第3話

「ここは・・・?」


扉を開けると中は部屋だった

だが、ただの部屋ではない

部屋の中は私から見て両脇にはガラス扉で私の腰ぐらい高い棚が置かれ棚の上や中に道具がまるでコレクションのように鎮座していた。  その他にも壁には多種多様な剣や盾・マントや帽子なども飾られており、誰かのコレクション部屋かと思われた。


「ここは一体・・・?」


呆然と立ち尽くす私の頭上から一枚の紙が降ってきた。私は徐ろにそれを取り中身を確認する。紙には文章が綴られていた。


『おはよう、こんにちは、こんばんは!!

アルフォンス・ガイゼン君。私の名前はセリーヌ、信じられないかも知れないけど貴方のいる時代から2000年前にいた王族です。貴方は私のことを知らないだろうけど私は貴方のことを知っています。なぜこの塔に来たのかも・・・辛かったよね・・・でもそんな貴方に朗報です!!ここには生前私が作った多種多様な魔道具があります。これらの所有権を全て貴方に譲ります。理由は・・・貴方が心配だからかな?とにかく!!ここにある魔道具を使えばこれからの生活に苦労することはないと思うんだ!!使い方はその道具に触れば自動で理解できるようにしているからね、あと一番奥にある扉、転移扉になっててね?人目のないところに転移することができるの!!あと登録場所を4箇所だけ登録できて登録するとそこにつながるようになるからお気に入りの場所とかできたら使ってね?それじゃ、そのうちまた手紙を送るから元気でね?寝るときはちゃんと布団かぶるんだよ?歯磨き忘れないでね?変な女につかまらないでね?それじゃ、ばいばい!!追伸、貴方がこの部屋に来たことでこの塔にかかっていた魔力吸収と圧力荷重はなくなったので塔内でも快適に過ごせます。』


手紙を読み終えると私はゆっくりと息を吐き天井を見上げた。

そして


「なんだこれ?」


この一言だった・・・


☆☆☆


いろいろ突っ込むことは多様にあった

ようやく頭の中で処理が終わった私はとりあえず手紙をポケットに入れる。

理由は分からないがなんだか手紙の差し出し人であるセリーヌさん、この人の事を蔑ろにしてはいけないと思えた。

私はセリーヌさんの言っていた魔道具に触ってみることにした。私のために用意してくれた物だ、使わないと悪いし何より未知の道具であり2000年前と言えば魔法や魔道具の技術が今より発展していた時代、今や再現すら困難な物たちを使えると言う好奇心で私の心はいっぱいだったからだ。


私は近場にあった腕輪を手に取る。

すると頭の中に女性の声が響いた。


『検索の腕輪、こちらを装備し『検索』と念じると見たい物、探したい物の詳細な情報とその場所を知ることができます。』


なるほど、これは使えそうだな

先程セリーヌさんは触れば道具の詳細が分かると行っていたけど一つ一つ触って確かめていたら時間がかかってしまう。まぁ、時間はあるのでそれでもいいのだが・・・今はとりあえずこれを使ってみることにした。

検索の腕輪を右手につける。


「えっと、念じればいいんだよな?」


俺は頭の中で『検索』と念じた

するとまた女性の声が聞こえる。


『何を検索しますか?』


なるほど、こうなるわけか

俺はさらに頭の中で「この部屋の中にある魔道具は数と系統は?」と念じる

すると


『この部屋の中には全部で100個魔道具があります。内攻撃特化の魔道具20種類、防御特化が20種類、攻撃防御両立魔道具20種類、隠蔽系魔導10種類、生活魔道具20種類、空間系魔道具10種類、となっています。』

「なるほど、結構あるな、この検索の腕輪は何になるのかな?」

『私は生活魔道具になります。』

「えっ!?」


独り言を漏らすと頭の中に検索の腕輪の声が響き驚く。私はまじまじと腕輪を見る


「今念じてないよな?なんで返答が?」

『私は製作者あるセリーヌ様より疑似人格を与えられています。なのでこういった普通の会話にも多少なり対応可能です。』

「疑似人格?」

『簡単に説明しますと作られた意思です』

「な、なるほど・・分からない・・でもこれ、世に出したら国宝物だな・・・」

『国宝級なんて、私などより高性能な魔道具がこの部屋に数多く存在します。』

「そ、そうなの?」

『はい』


検索の腕輪、検索さんかな?

その返答を聞いた俺の顔色は悪かっただろ

最初の一つ目で国宝級・・

それも普通に棚の上に置かれていた、これ一つでもとんでもないのに検索さんは自分などまだまだと言う他にいったいどんな魔道具をがあるのやら、俺は少し恐怖した。


セリーヌさん、貴方はいったい何者ですか?

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