第3話町長ご乱心

「前園課長、町長が来ましたよ!」

堀は他の課の様子を見てきた。

「早い、早すぎる。ナゼ、一次会から姿を現す!あの落武者ハゲが!」

それを聞いた周りが大笑いした。

「課長、山根町長はこれから落武者君でいいんじゃないですか?」

「水原君。君は面白い事をいうじゃないか?ガハハハ」

個室の扉が開いた。

「君たち、楽しそうに飲んでるではないか?誰が落武者なんだって?」

一同は静まり返った。山根町長が現れたのだ。


「ち、町長、お忙しい中ありがとうございます。何を飲まれますか?」

山根町長はお手拭きで顔面を拭き、首筋を拭き、

「総務課が最後だから、焼酎でいいや」

「かしこまりました。戸川君山根町長にお湯割り作って差し上げて。5対5だからね」

「はいっ」

「お、君が新人の戸川君か。頼むよこれから。総務課は私の味方なんだから」

「はいっ。ありがとうございます」

一同は再び乾杯して、山根町長は水原の横に座った。

「君は一番、私の悩みを聞いてくれたね。一段と成長したんじゃないか?おっぱいが。ガハハハッ!」

水原は顔をひきつらせながら、笑って見せた。

山内が同期の竹田に言う。

「タコボウズ」

クスクス。

「おいっ、町長の前だぞ!何を笑ってんだ?」

竹田が堀に耳打ちする。

「タコボウズ」

ウハハハッ。

「こらっ、堀係長失礼だぞ」

「課長、町長はタコボウズだそうです」

……ウハハハッ!


「やっぱり、総務課はいいなぁ~。わしの味方で。笑いが絶えんではないか。よし、決めた!今夜は総務課縛りだ!」

町長を除いた全員が落胆した。

そこで、前園課長は、

「山根町長、まだ企画財政課が待ってますよ!」

「あいつらは、好かん。竹田ちゃん、お湯割りお代わり」

「あっ、僕が作ります」

「ノンノン、戸川君。お湯割りは若い女性に作ってもらいたいの!」


山根町長はセクハラ、モラハラ、スメルハラスメントの限りを尽くす。

彼の息は臭いのだ。間違いなく、歯槽膿漏だ。

町長は二次会のカラオケまで付いてきた。

濃いめのお湯割りで町長を潰した。お金は払って、静かに総務課は三次会へ向かった。


三次会はバーだった。

水原が前園に訴える。

「課長、あのエロハゲずっとわたしの腰に手を回していたんですよ!セクハラで訴えましょうよ!」

「まぁまぁ、我慢しろ。山根町長にはいずれ天罰が下る」

堀が、

「今は言えないが、私と課長は町長を調べている。みんな、もう少しの辛抱だ。頑張ってくれ。ここは、係長の私のおごりだ。飲んでくれ」

総務課全員は、ビール、焼酎、ウイスキーとチャンポンして、翌日、二日酔いと言う地獄を見るのであった。

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