14歳

 1



「……」


 中学二年になってから、詩音は変わってしまった。


 部活をやめてから、暇になった時間を今までは勉強に充てていたのだが、二年生になってから毎日毎日友達と遊び歩くようになった。遅くまで帰ってこない日が多く、父も母も心配していた。


 僕のところにも来なくなったし、親ともしょっちゅう喧嘩をしている。


 まさか詩音がグレてしまうなんて……いや、反抗期だろうか。


 いずれにしても、詩音に無視されるのは悲しい。


 前みたいに語り掛けてくれないものか。



 *



「……」


 今日も詩音は来てくれない。



 *



「……」


 さっと横目でこちらを見たが、そのまま学校に行ってしまった。



 2



 詩音がグレ始めて半年近くが経った十月の終わり。

 今日も詩音は母と喧嘩していた。


「あー、うざっ」


 母から逃げるように、珍しく僕のところに来た詩音は、あぐらをかいて部屋の真ん中に座る。


「なんなのよ、もう」


 バレーのために短くした髪はまたロングに戻り、まだ幼さが残る顔には妖しい化粧を施している。服装は露出が激しく、スカート丈の短さとそこから覗くむちむちの太ももいったらたまらんぜ。


「はぁ……なんだよ」


 母が詩音を呼びつけた。



 3



 あれから詩音は更生(?)したのか、夜遊びはしなくなった。


 勉強に精を出すようになり、真面目な詩音に戻ったようだ。


 まあ、僕としては詩音が幸せなら、どういう生き方をするかは詩音の自由だと――


「お兄ちゃん……」


 詩音がやってきた。


「ごめんね」


 ここ最近、詩音はいつも最初にそれを言う。


 でも、そんなことは言う必要なんてないんだ。


 それに僕が言って欲しいのは――



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