第36話 パンパンパンパンメロンパン!
「という事でごめんね、山田さん。彩葉見つからなかった」
「あ、そうなんだ。探してくれてありがとね」
図書館についてカウンター、良哉と楽しそうに話す山田さんにそう嘘をつく。
「良哉ごめんな、彩葉のバカがどっか行ったせいで」
「いいよいいよ、彩葉の事だしあんま気にしてない! それに加奈子と色々話したいこともあったし、ね?」
「もう、良哉君……うふふっ」
そう言って楽しそうに顔を傾ける山田さん……ほーん、なるほどそう言う事ね。
彩葉が言ってた意味わかった、これは確かに邪魔しちゃ悪いわ。
「それじゃあ、二人とも図書委員頑張ってね! 彩葉見つけたらきつく言っとくから! また月曜日に!」
「うん、ありがとね!」
「おう、またな慶太!」
そう言って僕が去ると、またまたいちゃつき始める二人……いつからだ? いつからそんな関係になってたんだ?
応援はするけど、僕にも報告欲しかった!
「いやー、やっぱり慶太×彩葉のカップリングは良いですな!」
「……あんまり俺の友達をカップリングで遊ばないでくれ」
「ふふふ、ごめん。でもやっぱり私BL好きだから!」
「……ほどほどにしてよ、本当に」
☆
図書館を出て、廊下を歩いて下駄箱へ。
さあ、この後は(今日は食べないけど)メロンパン、梓と一緒に行列のできるメロンパンだ!
「……あ、兄さん。兄さんも今お帰りですか?」
メロンパンに心を躍らせながら、学校の前の坂道を降りていると友達と楽しそうに電車ごっこのような陣形を組んだ海未に声をかけられる。
ふふっ、友達と仲良さそうで何よりです!
「うん、そうだよ。ていっても今からメロンパン行くけどね……それとこんにちは、海未の兄の慶太です。海未といつも仲良くしてくれてありがとね」
『こんにちは、お兄さん! こちらこそです!』
妹の友達に挨拶すると3人とも声を合わせて反応してくれて……めっちゃ仲いいな、海未の友達。
確か前から志保ちゃん、麻衣子ちゃん、透ちゃんだっけか? ホントいい友達だね、海未。
「はい、いい友達です。そうだ兄さん、私たちこの後みんなでファミレス行きますから、今日のご飯はいらないです。兄さんもどっかでご飯食べてきていいですよ」
「OK,わかった。楽しんできなよ、こっちも海未の分のメロンパン、ちゃんと確保してくるから!」
「はい、楽しんできます……それでは兄さん、またお家で」
「うん、また家で! それじゃあね、友達のみんなも海未の事よろしくね!」
そう手を振って、メロンパンに向かって急いで坂道を降りる。
海未が友達とご飯食べるなんてめったになかったからちょっと嬉しいな、兄として!
それより早く行かないと行列がえらいことになる!!!
「なんていうか海未ちゃんのお兄ちゃん……やっぱりいいね!」
「確かに。全然会ってない私たちの名前もちゃんと覚えててくれたし」
「何ですか、ダメですよ。兄さんは海未の兄さんです、絶対に譲りませんよ、海未のですからね」
「わかってる分かってる! それより早くファミレス行こ、今日はいっぱい食べるんだ!」
「……本当にわかってますか?」
☆
「もう慶太遅い! 早く行かないとメロンパンなくなっちゃうよ!」
「ごめんごめん、ちょっと色々あって!」
学校を出て急いで梓との集合場所に向かうと少しほっぺを膨らませた制服姿の梓が立っていた。
なんか普通に制服着てる梓久しぶりに見たかも。
「まあ確かにあんまり学校帰りに会わないけど……でも今はその話はなし! 取りあえず急いで買いに行くよ、多分行列できてるはずだし!」
「うん、そうだね! 早く行きましょう、急いでレッツゴー!」
「ドンキ!」
そう大きな掛け声を出しながら、二人そろってメロンパン屋に向かった。
「うーん、何とか買えたね! しかも私は5つも買えた!」
「梓買いすぎ。5個って最大数じゃん、めっちゃ食べる気じゃん」
「えへへ、だって美味しそうなんだもん!」
メロンパンの入った紙袋を抱えた梓が、ベンチで僕の隣に腰掛けながらホクホクした顔で笑いかける。
行列のできるメロンパン屋さんに走っていった僕たちは何とかそれを買うことが出来た。というより平日だからそんなに人がいなくて助かった。
僕は海未と食べるように2つ買ったんだけど、梓は帰るギリギリの数の5個を買っていて……もうそれだけかってどうするつもり?
「ん~、それは今食べる! だって焼きたて食べたいし!」
そう言ってごそごそと袋を広げて、メロンパンを取り出す。
ふわっと柔らかいいい匂いがただよってきて……美味しそう!
「絶対美味しいよね、これ! あれ、慶太は食べないの?」
「うん、これは明日の朝ごはんにするみたいだから。海未と一緒に朝ごはんとして食べるんだ」
「へー、流石シスコン大魔神! じゃあ私だけいただきまーす! 欲しいって言ってもあげないからね!」
「わかってるよ、梓が買ったんだから梓がお食べ。感想だけ聞かせてくれたらいいからさ」
「はーい! それじゃあいただきまーす!!!」
嬉しそうに大きく口を開けるとそのままメロンパンをパクり。
サクッという気持ちのいい音とともに、より強い甘い香りが周りに広がって……ああ、やばい、これは美味しそう! 明日が楽しみなやつ!
「ん~、美味しい! やっぱり出来立ては格別、何個でも食べられちゃう!」
「ふふっ、美味しそうだね。でも何個も食べちゃダメだよ、この後ご飯食べに行くんだから」
「うん、わかってるよ、夕飯ある……ってあれ? 食べに行くって?」
幸せそうに顔をホクホクさせていた梓がキョトンと僕の方を見る。
「うん、今日海未いないからさ。だから梓と何か食べに行こうかと思ったんだけど……だめ?」
海未も外でご飯食べるんだし。
だから僕も梓と一緒に食べようかと思ったんだけど……ダメですかね?
「ううん、賛成賛成大賛成! 私も慶太と夜ご飯食べたいと思ってたし! そう言う事なら今日はメロンパン1個だね、これだけにしときます!」
「うん、そうして。後何食べたいか、とかも考えてくれたら嬉しいな」
「う~ん、そうだね……何でもいいかな? 慶太と食べれば何でもおいしいし!」
「ふふっ、何それ……それじゃあ適当に散歩しながら決めよっか! 新しい美味しいお店、発見できるかもだし!」
「それもそうだね! それじゃあ、今日は慶太とご飯だ……メロンパンも美味しいけど、そっちも楽しみ!」
サクッとメロンパンを齧った梓がそう笑った。
今日は何食べようかな……個人的にはかつ丼とか食べたいけどそう言うお店あるかな?
★★★
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