第2話 好きの気持ち
高校生になり、はや1ヶ月。明日にゴールデンウィークを控えた今日の6時間目、私にとって、高1の運命を大きく左右する、議題を考えている。
「というわけで、昨日話したように、今日の学活は生徒会役員選挙についてやっていきたいと思います」
そう、生徒会役員。そもそも、生徒会とはどのようなものなのかというと、“学校生活上の問題点や議題などを解決、改善するためにある、自治的組織である。”と、お兄ちゃんから聞いたことがある。私は生徒会に入るか否かの決断を迫られている。
「漣那ちゃん、生徒会入るの?」
先生に気づかれない小さな声で紗友ちゃんが話しかけてきた。
「そうだね、考えてはいるよ」
「成績目当て?」
「もー、違うよー」
「えー、嘘だー」
「嘘じゃないぞ〜」
「ちょっと、
「「すいません……」」
あーあ、怒られちゃった。紗友ちゃんがあんなこと聞くから、成績目当てなわけないじゃんもー。本当の目的はお兄ちゃんに決まってんじゃん。ま、誰にもわからないか。
「じゃあー、生徒会役員に入る人、手を挙げて下さい〜」
「はい!!」
私は、先生に見えるようにピシッと手を挙げた。
「え〜と、高橋さんと蒼山さんだけかな?」
私以外にも1人いたようだ。
「でも、ごめんね……、役員は1クラス1人までなの」
え……、やばいんじゃないの……。も、もしかして、じゃんけん? じゃんけんなの!?
「そうですか、ならボクはいいです」
「そう、じゃあ蒼山さんがうちのクラスの生徒会役員選挙に出るってことでいい?」
『異議なーし』
やったー!高橋は神だ!これで選挙に出れる!
「じゃあ、蒼山さんは放課後生徒会室に行っくださいね。」
「了解です!!」
「はい、じゃあ今日の学活終わり。残り時間は自習です」
〜放課後〜
「確か、生徒会室はここを曲がって……、あ、あった」
なんかちょっと緊張するなー。
“コンコン”としっかりドアをノックする。(てか、ここのドアのノック音、気持ち良すぎじゃん……)
「はーい、どうぞー」
ドアの向こう側からお兄ちゃんの声がした。
「失礼しますー……。こんにちはー」
「あら、こんにちは〜。」
中には数人、生徒会役員の先輩がいて、お兄ちゃんが何か仕事をしている。
「生徒会役員の選出者かな? って漣那か。何か用事でもあった?」
「会長、お知り合いの方ですか?」
「いや、漣那はうちの妹だ」
「あー、確かに優眞に妹いたな」
「え! この子が会長の妹さん。かわいい〜」
なんか、生徒会の人に可愛がられる。
「あ、すいません、申し遅れました。私、副会長の
「こちらこそ、いつも兄がお世話になってます。私、蒼山漣那です。今日は生徒会役員の選出で来ました」
真希先輩、いい人だなー。めちゃ丁寧だし。
「あら、そうでしたか」
「えぇー!漣那、生徒会入るつもりなの!?」
「うん。そうだけど?」
そんな驚くほどのことかな?
「そ、そうか……。まぁ、別にいいけどさ……。うん、まぁね……うん」
お兄ちゃん、動揺が隠しきれてない……。
「会長、もう漣那さんは決定で良くないですか?もう決定にしちゃいましょうよ〜」
「ちょちょ、揺らすな!そして椅子を回すな!落ち着け真希!」
真希先輩、案外抜けてるとこがあった。相当私を気に入ってるなー。
「流石、それはだめだぞ。選挙はしないとだめだ」
「ガァーン……」
わかりやすい効果音だこと。
「と、じゃあ、生徒会に選出する人は揃ったみたいだね。じゃあ、今から色々と選挙の説明をするからそこに座ってもらえる?」
私達があーだこーだ話しているうちに選出者が揃っていたようだ。
「それじゃあ、選挙についてだね。選挙は推薦者と選出で行う。だから推薦者を誰かに頼んでおいてね。次に――」
そして、その時から3週間があった。選挙も終わり、結果が発表された。
「じゃあ、これからよろしくね。新役員のみんな」
「「「はい!」」」
私は、見事当選した。そして、私以外に当選は2人いた。
「まさか、本当に漣那が生徒会に来るとは思ってもいなかったわ」
「だから最初から言ってたじゃん!」
「漣那のことだから落選しそうだなーって思ってたのに」
「もー! 失礼!」
「ごめんごめん、冗談だよ。」
「ふふ、知ってた。そういうとこ好きだよ」
「な、何だよ急に…」
私はこんないたずら好きなお兄ちゃんも大好き!こうしていれることが、何よりの癒やしで幸せ。いつかこの気持ちを伝えられるのかな。お兄ちゃんと付き合いたいなー。
そしてその数日後、私は思いもよらないことを耳にすることとなる――。
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