第33話 質問タイム!

「あわ、あわわ……あ、穴党のみにゃさん、ありありありがとうございます!」

 流れるコメント、視聴者の声。


「ランプちゃん推せる!」「まさかのライバル登場! お姉ちゃん! ランプちゃんも好きになった!」「牛の腰! マッサージ腰! お姉ちゃんだ、天然だ!」

 ……ああ、なんかすごく楽しい、気持ちいい! 穴党のコメント気持ちよすぎだろ、なんかすごくすごいです!


「あやはや、皆さんランプの事もよろしくね!」

 その言葉にさらに湧く視聴者の皆さん、加速するコメント欄……やばい、これ凄い!

 ちょっと脳がふわふわする、これ合法でいいんですか? 


 そんな私の様子を見ていた海……ミナレットちゃんがニコニコ笑顔でマイクに顔を近づける。


「そう言う事で今日紹介したい人はミナレットのお姉ちゃんにしてお兄ちゃんを巡る恋のライバル、ランプちゃんでした! ランプお姉ちゃん可愛いよね、私も大好きなんだ……ふふっ、まだ立ち絵はないけど、みんなランプお姉ちゃんの事受け入れてくれるかな?」

 ぺチンとウインクをしながら言ったミナレットちゃんの言葉にコメント欄では「受け入れる! もっと見たい!」「色々みたい! 牛の腰!」……ふふ~ん、やっぱりすごくいいよ、これ!


「みんな、お姉ちゃんのこと受け入れてくれてありがとう! これからちょこちょこお姉ちゃんと配信すると思うからよろしくね! あと歌ってみたとか、お料理動画とか! そう言うのもお姉ちゃんと出来たらいいな、って思ってるよ! ね、お姉ちゃん……お姉ちゃん? ランプお姉ちゃん?」


「……え、あ、ごめん! ごめんごめんゴメンナサイ! 私もそのう、ミナレットちゃんといっぱい配信出来たらいいな! って思ってます! その立ち絵も楽しみにしててね、絶対可愛いの来ると思うし楽しみにしててね……って牛さんじゃないよ! 別に立ち絵も設定も牛さんじゃないからね……設定なんてないからね!」

 危ない危ない、口を滑らすところだった……あれ、設定って言っていいのかな、わかんないや。

 でも立ち絵が牛なのはヤダ……牛の着ぐるみとかは結構かわいいかもだけど!


「ランプお姉ちゃんの立ち絵はしばらく待っててね、もうちょっとで来るから……という事でここからは質問タイム! ランプお姉ちゃんに聞きたいことをジャンジャンコメント欄に書いていってね、それを答えていくから……お姉ちゃん準備のほどはいいかな?」

 ニヤニヤと笑いながらそう言って私の方を見てくる。

 なるほど、質問タイムか……よし、受けて立ちましょう、赤裸々には語れないけど語るだけ語るよ!


「準備OK! なんでも来いやだよ!」


「ふふっ、という事でまず最初の質問は……あ、これにしよう。『ランプちゃんはいくつなんですか?』……お姉ちゃん、何歳だっけ?」


「えっとね、ランプはね……あれ?」

 これってどうすりゃいいの?

 実年齢言うのは……まずいよね、どうしよう?


 そう思って海未ちゃんの方を見ると蟹さんのポーズをして私の方を見ていて……蟹? あ、2歳って事か、2歳上か!


「蟹……じゃなくてヒミツ! だけどミナちゃんの二つ上だよ、ちなみに弟は1つ下! 3連年子だね!」

 ホントは慶太は同級生だし兄妹でもないけどこういう設定という事で!

 これは重要覚えておこう!


「結構珍しいよね、3連年子! あんま聞いたことないよね……という事で次の質問! 『ランプちゃんは何で配信登場したの?』……お姉ちゃん、理由教えて!」


「配信始めた理由か……それはミナちゃんに誘われたからだね! ミナちゃんが一緒にしない? って言ってくれたから今配信してるんだ!」

 ていうか今日言われたんだけど。

 今日言われてきょう初配信……なんかすごい行動力だね、私! こう見るとすごい!


「お姉ちゃんは私が誘ってやってるから穴党のみんなはミナに感謝してよね……え、感謝しない? それならお姉ちゃんにはもう退場してもらおうかな?」


「ちょ、う、ミナレットちゃん? 私まだきもちよ……配信続けたいんだけど!」


「冗談だよ、お姉ちゃんも本気にしないで! そんな天然じゃないでしょ、いつもは!」


「だ、だって……緊張するんだもん!」

 こんな大勢の前だもん、気持ちよくもなるけど、でも同時に凄い緊張するもん!

 だからその……そう言う事!


「そっか、でもなれないとダメだよお姉ちゃん……という事で次の質問! ええっと……あ、これにしよう! 『弟君(お兄ちゃん)の好きなとこはどこ? 二人にに聞きたい、だって! ふふっ、お姉ちゃん頼むよ!」

 イタズラに微笑みながらそう質問を投げかけてくる……え、慶太の好きなところ? それを全国の穴党のみんなに……いや、それはちょっと……


「は、恥ずかしいよ、けい……弟君の好きなところなんて!」


「そう? ミナは言えるけどなぁ……まずね、私の言う事いっぱい聞いてくれるところ! いっぱい甘やかしてくれるところ! あと優しいし、カッコいいし、それに趣味もめっちゃ合うし! お兄ちゃんの事大好き!」

 屈託のない笑顔でそう言う海、ミナレットちゃん……すごいな、正直でこんなに自分の気持ち言えるの凄いや。


 バーチャルな仮面を被っているとは言え、こんなに自分の気持ち……でもそっか、バーチャルだもんね! バーチャルで名前出さないし……もういいか、言っちゃえ!

 こういう所で言えないのが私の悪いところだし、全部言っちゃうんだ!


「わ、私だって言えるもん! けい、弟君の好きなところ言えるもん! まずね、気が利くし、優しいし、私の事1番に考えてくれて、すごくあず、ランプの事見てくれるんだよ! 昨日もデート行ったんだけどその時も服装とか褒めてくれたし、プレゼントくれたし、泣いてたらハンカチ貸してくれるし、けい、弟君は私のしたいことしてくれて、それでそれで……ってあれ? なんかコメント欄がすごいことに……」


 熱心に慶太の事を話して、ふと画面に目を落とすと少しざわつくコメント欄が目に入る。


「まさかの展開! ミナちゃん知らないって言ってたし……修羅場!?」「昨日お兄ちゃんがいなかった理由ってデートかよ!」「これ修羅場か? 修羅場来るか?」「これはミナちゃん黙ってないか!?」……え、何々何が起こってる?


 確かめるように海未ちゃんの方を見るとあちゃー、っと焦ったようなでも少し嬉し楽しそうな顔をしながら舌なめずりをして……あれ、何? 何が始まるの!?



 ★★★

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