第3話 きっと……、未来は幸せ……

 今日の天気はどんより曇り空。雨が降り出してもおかしくはない。私はその天気に、何だか嫌な予感を感じた……。


「よし、今日は今年度の生徒会の役割を発表していく」


『はーい』


「まずは、1年生から、漣那」

「はい!」

「漣那は、広報」

「はい」


 まぁ、どの役割をやりたいとかは特になかったし、いっか。


「次、髙井たかい、会計」

「はい!」


「次、秋原あきはら

「はい!」

「秋原は、書記」


「そして、2年生は前決めた通りだ。僕が会長。上野うえのが副会長。鷹尾たかおが会計監査」


「「はい!」」


「じゃあ、今日のところは解散。各自教室に戻ってくれ」


 そういえば昼休みだった…!。


 そして、生徒会室から帰ってきて、いつメンと戯れていると、このクラスの誰かが、噂話をしているのが聞こえてきた。


「そういえばさ、先輩から聞いた話何だけど、生徒会の会長と副会長って付き合ってるらしいぜ〜」

「え!?マジで!何か青春だなー。生徒会で恋愛とか〜」

「俺も生徒会入ればよかった〜……」


 私はその噂話を聞いて、噂だし信じない方がいいとは思っていたものの、心の隅でお兄ちゃんならありえるという考えが残っていた。


 “キーンコーンカーンコーン”


「あ、チャイムがなりましたね。これで授業は終わります」

「起立ー。気をつけ、礼」


『ありがとうございました〜』


 あの噂を聞いてから、あっという間に放課後がやってきた。やっぱりまずは観察しないとだめだと思う。


「失礼しまーす」


 私はとりあえず生徒会室に行って仕事をすることにした。


「お兄ちゃん、今日の私の仕事って何?」

「ああ、漣那はこの、新生徒会のスローガンを書いてほしい」

「この前決めたやつね、了解」


 お兄ちゃんと話してる感じは全く違和感がない。


「会長ー。ここにある羊羹ようかん食べていいですか?」

「え、だめだ」

「なんでですかぁー!」

「そりゃだめだろ! だから、体を揺するな!」


 う〜ん……。確かに彼女の可能性も捨てきれない……。彼女と思えば彼女に見えてくる……。


「お兄ちゃん、スローガン書けたけど?」

「ん? 早いなー。ありがとな」


 お兄ちゃんのこういう何気ないも仕草が好きだな。だから付き合ってるなんて嘘であって欲しい……。


「じゃあ、みんな今してる仕事終わったら、生徒総会の会議するから集まって」


『はーい』

 

 生徒総会かー、中学の時もあったけど、みんな寝てるか遊んでるかのどっちかだったけ……。


「お兄ちゃん、仕事終わった?」

「え? まぁ、ひと通りは終わったが?」


 じゃあ、私も暇だし何かしよ〜。あ!

そうだ。


「ねぇねぇ、お兄ちゃん。このトランプ使って神経衰弱しない?」

「え? 神経衰弱? まじで……」

「負けたら罰ゲーム!」

「罰ゲームあんの……」

「今日の夕飯の唐揚げを賭けて勝負だよ!」

「うむ、それは負けてられないな……」

「か、会長のオーラが変わった……!」


 ふ、お兄ちゃん甘いな、私は記憶力がいいんだから。神経衰弱で負けたことは――。


「はい、僕の勝ち。唐揚げしっかりくれよ」

「は、はい…」


 うぅ……。なんで!? 私はとの神経衰弱では負けたことなかったのに……! ん? 友達……、あ、私お兄ちゃんと神経衰弱したことなかった。 しかもお兄ちゃん、私より記憶力よかった!! あぁーやらかしたー……。今気づいても遅いか……。


「あははは、漣那はそういうとこ可愛いな。唐揚げはいいよ、いらない」

「え、いいの?」

「うん、いいよ」


 今お兄ちゃん、私に可愛いって言ってくれた! しかもちょー優しいな。他の女に可愛いって言っても何も反応しないってことは彼女じゃないのかも。でも、事実は気になるし夕飯の時にでも聞くか。


「「「「いただきまーす」」」」


 う〜ん、やっぱり唐揚げ美味しい〜。というか……、いつ切り出そうか……。お兄ちゃんが食べ終わったぐらいかな?


「やっぱお母さんの唐揚げは上手いなー」

「あらそう、ありがとねー」


 なんか、考え事してると、食べるのが遅くなる……。しかも、外は雷雨になってるし。もう、嫌な予感しかないよ。


「ごちそうさま」

「はーい」


 今だ!


「ねぇ、お兄ちゃん。ちょっとさ、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「ん? 何だ?」

「あ、あのさ…」


 いざ言うとなると緊張するな……、告白ってわけでもないのに……、でもここは、きっぱりと聞いておかないと!


「彼女いるの?」

「……」


 その言葉は、食卓を凍りつけたかの用に、静まり返った。


「それ、誰から聞いた?」

「いや、聞いたというか、クラスの男子が噂しててさ、本当なのかなって思って……」


 ヤバいこと聞いたかな? いや、ヤバいことを聞いてるんだけれども……!


「しょうがないか、僕もさ、いつか言おうと思ってたから。そう、その噂通り、僕は付き合ってる人がいるよ」

「あ……、やっぱり……」

「うん。相手が誰か漣那はもうわかってるんだよね?」

「うん……」


 その後私は、泣いているのがバレないように、自分の部屋に行って、自分を落ち着かせた。

 そしてその数日後、テレビ番組で、『兄妹、姉弟は結婚できるのか』という特集を目にした。そこには……、“法律上、血の繋がった兄妹、姉弟は結婚できない”とあり、私は気づいた。この私の物語は、だれにも言えない恋の物語だったんだなと。


 でもねきっと、お兄ちゃんも私も幸せになれるよね、きっと……。


 “カラーンカラーンカラーン”

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

運命の行く先に 四ノ崎ゆーう @yuuclse

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ