第7話
「ここはどこだ?」
扉を開けるとそこは廃墟らしき建物の中だった。いや、厳密には中とは言えない。なぜなら壁や天井などなく柱などの残骸がある程度、あとは見渡す限りの大草原、小さく王都の城壁が見える。
『主様しばしお待ちを』
「エル?」
『周囲に漂う魔素を吸収し周辺の情報を収集します』
そういうやエルの本体である腕輪が光だし数分すると収まる。
『収集完了、現在ガイゼン王国首都ガイゼンから北に43キロほど離れた草原に居ることが分かりました。ここから行動を開始しますか?』
「ん、んー、まぁいいかな、」
43キロ?
結構遠いのか?
一応は王都は見えてるからいいか
俺は頷くことにした。
『分かりました。では扉のドアノブの箇所にある魔水晶に私を翳してください。それで私と扉に魔法回路を生成し以降は私を通せば任意の場所に扉を出現可能になります。』
「わかった」
エルの言うとおりドアノブを見るとたしかに魔石が埋め込まれており、腕輪を翳すと一瞬光を放った。
これでいいのか?
『完了しました。ではこのあとどうなさいますか?今から王都に向かう場合、到着は夕刻になるかと思います。』
「それは決めてある。北にあるブリュレ伯爵領を経由して隣国帝国に向かおうと思う。さすがに王国にいると正体がバレた時面倒な事になる。帝国とは一応は友好国だが向こうのほうが国力は高い上、人口も多いからな」
『人を隠すなら人の中ですね?では帝国付近まで転移扉を開きますか?』
「できるのか?」
『先程地理情報を収集しマップを制作しました。私と転移扉をリンクさせれば可能です。』
「本当か・・・凄いな・・・」
もはや言葉がでない
セリーヌさんが俺に授けてくれた魔道具、これからはセリーヌコレクション、コレクションと呼ぼう。こんな高性能な物たちを世間一般にある魔道具と同種と捉えるなんて失礼だからな。魔道具の置いてあるあの部屋も
「それでは頼・・・あ、ちょっと待った」
『どうされましたか?』
「いや、折角だからこの辺りでコイツの性能を確かめたくてな」
俺は腰に下げている炎帝を軽く持ち上げた。
『分かりました。では暫しお待ちを・・・東へ15キロ程行きますと森があります。そこに現在魔物ジャイアントスネークが出現しています。炎帝を試すにはちょうど良いかと』
「ジャイアントスネーク・・・」
たしかそれって全長15メートルの大蛇だよな?
鱗は固く剣で切るのは困難、牙には毒がありかすり傷一つで致命傷にもなる。そんな化け物だったはずだ。
それぐらいがちょうどいいのか・・・
あ、でもエルが言うならそのとおりなのかもしれないな
それにこれから魔物ハンターになるならこんな事で怖気づいてたら生きていけない。
よし、行ってみるか!!
「わかった、行ってみよう!!」
『さすが主様です。では案内します』
「ああ、よろしく頼むよ」
俺はエルの案内でジャイアントスネークが出現しているという森へ向かって歩き出したのだった。
☆☆☆
「ここか・・・?」
『はい、こちらにジャイアントスネークがおります。探知しましたところどうやら向うも主様に気づいているらしくこちらに向かってきています』
「マジか?」
『マジです』
「俺はどうすればいい?」
一応城にいた頃は剣術を習ってはいた
だがそれは対人用で魔物、ましてや自身より遥かにでかいやつの相手などしたことがない
変にプライドを持って挑むより素直にエルに助力を願うことにした。
『では炎帝を鞘から抜かず持って構えてください。そして闇夜の羽衣に備わっている魔力障壁を展開、私がどの方角からジャイアントスネークが出現するか教えますので奴が正面に来るようにしてください。そしてジャイアントスネークの姿を視認した際に抜刀、それだけで終わります。』
「え?それだけ?」
『はい、身体の位置などを調整はありますが主様がやることは簡単に言えば①に構え、②に魔力障壁展開、③に抜刀、それだけです。』
「わ、わかった。やってみよう。」
俺はエルに指示された様に炎帝に手を添え腰を落とし構える。そして魔力障壁を展開しジャイアントスネークが現れるのを待った。
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