第47話 今日は私がお世話するよ
「ちょ、お前ら何考えてんだよ? クズのくせにどうしようもない奴のくせに……なんでこの私にこんなことしてんだよ! おい、ふざけんなよ、マジで! マジでふざけてんじゃねえぞ!!! 寝ぼけてんのかお前達!!!」
「……寝ぼけてんのはどっちだよ。現実見なよ鈴木さん」
「ハァ? 現実見てますけど? ちゃんと見えてますけど! 本当に使えないな、本当にクズだなお前達! 目腐ってるぞ、お前達!!! こういう時に私の事助けるのがお前たちの仕事だろ、役目だろ、私にたまには奉仕しろよ!!!」
「……鈴木さんの方が腐ってるよ、何も見えてないよあなたの目。よく見なよ……誰もそんなことしないよ。そんな事言われて……鈴木さんについてく人なんていないと思う。こんな事言われて、あんなことして……私達はもう、あなたの事嫌いになった。もう私たちと関わらないで、鈴木さん」
「は、ちょ、待てよ! 待てよ、お前ら、おい……クッソ、なんでだよ! なんでなんだよ、あんなことで……なんでゴミと遊んだくらいで私がこんな目に……私がこんな目に……!」
「鈴木さんだね? ちょっといいかい?」
意味の分からないことに苦しんでいるとポンポンと肩を叩かれる。
「……そうだよな、お前たちクズは私の……え、校長?」
「ああ、校長だ。直接出向いてあげた……突然だが君は少しの間休学してもらうよ」
「……え~、なんでですか~? 私何もしてないのに~?」
「……猫被らなくて大丈夫だ。あんな写真が出た中で君を学校に置いておくわけには行かない。それに彩葉から慶太君にした悪行も聞いてるし……しばらく頭を冷やしなさい」
「……なんでだよ! なんで私があんなゴミカス一人やったくらいで、私が有象無象のクズのために……」
「……そう言う所だよ、鈴木さん」
☆
「……んっ」
「あれ? 兄さん? 兄さん……えへへ、寝っちゃいましたか? もう、ダメですよ、兄さん」
「……これってもしかしてチャンスですか? 兄さんに色々する……ダメです、ダメです! こう言うのは兄さんがおきてる時じゃないと、でも兄さんと……」
「……今日は兄さんの事、守るって決めましたから。だから、その……海未のお膝、使っていいですよ、兄さん」
☆
【ホント、ゴミカスよね、あんた。何の役にも立たないじゃない、死んだ方が良いんじゃない?】
「……兄さん、兄さん!」
【なんで金持ってないの? あんたの価値はお金しかないんだよ? お金持ってないあんたはゴキブリ以下よ、環境にいてはいけない生物。ほら、早くお金持ってきなさい、私があんたの価値を作ってるんだから!」
「兄さん! 兄さん!」
「……ん、あ……あ、海未。あれ、僕ねてた?」
学校を休むことになってそのままお家で海未と一緒にお昼ご飯を食べて……あれ、そっから記憶ないや、お昼寝してたのかな?
「はい、ぐっすりと、海未のお膝で……でもうなされてました! 兄さん、何かにうなされてたみたいでした! 何かありましたか、兄さん?」
焦ったように顔を真っ赤にしながら、心配そうな泣きそうな顔で僕の方を見つめてくる海未。
あれ、僕うなされてたんだ、でも夢の内容なんて……夢の内容なんて……
「ごめん、全然覚えてないや。夢の内容、全く覚えててない」
僕全然夢の記憶とかないタイプなんだよね。
なんか割と深刻な夢見てたような気もするけど……全然思い出せない!
「もう、兄さんは……でも良かったです、兄さんが目覚めてくれて……海未、心配でしたから。兄さんがどこかへ行かないか心配でしたから」
そう言ってギュッギュッと僕の方に身体を寄せてきて、コテンと頭を肩に置く。
「ありがと、そんな心配してくれて……でも大丈夫。僕はどこにも行かない……たとえ千尋が何をしようとも、大丈夫だから。僕は大丈夫だし、それに海未にも絶対に危害を加えさせないよ。海未の事も絶対に僕が守るから」
「……それは私のセリフです! 私が兄さんの事守るんです、私が兄さんをお守りするんです!」
「ふふっ、ありがと……それじゃあ一緒に守ろうか。お互いが、お互いを」
「はい、そうします……だからもうちょっとだけ、くっつかせてください」
キューっと俺の方に身体をもう一度寄せて、ぴとっと優しく身体を引っ付けて。
そんな海未の身体を僕もちゃんと抱き寄せて……
ぴーんぽーん!!!
……なんか変なタイミングで大音量のチャイムが鳴り響く。
「……海未、宅配頼んだ?」
「いえ、頼んでません……兄さんは?」
「僕も頼んでない。ちょっと見てくるね」
「待ってください! 危険かもです、海未も一緒に行きます」
そう言って僕の腕をギュッと掴んだ海未と一緒に玄関の前へ。
「ふーふー……よし、開けるよ」
「はい……お願いします」
一つ息をついてからゆっくりと警戒しながらドアを開ける。
「おー、慶太! 遊びに来たぞー!」
「……智樹?」
「兄さん、俺もいます」
「……康太も? ていうか健太も、祐樹も川崎ちゃんも?」
緊張感漂ったドアの先にいたのは川崎ちゃんの家族。
困惑する僕たちの前に、川崎ちゃんがニヤリと笑って口を開く。
「高梨兄妹よ、今日は私が二人のお世話するよ!」
★★★
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