第8話
構えてからどれ程経ったのだろうか?
初めての魔物討伐、とても落ち着いていられない筈なのに不思議と俺の精神は落ち着いていた。これはコレクションがもたらす安心感の為せる技なのだろうか?
『・・・来ます』
ドッバッン!!
シャァアアア!!!!
土煙を上げながら紫と黒、まさに魔物!!という感じの大蛇が現れた。現れたのちょうど俺の数メートル先、炎帝を抜いても刃は届かないだろう。
だが、
『今です』
「しっ!!」
エルは抜けと言う。
ならば疑う必要はない。
俺は炎帝に魔力と自身ができる最高の抜刀をと気持ちを込めて炎帝を抜く
すると
シャァアア・・・バダンっ
炎帝を横にはらった瞬間炎の刃が炎帝から放たれジャイアントスネークの胴体を両断
ジャイアンはそのまま地面に倒れたのだった
「へ?」
ジャイアントスネークが倒れ、やつの顔が俺の足元に転がる。俺は間の抜けた声を上げるのが精一杯だった。
☆☆☆
ジャイアントスネーク討伐後、エルの指示通り素材採取を行った。初めての魔物討伐に素材採取、城に居た時には経験できなかった事ができて俺は興奮していた。それはもう鼻歌を歌うほどだ。
素材採取を終えた俺は転移扉を活用し、クエーグ帝国帝都クエーグ近くの街に来ていた。
門を抜け門番に教えてもらった道順でハンターギルドへと向かった。そして今、そのハンターギルドの前に到着したのだった。
「よし!!いくぞ!!」
俺は扉を開け中に入る
中は食堂も併設されており、現在は昼近い為か何人かが食事をしながら楽しげに騒いでいた。
漂ってくる食欲をそそる匂いに俺の腹も空腹を訴えてくる。
登録が済んだら食事だな
俺は受付カウンターに向かい職員に話しかけた。
「登録をしたいのですが」
「はい!!ハンターギルドへようこそ!!登録ですね!!では、こちらの書類に必要事項を記入してください。失礼ですが代筆は必要でしょうか?」
対応してくれたのは小柄な女性だった
笑顔が可愛くどこか小動物を連想させる。
そういえばアンナマリーも幼い頃はよく笑いかけてくれたなとつい感傷に浸ってしまう。
「あの?」
「あ、いや、大丈夫です。代筆は必要ないです。では失礼して」
感傷浸るあまり止まる俺を不審に思ったのか職員が声をかける。俺は軽く流して書類に必要事項を書き込んでいく。
と言っても名前、性別、年齢ぐらいしかないのだが、ここで一つ問題があった。
名前だ
名前はどうするか、さすがにアルファード・ガイゼンと書くわけにいかないし偽名を使うか、だが略称はバレる恐れがあるし、普段使わない名前だと咄嗟に呼ばれた際にうまく反応できない可能性が・・・
『主様』
悩む俺の頭の中にエルの声が響いた
『偽名、新しい名前に『ルキ』と言うのはいかがでしょうか?私が個人的に好きな言葉でして』
ルキ?
なんだこの感情は?
エルに提示された「ルキ」と言う名前
なぜか昔から呼ばれていたような懐かしい感情が湧き上がる
俺は慣れた手付きで書面の名前欄に「ルキ」と書いた。
「これでいいですか?」
「失礼します。・・・はい、大丈夫です。ではハンターライセンスカードを制作いたしますのでしばらくお待ちください。」
受付さんが、書面を受け取り確認をしてくれた後待ち時間を告げられた。
時間が空くのならばと
「ライセンスカードが無くても素材の買い取りは可能ですか?」
「はい!!可能です。本日ライセンスカード発行受付をしていただいたので討伐ポイントも蓄積されます。」
「討伐ポイント?」
「あ、はい、後ほど説明させていただくのですが魔物を討伐しその素材をギルドに卸していただくと依頼達成報酬や素材買い取り料と別にライセンスに討伐ポイントが付きます。そのポイントを必要数貯めていただくとランクアップ試験を受けることができます。ランクは下からE.D.C.B.A.Sとなっていて上に行けば行くほど高ランクな依頼を受けることができます。」
「なるほど、ありがとうございます。素材買い取りはどこでできますか?」
「あちらの買い取りカウンターにいる職員に声をかけて頂ければ対応いたします。」
「分かりました。じゃ、行ってみます」
「はい、ライセンスカードの準備ができ次第お声をかけさせていただきますね」
「はい、よろしくお願いします」
俺は受付を離れ買い取りカウンターへと向かった。
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