第34話 殺生石 其の一

 本来であれば、彼らの生活もあるので頼ってはいけないのだが、私はお堂の監視を可毗禮山に隠れ集落を作った人々に託した。一刻も早くここに戻り、九尾の狐の白い魂を封じた御神体の岩を何とかしなければならない。


 源翁は、集落の人々に別れの挨拶を言うと同時に休む間も無く可毗禮山を降りた。

 まずは、朝廷への連絡だ。そのために街道を使って海岸沿いの漁村である友部へと向かった。何とか昼頃に着いたので、友部を歩きながら馬借を探す。山の集落で認めた安倍有重宛の文を、少しでも早く送らなければならない。

 長屋が建ち並んでいる街道沿いの中心街をしらみ潰しに探したものの、どこを見ても馬は一頭もいない。友部はこの辺りでは大きな漁村なのだが、馬借がいるかどうかは微妙だとは思っていた。今の時代、馬はそれだけ高級品なのだ。道ゆく人に訪ねても、馬借など見たことがないと素気無く言われるだけだった。

 友部では探すだけ無駄だと悟り、私は、近年水戸という名が定着しつつある宿場街へ向かう事にした。水戸は、ここ数年急激に発展しており、街の規模がどんどん大きくなっている。馬借も必ずいるはずだ。

 ここで源翁のお腹が派手に鳴った。

 普段から空腹には慣れているものの、無理して倒れてしまってはいけない。私は、馬借探索を一旦諦め、街中の一膳飯屋を探すことにした。考えてみたら、可毗禮山の集落を出てから何も食べていない。お腹が空くはずだ。

 街道を少し歩くと、多くの長屋に混ざって湯気と煙が盛大に出ている小屋があった。間違いなくあそこは一膳飯屋だろうと、私は小屋の暖簾を潜った。


 久しぶりに嗅いだ料理の匂いが鼻をくすぐり、余計に腹が空いたように感じる。


 小屋の中は、椅子や机が雑多に配置してあり、さほど広くはなかったが、詰め込めば三十人ほどは入りそうだった。換気がいまいちなのか料理の煙で烟っていたが、見え辛いと言うほどでもない。魚と米の匂いが立ち込め、顔に刺青の入った海神族の若者が三人、酒を飲みながら豪快な笑い声を上げていた。他の席も町人でほぼほぼ埋まっており、店は繁盛している。小屋の端っこにたった一つ空いた席に座ると、小屋の奥からでっぷりした店の女将が出てきた。

「ありゃ珍しい。坊さんかい?うちは魚しかないけど食べていくかい?」

「はい。お願いします。飲み物はありますか?」

「水は裏の井戸から汲んで。あとは酒しかないよ。ああ、あら汁ならあるよ」

「では、魚とあら汁をお願いします」

「あいよ!!」

 元気にそう言うと、女将はユサユサと身体を揺らし、小屋の奥へと戻って行った。

 店の外に誰かの馬が繋いであればと思ったが、繋ぎ棒すらなかったので、やはり水戸へと行かなければならないようだ。

「おう、坊さん!!こんなところで飯食うたあ、かなりの生臭坊主だな!!」

 海神族の一人が、向かいの席から声をかけてきた。かなり顔が赤い。

「いえ。私は曹洞宗の坊主でありますので、生き物全てを食せない訳ではありません。もちろん、積極的には食べませんが」

「はん!坊主なんて曹洞でもどこでも同じだろ!!ここから出ていけ!!飯が不味くなるんだよ!!」

「はあ。食べたら直ぐに出ていきますので、しばしお待ちを」

 そう言うと、海神族の三人が同時に立ち上がり、私の周りを囲んだ。

 他の席の人は、こんな喧嘩に関わり合いになりたくないので、何も言わずにその様子を遠巻きに見ている。

「お前なあ、誰に物を言っているんだ?」

「この辺りは俺たちの縄張りなんだよ。俺たちに従わない奴は命を落とす。そういう場所なんだよ!!」

 そう言うと、魚を捌くのに使う鉄製の刃物を勢いよく机に刺し、怒りに満ちた目を私に向けた。

 これで私を脅したつもりなのだろう。普段なら面倒なので店を出ていくところだが、山を降りてから脇目も振らずここへと来た為、私もお腹が空いている。これは緊急で仕方がない事だと思うことにして、私は、袋の中から紙の人型を三枚取り出した。

「急急如律令」

 と私が静かに唱えると、紙の人型は三人の海神族の顔に張り付いた。

「むお!!」

 それを取ろうと、三人の海神族たちが暴れた。隣の机を倒し、机に乗っていた料理が盛大にこぼれた。三人の海神族は地面に倒れ、ギャーギャーと騒いだ。仁王のような顔をした女将が奥から現れると、三人の海神族の頭を一人ずつ拳骨で殴った。

「痛え!!ババア何するんだ!!」

「他の客の迷惑だ!!さっさと店を出ろ!!」

「てめえ、誰に物を言ってるんだ!!」

 烈火の如く怒った女将が怒鳴り散らすよりも早く「だったら何をしているのか俺に言ってみろ」と店の入り口付近から声がした。

 三人の海神族は、一瞬にして騒ぐのを止め、恐る恐る入り口を見た。

 入り口には、上半身裸の男が一人立っており、その顔と身体にはこの三人よりも随分と立派な刺青が入っていた。年の頃は三十代で、怪異も真っ青な威圧感があった。

「お、親方…いや、俺たちはこの坊主に礼儀って物を教えていただけでして…」

「ここを追い出すのが礼儀なのか?」男はそう言うと、三人を睨んだ。

「い、いや、その…」

 男の睨みに足がすくみ、最初の勢いのなくなった三人の海神族は、この場に居づらくなり、「いくぞ!!」と声高に言ったが、男の横を通る時は、静かにそそくさと礼をして小屋を出て行った。

「騒ぎ声がするから来てみたら全く…うちのものが失礼した。溢れた料理のお代は私が払います」

 男が女将に謝ると、女将は豪快に笑った。

「いや、いいよ。その代わり、人様にちょっかい出すなと言っておいてよ。あいつらも酒を飲まなきゃいい奴だからさ」

「そう言っていただけると助かります」

「新しいの持ってくるからちょっと待っててな」

 女将は私の隣の客にそう言うと手を振って奥へと戻って行った。他の客たちももそれを見て、また食事に戻った。

 海神族の男はそのまま私の前にやってきて「初めまして。私はイソウラと言います。うちの若いものが失礼いたしました」と深々と頭を下げた。

 私も立ち上がり、「源翁心昭と申します。私も大人気ない事をしました」と頭を下げた後、指をパチっと鳴らした。これであの三人の顔から人型が取れたはずだ。

「源翁?あの下総国の?こんな場所に何をしにいらしたのですか?」

「はい。正確な場所は申せませんが、私は日本を潰そうとする大妖怪をこの近くの地に祓いに参りました。何とか半分は祓えましたが、完全に祓うため一度国に戻る途中なのです」

「なるほど。それほどの事をしている方に…あいつら…」

 イソウラの目に若干の怒りが浮かんだ。

「いえいえ。酒に酔ってのこと。許してやってください。それよりも一つ聞きたい事があります」

「何でしょう?」

「あなたはこのあたりの顔のようです。このあたりに馬借はおりませんか?」

「馬借…ですか…」

 目を瞑って考えるイソウラを見て、やはり水戸へ行くしかないかなと思った時、イソウラは「馬借は水戸まで行かねば居ませんが、騎兵なら何人かいます」と教えてくれた。

 鎌倉幕府の鎌倉公を助けるためでもあるのだ。軍隊が断る事はないだろうと算段し、私はそこへ行くことにした。

「では、食事ののちそこへ向かおうかと思います。場所を教えてください」

「いえ。源翁さまが食事をしている最中に連れてきます故、そこでお待ちください。では、失礼」

 イソウラは風のように出て行ってしまった。

 その後、女将が盛り付けたというやたら豪華な干物の定食を食べ終わると同時にイソウラが店に戻ってきた。武人を一人伴っている。私は立ち上がって二人を出迎えた。

 イソウラが礼をして男を紹介してくれた。

「源翁さま。此奴がこのあたりの騎兵の頭領です」

「初めまして。友部正武と申します」

 友部氏の武人のようだ。立派な刀を腰に下げ、動きやすすそうな半袖の着物を着ている。イソウラは友部氏よりも余程顔が効くようだ。さすがは海神族。

「初めまして。私は源翁心昭と申します。訳あって京へと文を出したいのです。それも早急にです。鎌倉公の命が関わっています故、手伝ってはいただけないでしょうか?」

「か、鎌倉公の…ですか?」

 友部正武の顔が歪んだ。流石に大物すぎて驚いたのだろう。

「まずは、この文を水戸へとお願いします。そこからは馬借に託し、襷渡しで京の陰陽寮へと三日以内に運んでいただきたいのです」

「み、三日??」

 イソウラと友部正武は顔を見合わせた。そして、二人同時にこちらを見た。私の真剣な目を見て冗談ではないと理解してくれたようだ。

「源翁さま。鎌倉公の一大事とあれば、言われた通り三日以内に京の陰陽寮へと着くように手配いたします。では」

 私の文を恭しく受け取ると、友部正武は店を出た。そして、直ぐに馬が駆けていく音が聞こえた。

「イソウラさま。何から何までありがとうございました。私は、更なる準備をしに一度下総国の案穩寺に戻ります。次にここにきた時にはそれ相応のお礼をしたいと思います」

「いえ。当然のことをしただけです。お気になさらず。では」

 そう言うと、イソウラはスッと店を出て行ってしまった。中々できた青年だと思う。次にきた時には是非色々と話をしたいところだ。

「さて、行きますか」

 お金を払うと、女将がまた来ておくれ!!と景気良く追い出してくれた。港町は心も身体も大きな人々が多い。

 私は、可毗禮山をチラッと見ると、九尾の狐の白い魂の岩を祓う準備をすべく、案穩寺へと向かった。


 それから、二日かけて街道を歩くと、ようやく見慣れた町の風景が見えてきた。


 下総国の結城の町に入ると、私は見慣れた小さな川の橋を渡り、水田や畑を過ぎ、長屋が連なった地域へと入った。道行く人々の顔も明るく、子供たちも笑顔で一杯だ。決して楽な暮らしをしている訳ではないが、暗い顔をした人間が少ないのがこの町のいいところだ。心が温まった感じがする。見知った町の風景がこれほど安心できるとは思ってもみなかった。それだけ今回の旅が厳しかったのだと言える。

 久方ぶりに安隠寺に戻ると、私はすぐさま弟子たちに囲まれた。そして、私が「ただいま」と言うが早いか労いの言葉もなく質問攻めにあった。

 十人の弟子たちが一斉に、九尾の狐は本当にいたのか?何があったのか?などなどと矢継ぎ早に聞いてくる。

 まずは落ち着けと言いたいところだが、彼らには通用しない。まるで餌に群がる鯉のようだ。私は、落ちついて話せる場所へと行こうと「分かりました。分かりました。お話は寺の中でします」と言った。立ち話で答えるような話ではないし、何しろ私は座りたかった。

 弟子たちは、渋々隙間を作ってくれた。

「質問には、祭壇の広間で答えます。さあさ、皆で行きましょう」

「はい!!」

 十人の弟子たちは元気に答えた。

 ただし、私を逃すつもりはないらしく、弟子たちの波に飲まれた私は、祭壇の部屋へとあっという間に連れて行かれた。あわよくば風呂に入って落ち着いてから話したかったが、それは甘いと思い知らされた。彼らの知的好奇心は、私の考えている以上に旺盛だったのだ。

 せめて服だけは着替えさせて欲しいと言ってみたが、直ぐに座布団が置かれ、皆がどうぞと言う。

 いや、しかしだな、この僧服の匂いが…と思う。このありとあらゆる匂いを吸い込んだ布は、例えようのない異臭を放っているのだ。嫌でも鼻に入ってくる匂いは、植物の匂い、怪異の匂い、獣の匂い、死の匂いまでがする。弟子たちはそれを気にすることなく、さっさと自分達の定位置に座り始めた。

 これでは仕方ないかと覚悟を決め、私もよっこいしょと床に座った。冷んやりして気持ちいいが、これもすぐに温まってしまうだろう。

「ただいま帰りました」私は努めて冷静に言った。

 すると、ようやく十人の弟子たち全員が床に手を付き、頭を下げ、「大和尚様おかえりなさいませ」と言った。

 それは帰ってきた時に言ってよと思ったが、誰も連れて行かず一人で敵地に向かった後ろめたさもあるので、百歩譲ってそこは良しとしよう。しかし、しかしだ。この全身傷だらけのボロ雑巾なのを見たのなら、もう少し私を心配してほしいと思う。いや、心配すべきだ!!大事なことだから二度言う。心配してくれ!!

 私はそう心の中で叫んだが、冷静に考えてみると、それはどうも自分にも責任があると思えた。

 要するに余りに元気に戻りすぎたのだ。これは非常に反省すべき点だ。次に何かの怪異を退治した際は、歩くのもやっとといった体で戻って来ようと決めた。


 私は皆に向かって話しを始めた。


「私の留守の間、皆が協力して寺を守ってくれたことと思います。本当にありがとうございました。では、簡潔に今回のことを話したいと思います」

 そう言いながら、大人気ない私は眉毛をピクピクと揺らして若干怒りを表現したのだが、残念ながら弟子たちがそれに気づいた様子はない。弟子はこういう時だけ鈍感力を存分に発揮するようだ。

 いた仕方なし。

 本格的な話しに入る為、私は頭から腰まで一本の気を通した。頭から腰までが気で真っ直ぐに固定された。身体の中に気を通したことで血の循環も頭の回転も良くなる。弟子たちもそれに合わせて、気と呼吸を整えた。広間の空気が引き締まり、場に緊張感が生まれた。

 お互いに対話の態勢が整ったので、私は可毗禮山での出来事を話した。

 しばらく話しをしていると、弟子から鋭い質問が飛んできた。一通り話してから質問するのが通例なのだが、私は疑問に思ったことは直ぐに解決するように教えているので、こうした質問はいつもの通りだ。人間とは面白いもので、頭の中で湧いた疑問が複数になると、前の疑問を直ぐに忘れてしまうのだ。

 ただ、弟子たちには、これは他では絶対にやらないようにと言ってある。

 矢継ぎ早に来る弟子の質問に簡潔に答えながら、私は話を進めた。そうやって話していると、あの山では、実に多くの経験をしたなとしみじみ思える。それを次代に伝える事が、将来の九尾の狐の対策にも繋がるはずだ。

 そんな思いもあり、私はできるだけ丁寧に話しをし、弟子の質問に答えた。

 弟子たちも、可毗禮山の様子を思い描きながら、九尾の狐という大妖怪の本質を掴もうと頑張っている。

 足に絡みつく植物の議論は白熱した。皆がそれを想像しながら、それがどのような形をして、タネなどがあれば育てられるのか、植物にも意志があるとすれば、それはどのような意志で人間の意志と同等のものなのかなどと様々な議論が繰り広げられた。そうやって皆で話すことで、次にそれに遭遇したときどうすれば良いのかを徹底的に洗い直し、意志というものの定義にまで議論を広げるのだ。

 後ろに座っている弟子の円良が手を上げた。

「それにしても、意志を持った植物なんて信じられません。若し、反射ではなく意志を持って動けるとすれば、それは植物なのでしょうか?それとも、動物的な意志だと思って良いのでしょうか?それと、九尾の狐は、山の自然をも自由にできたという事ですか?」

 と勢いよく聞いてくる。

「まず、九尾の狐の力は他の怪異と比べ物にならないくらい大きいのです。それこそ自然を操れるくらいに大きい。次に、九尾の狐が操った植物に意志ががあったとしても、それが植物である以上、動物と同じものとは言えません。ですが、人為的にでも意思を作れるとすれば、私たちは植物そのものの認識を改める必要があるかもしれません」

「はい…」

 九尾の狐の力は、弟子たちが思っていたよりも遥か上をいっていたようで、彼らはまずはそこを整理し始めたようだ。

 日本人の良いところは、こうして話し合いを持ってより良い解決法を見つけ出し、時にはその専門職まで作ってしまうところだ。ただ、注意しないといけないのは、話し合いを重要視しすぎることだ。例えば、洪水が続き、作物の出来が悪くなったら、皆で話し合い、川の神様に人間を捧げ物にして怒りを治めようと決めてしまうと、本当にそうしてしまうのだ。例え皆で決めたことでも、それが人間として後ろめたいことであれば、それを撤回できる柔軟性がなければならないのは自明のことだ。

 だから、私は弟子たちに、話し合いでまとまった事は優先すべきだが、それが全てではないと毎回言っている。

 今回も、九尾の狐が怪異だからといって、人間味が全くないという結論を出すのは考えようだと思っている。普通の怪異と九尾の狐は全く違うのだ。それこそ意志を持ち、人間たちの弱い所に楔を入れてくる。決めてかかることの危うさを感じながら議論しなくてはならない。

 

 そうやって、議論は長時間続いた。


 曹洞宗が禅宗だということもあるが、かなり深層に迫る議論ができているように思う。

 十人の弟子たちは、こうして話し合った課題を、各々の瞑想で問答することで更に細かい分析を進める。もちろん私も瞑想で本質に迫ろうとするので、私たちの分析はいつもかなり細かい。

 案穩寺はある意味で情報機関のような場所だ。

 人間について、菩薩について、世の中について考えるのが基本ではあるが、怪異や街の行政についても話すことだってある。これからは考える人材が求められる時代だ。武士たちは自分の領地を発展させるために知識を持っている人材を欲している。我々も知識を増やし、曹洞の教えを広めると共に、そこに入っていかねばならない。


 すっかり陽が暮れ、外は暗くなってきた。時間は有限で必ず過ぎる。

 私は、今日はここまでとした。


 弟子たちは、決まった時間内に食事を作るために全員で厨房へと走って行った。あれだけ議論したのに元気で結構だと私は思った。

「いててて」

 誰もいないのを確認して、源翁は足を崩し、ゴロリと転がって思い切り伸びをした。全身の怪我も癒えていないし、相当な強行軍で戻ってきたので身体中が筋肉痛で痛い。歳は取りたくないものだと本気で思う。

 何とか身体を起こして一旦自室へと戻ると、源翁は、袋からあの黒い狐の石像を取り出した。

 倭文神のお札については、どこかでやり方を変えなければならないだろう。像からはやはり九尾の狐のものとは思えない、暖かい波動が感じられる。この像が、将来、九尾の狐復が復活した時に、重要な鍵になってくる予感はする。ただ、これをどう鍵にするのかは、もっと突き詰めなくてはならない。


 皆と食事をし、風呂に入り、夜の祈りを終えると、私は早々に休ませてもらった。


 休むと言っても、溜まっていた檀家の要望の対応の処理、お墓の管理、経費の計算等々やる事は多い。それらをやっていると、結局日を跨いでしまった。明日も早いので、そろそろ寝なければならない。ここから数日間は寝不足との戦いだと、私は自分を奮い立たせ、布団の上で目を閉じた。


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