第2話 無法者へ

少女は刃をルミに向ける

ルミは死を直感して顔をひどく歪める


「おいおい……カテリーナ

ターゲットはバランだけだぞ」


疲れた顔をしていている

歳は20後半ぐらいだろうか

灰色のポニーテイルをした女性


カテリーナと同じく足音はおろか気配すらなかった


ターゲットとはどいういうことだ……

そもそもこの2人はいったい


カテリーナは刃を納める

「まぁいいけど どうせこの女……

それで今日の任務はこれで終わり?」


平然と殺人を犯し、ターゲットや任務という言葉

なんとなくだがどういうものなのか分かってきた

おそらく人を殺すのを生業としているのだろう


「はぁ……なんかいも言わせるな

この後ダンジョンの二層へ行ってグルーマという果実を取りに行く」


カテリーナは呆れ顔でため息をつく大人を見て少し笑みを浮かべる

「今日も……しんどそう へいき??」


「てめっ…だれのせいだと……」

カテリーナがいたずらっぽく笑う


「あっ間違えた……依頼はバランとジョンだ」

そういいながら灰色の髪の女は投げナイフを握る

次の瞬間にはジョンの喉元に突き刺さっていた


3人は俺をに散々なことをしてきた

それでも仲間ではあった

バランが殺されたときも悲しいとは思えなかった

ジョンのときも同じ


女は俺を見て微笑む

「やぁ私はリナ 名前を教えてくれないか??」

どうして俺にそんなことを聞くのか全く理解できない

でも教えるしかない


リナの気を損ねるようなことをすれば

俺の喉元にナイフが刺さることになる


「イル……」


「私はこのダンジョンにあると言われているグルーマを探している 手伝ってくれないか??」


俺になにをさせようとしているのか見当もつかない

魔物を誘い出すための囮に使われるかもしれない


俺に許されている返事は一つだけだろう

「わかっ……た」


「そうか よかった」

俺の返事を聞き表情がやわらいだ

リナという女はいったいどういう人なんだろうか

ぜんぜん掴めない






今はグルーマを探している

バランたちといたときなら撤退を覚悟するような魔物を2人は涼しい顔で対処している


リナ、カテリーナは凄まじく強い

だからこそ俺がいる理由がわからない


リナは俺を気遣って話をしてくれる

だがカテリーナはリナとしか話さない

俺には全く興味なさそうな感じだ


「どうして……その……バランとジョンは」

勇気を出して聞いてみた


「依頼だからさ このグルーマもそう

生かすも殺すも依頼しだいってことさ

あの二人は借金を踏み倒そうとしていた

まぁ理由なんて興味はないが」


自分に依頼が来ていなくてよかった

いや安心なんてできないな


依頼が来たらそれはすなわち俺の死を意味しているのだから







リナが先導しながらダンジョンを進む

「やっとだな」

リナがため息を漏らす


これがグルーマ……

2mを超えるカマキリの体から枝のようなものが飛び出している


そして根を張り、カマキリの頭を貫いて伸びた先にあるのは果実だった


「きも……グロすぎ」

眉をひそめるカテリーナを見てリナは笑い声をあげる


リナはこういうのが慣れっこなんだろうか


どうしてかわからない

その醜悪なカマキリは俺の目には美しくしく映った



カマキリはこちらをじっと見つめている

どんよりとした雰囲気


「うぅえ……リナ こっちみてる」

カテリーナはリナの陰に隠れようとする


「ははっ……あれは偽瞳孔というやつだ

あの状態になったカマキリは体を動かすことも、

目で光を感じることもない」


「そか じぁあへーきか」

ほっとしたのかしていないのか

顔は緩んだがリナのそばにずっといる


「こらカテリーナくっつくな」


俺たちの動きをずっと目で追っている


カマキリまであと1m

今にも動き出しそうだ

鎌は俺の剣よりも長く、鋼鉄でできているようだ


「よし さがっていろ」

リナは腰を落として構える

カマキリを一刀両断


「グニァァ」

カテリーナはグルーマを手に取り、リナに見せる


その身は青く、宝石のようだ






無事にグルーマを回収して今は3人で街に帰っている


まだカテリーナとは一言も話していない

金髪の長い髪をなびかせてて戦う姿は美しくもあり、尊かった



リナは突然立ちどまって俺の瞳を覗き込む

「なぁ……イル これから私を手伝ってくれないか?」


「いやだって……俺よわいし」


「大丈夫さ 弱くても強くなれる 私もかつてはそうだった

まぁ今も弱いけどな」


自信なさげに話すのを見て、強くて恐ろしい彼女はずっと自分と近いのかもしれないとそう思った






街につきそして3人で食事をするために移動している

道には屋台が並んでいて楽しそうな声がそこかしこから聞こえてくる


冒険者になってからは金欠で屋台で何かを買うこともなくなった

旅芸人たちは亡くなった

あいつらは赤子の頃から俺を育ててくれた


楽しそうな声は聞きたくない

自分の惨めさを感じさせられるから


カテリーナは道中リンゴや、財布を盗んではリナに叱られている

この二人が仲良さそうなのを見るのは嫌じゃない

どうしてだろう


「おい……イル 欲しいものはないか?」

「ない」

ほんとはある

だけど恥ずかしくて言えなかった


「ほれほれ これを食え」

そう言って焼き鳥を口に無理やり押し込んでくる


「今からご飯でしょ なにしてんの」


「うるせぇカテリーナ 焼き鳥で黙らしてやろうか」

「おもしろい……やってみろよ」


俺とカテリーナは頬張りながらリナについていく


そうしているとリナが汚らしい格好の少年にぶつかった

「おっ 大丈夫か?? 痛かったろ」


少年はすぐに立ち上がり、リナには目もくれず走り出す


なにをそんなに急いでいるんだろうなんて思っているとリナが大声を上げる


「あぁ……金とられた やらかしちまった」

「リナ 追いかけた方がいい??取り返してくるよ」

カテリーナは歯型のついたリンゴをぽいっと地に捨てる



リナぐらい強くてもあんな子にやられるんだなぁ

俺も気をつけないとただでさえ少ない金を取られたりしたら……


「これであの子は飯が食えるようになるんだ

追っちゃだめ カテリーナ」


「はーい」







今、俺は3人でご飯を食べている


こんな感じで誰かとご飯を食べる


いつぶりだろうか 少し懐かしい

旅芸人たちといた頃を思い出す


あの頃は楽しかった

俺が冒険者を目指したのは旅芸人たちの影響だ


手伝ってくれ

リナはそういった あのパーティはもうないし


リナの仕事を手伝って金を貰うことにしよう


「なぁ……リナ 俺は何をすればいいんだ?」


「ん〜そうだな」



_________________________________________


キャラ紹介


リナ

   28歳

   灰色の髪

   髪型はポニーテール

   180cm

   

カテリーナ

   16歳

   金髪ロング

   163cm


イル

   14歳

   白髪で目にかかるほど伸ばしている

   160cmに

_________________________________

私の作品を読んでいただきありがとうございます

すごく嬉しいです


もし少しでも面白いければ評価していただけると

創作意欲が増します


気になったところや未熟さが目立つところがあったら感想をください



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