抑えようとしてるだけましですか。失礼いたします」
キャンディはそそくさとマイケルの前から去って行った。クロコも彼女の後を追って行く。彼女の背を目で追う、マイケルの手の中には深い闇が蠢いていた。
◆◆
放課後、キャンディは勇者ダンとこっそりお茶をすると言う約束を取り付けていたのでルンルン気分で帰宅していた。制服を脱いで、白のワンピースに着替えて鏡の前で身だしなみを整える。
騎士育成校の生徒で自宅から通えない者は寮生になることが出来る。そして、寮生には二人一組で過ごせる部屋も与えられるのだ。キャンディとクロコは同じ部屋で過ごしているので、メイドであるクロコはいつもキャンディの世話もしている。
「あら、あらあらあら? わたくし、可愛すぎじゃありませんこと? ワンピース似合い過ぎではありません?」
「可愛いですよ、お嬢様は……外見は本当に良いと思います」
「おーほっほほほ!! 当然ですわ、美しいと本で調べたら一個前にわたくしの名前がありますもの」
「さようで」
キャンディは制服からワンピースに、クロコはメイド服に着替えて勇者ダンが待っている場所に急ぐ。勇者は多忙らしく、僅かしか時間が取れないらしい。キャンディとお茶をすると約束したが僅か30分だけだと条件を付けて渋々了承をしてくれるほどに多忙だ。
それに関係性がバレないように人目のつかない場所に行かなくてはならない。時間がない。だから、彼女は走る。
30分しかない時間を有意義に過ごすために……だが、急いでいる彼女の足が唐突に止まる。王都の一角、荒れ地のような場所で人はいない。静かに風が吹いて、髪が揺れる。
メイドが首を傾げて主人に問う。
「お嬢様?」
「……先ほどからつけている方、出てきてくださいまし」
「え……?」
ギロっと龍のような狂暴な眼を僅かに木が生えている一角に向ける。主人の冷え切った眼に息を呑むクロコ。しかし、眼を向けられている存在は何食わぬ顔で登場した。
「マイケル様です。お嬢様」
「あー、先ほどいた方」
「少し、驚きました。上手く隠せていると思ったのですが」
「もっと格上を普段から見ていますの。貴方程度、直ぐに気付くことなど造作もありませんわ。それで? 何か御用でしょうか?」
「えぇ、まぁ……色々事情が変わりまして一緒に来てくださるとありがたいのですが」
「お断りですわ。これから大事なお茶会でして……というかどうせ力づくで来るおつもりでしょう? その塵のような殺気でバレバレですわ」
「流石はエレメンタール家の令嬢ですね。気付いてましたか」
マイケルの手には真っ黒な禍々しい闇があった。彼の眼はそれに釘付けで呑まれているようであった。それを見て、あれは厄災の様に人にとって害を呼ぶ存在であると即座にクロコは悟った。
己の主人を守るために盾のように立とうとするが――
「お嬢様!」
「心配なく」
――気付いたら
(え……こんなにお嬢様速かった……? まさか、これが勇者ダンとの訓練の成果?)
「わたくし、これから愛しの殿方とお会いしますの。貴方が居ると色々と勘違いされて、最悪なので潰しておきますわ」
「生意気な方だ。大人しくついて来れば痛い目を見ることはなかったと言うのに……」
キャンディは左手を開き前に出し、右手は握り僅かに引いた状態で構える。右足が地面にめり込む、振動が地面を通じて響き穴が空く。
「へぇ。多少は出来ますのね」
「当然です。僕は選ばれし存在。真の強さを手に入れた」
疾風の速さで打ち込まれた拳は難なく、マイケルの手のひらに収まっていた。ある程度、抑えていたとはいえ、無傷であり、彼女も警戒心を強めた。
「しかし、貴方もお強いですね。ここまでとは……まぁ、僕ほどではないのですが」
今度はマイケルが拳を打ち込む。もし、彼女がただの貴族であったのなら、勇者ダンからの訓練を受けていなければここで終わっていただろう。怒涛の拳の雨を手の平でまたは甲で外へと流す。
そのまま反撃へと移行したかった彼女だが、あまりに速過ぎて……そして、派手に動くとワンピースが破れてしまうのでどうしても派手に動けない。
(うぐぐ、派手に動くと絶対に破けますわ……折角のお茶会に行くために新調したのに……)
「苦しそうですね。しかし、誇っていい、ここまで出来るのは同年代にもほとんどいないでしょう」
「どうでもいいですわッ」
(随分、動きが小さい。怯えた小動物のようだ……僕との実力差に精神的にも負担がかかっていると見える)
(エレメンタール家の最も若い血を欲すると『あの御方』は言っていた。そして、人類の新たなる存在への昇華の『果実』の実験……大役と聞いていたがあまりに拍子抜けだ)
(いや、僕が強くなり過ぎてしまっただけか……。これならばあの最強と言われた勇者すら地に伏せることが出来る)
只管に拳を清流のように流し続け、防御に徹する彼女であったが、そろそろお茶会の時間になると気づいた。不味いと、焦った表情で拳を握って、ワンピースが破けないように最小限の動きで拳を打ち込む。
「僕と真正面から打ち合いとは! 面白い!」
「くっ、時間が……」
破壊と破壊が拳によって交差した。その衝撃で突風が発生して辺り一帯を揺らす。僅かな轟音が響いて、クロコの耳にも届いた。
「手加減しているとはいえ! この僕と真正面から打ちあえるとは凄いではないですか! いいでしょう! 僅かだけでも本気を出して差し上げよう!」
「――ッ」
「
一瞬で大気の温度が下がる。マイケルの拳から冷気が発生して、全てを拳を中心に引き寄せる。パきパきと、ワンピースが凍り、彼女の整えた髪もぼさぼさになった。そして、彼女の腹に爆氷の拳が突き刺さる。
「お嬢様!」
数メートル吹っ飛んだ彼女は地面に伏した。ワンピースは土で汚れ、口から僅かながら出血している。
「お、お嬢さ、ま……」
クロコは倒れている彼女の下に駆け寄る。そこであることに気付いた、いつも明るいオレンジのような彼女の髪が徐々に赤色に染まっていた。そして、彼女の瞳も同じようにオレンジから赤に変わっていた。
元の色と点滅するように赤に変わって行く。
(まずい。お嬢様が……お嬢様が……キレる……ッ)
「クロコ……待ち合わせのお茶会の時間は」
「その、過ぎております。しかも、大分汚れてしまっているので着替えたり、したら、その……」
「あぁ、間に合わないということですのね?」
「あ、その……」
「えぇ、そういうことですのね……取りあえず、アイツの奥歯折りますわ」
ゆっくりと立ち上がると、ギリギリと歯軋りをして彼女は立ち上がる。そして、にやにやとこちらを見ているマイケルに向かって再び構え、一歩踏み出した。
(まだやるのか、無駄だ――ッ!)
轟音がなり、豪速を超え、そして、鉄拳が彼の顔面に向かって――否、既に到達をしていた。それに気付いたときには彼は無意識に防御をしていた。そうしなければ自身は死んでいたかもしれないからだ。
「……ふざけんじゃねぇぞぉぉ! この、クソ野郎がぁあ”!!」
だが、防御したのも束の間、彼女の拳は再び消えていた。そして、既に彼の腹部に到達していた。
「――ッ!!」
熱いッ、と彼は感じた。しかし、彼女は何も特殊な事をしていない。あまりの衝撃と速さに腹部がそう錯覚をしたのだ。全身から一瞬で酸素が吹き飛ぶ感覚を味わいながら、彼は飛ぶ。
(あ、あり得ない! いや、僕の方が強い。既に型は頭に入れた、速さも体験した。次の一手で上を行けば――)
(――手加減も必要ない)
「
再び、彼の拳に氷が集中する。辺りから熱気を奪い世界の時間を止めるように凍らせていく。先ほどとはわけが違かった。
手はキラキラと輝き真っ白に染まっている。その拳を彼女に叩きつけようと上から拳を向ける。
一方の彼女は……同じように拳を向けていた。
(な、なんだ!?)
彼女を中心に自身の熱が奪われているような感覚に襲われていた。まさか――、と彼女の手を見ると自身と同じように真っ白に染まっている。
「そんな猿芸は一度見ればなぁ!! マネできるんだよぉ!!」
全く同じ拳がぶつかり合う。しかし、拮抗しない。オリジナルを使うマイケルの拳が折れて、氷が割れたような状態になる。
(僕の技が一瞬で――、さらに、僕よりも上の――)
それを最後に彼は全身が氷で包まれた。激昂状態であったキャンディもようやく拳を収める。すぐさま氷を溶かして、一応の処置もしてマイケルの命だけは救った。
「お嬢様?」
「あー、最悪ですわ。お茶会行けないし、無断でキャンセルをしてしまうし……絶対にダン様に嫌われましたわ。もう、生きてはいけませんわ」
「そんなことはないと思いますが……」
二人で話をしているとサクサクと、凍った地面を砕くように歩いてくる足音が聞こえてきた。
「これは……お前の仕業だな?」
「だ、ダン様……え、えぇ、まぁ」
「……そうか、まぁ大体見ていたが」
「え!?」
「取りあえず、その男は俺が連れて行く」
「は、はい……」
ダンは男子生徒であるマイケルを連れてどこかに行ってしまった。彼の背を見送るとキャンディは再び溜息を吐いた。
「あぁぁぁぁぁ、終わりましたわぁぁあ!!」
「お嬢様!?」
「清楚なイメージでやっていたのに! 素を見られてしまいましたわぁぁ!!」
「お嬢様、実は滅茶苦茶口悪いですしね……。今までよく隠せていたと言うか……」
「あぁぁぁぁぁあぁああああ!!!!」
「よしよし」
戦いの時、取りあえず奥歯折るか、とか色々と言ったことを全部聞かれたと絶叫をするキャンディをクロコは胸で抱き寄せて、よしよしと頭を撫でてあげた。
◆◆
非常勤講師と言う新たな職業についた。週六で弟子達の修行をして、更には七日目も頑張って修行の近況情報を纏めている。そこから更に仕事を増やすことになるとは……
まぁ、しゃあない。本当に非常勤だからね。やったとしても十四日、二十八日に一回くらいだな。
「勇者君、モテるからって生徒に手を出しちゃダメだぞ?」
「……あぁ」
サクラがこんなことを言ってきたが……そもそも俺はモテない。更にはそんな事は絶対しない。
「生徒じゃなきゃ、手は出しても良いと思うよ……」
あ、はい。そんなに俺が手を出すのか心配なのか……。クソちょっと優男でモテるからってお前調子に乗るなよ!
教室入ったら、全員唖然としていた。え? 勇者ダンが非常勤講師!? みたいなね。キャンディとアルフレッドって同じ教室なんだ。二人が接点持って俺のことがバレたらどうしよう……。
キャンディがウインクしてくるが……まさか、既に気付いて俺に圧を……?
そして、彼女から放課後にお茶しようと誘われることになる。バレたか? 二人きりで一体全体どういうことかと聞かれるのかもしれない。
うーんと悩んでいると既に放課後だった。待ち合わせの人気のない場所で待っていると轟音がなった。気になって見に行ったらキャンディの髪が赤く染まっている。
しかも、なんか男子生徒と戦っていたのだ。驚異的な身体能力で相手を圧倒している。
え、えっと……俺あんなの教えてないんだけど……。あの赤い髪になる奴何? しかも氷の拳みたいなのいつの間に覚えたの? あんな物騒なの教えてないんだけど……。
え、えぇ? 俺要るか……? 放置しても勝手に勇者になるんじゃ……。
取りあえず、この凍死しそうな彼は保健室に運ぼう。
一応、生徒指導した方が良いのだろうか。でも、キャンディが何の理由もなく暴力を振るうとは思えない。あと、あの言葉遣いも気になる。いつもの清楚な感じはどうしたのだろうか?
うーん、一応教師として後で話は聞いておこう。
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