15歳

 1



「お兄ちゃん、行ってくるね」


 いってらっしゃい、詩音。


 詩音は中学三年生になった。たっぷり詰まったバスト、むちむちの太もも、そして170センチはあろうかという長身。特に身長の伸びは凄まじく、ここ一年で十センチ以上は伸びている。


 僕は中学で172センチまで伸びたが、そこが打ち止めだった。


 もうちょっと睡眠をとっておけばよかった。


 詩音に抜かされては兄のプライドがズタボロだ。



 2



「暑くなってきたねー」


 梅雨も終わり、夏がやってきた。


 詩音はノースリーブのシャツにホットパンツという肌色面積が多い素晴らしい格好だ。


「これ、懐かしいなぁ」


 詩音は昔のアルバムを持ってきたようだ。思い出を切り取った写真たちを眺めながら、詩音は穏やかな笑みを浮かべる。


「あはは、これお兄ちゃん?」


 詩音はある写真を見て笑った。


 マジックペンで顔中を落書きされた僕と、その犯人である詩音のツーショットだ。


 この時はたしか、詩音は二歳だったかな?


「全然憶えてないけど、なんか懐かしい」


 ……詩音はまだ物心つくかつかないか、という年齢だったからなぁ。


 その後も詩音はパラパラとアルバムをめくり、思い出に浸る。


 ふと、その目に涙が浮かんでいることに気づいた。


「本当に、懐かしいね……」


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