第17話 やっぱり女の子たちの話がいい②
「そんなことないよ!」
テーブルをドドンがドンと叩いて立ち上がった
「だって起動時にサウンドボタンを連打するってことは、周りの人たちに迷惑を掛けたくないってことでしょ? そんな優しい人がダメだなんて私は思わない!」
「レッド様……」
何やらツッコミどころかおかしい明芽だったが、心なしかお姫様は表情をお和らげになっていた。
因みに初期型は起動音の設定ができず、起動するたびに大音量が流れてしまう為、サウンドボタンを連打して無音にするのが通例である。補足解説終了――
「お姫様……いえ……ハルちゃん!」
「ハ、ハルちゃん……⁉」
「失礼を承知で言うね? 私と……お友達になってください!」
明芽は頭を下げ、ハルフリーダへと手を差し出す。
「とも……だち……?」
「うん。私、この世界に来て日が浅いから、まだエミィちゃんしか友達が居ないの。だからもっと、お友達欲しいなぁって。エミィちゃんも友達欲しいよね?」
急に話を振られたエミリアも、「ま、まあね……」と戸惑いつつ返す。
「それにハルちゃんは騙されてなんかない。友達が欲しいと願って行動したから、私たちも出会うことができたんだよ? きっとこれは神様がくれたハルちゃんへの御褒美……。だから、自分のこと悪く言っちゃダメだよ」
明芽の真っ直ぐに輝く太陽の笑みに、ハルフリーダは驚き、戸惑い、でも何よりその面持ちは喜色に満ちていた。
「……ありがとうございます。そのような言葉をかけていただいたのは初めてです。こんな
ハルフリーダも明芽同様に立ち上がり、恥ずかしさと嬉しさを兼ね備えた赤き頬で、その差し出された手を優しく取った。
「うん。こちらこそよろしく! 私のことは明芽って呼んで! こっちはエミィちゃん!」
「明芽様にエミィ様ですね。
まだ、その呼び方には若干の堅苦しさがあった。
ハルフリーダにとってゲーム以外の友達は初めて。この固さも致し方ないところだろう。きっと時間が解決してくれる。
「ふ、ふん! ま、仕方ないから友達になってあげるわ! べ、別に嬉しくなんてないんだから勘違いしないでよねっ! でも、どうしてもって言うなら、今週中にお泊り会をセッティングしてあげるわ!」
エミリアも立ち上がり、自然と零れる笑みを悟られぬよう必死に堪えていた。よかったな。友達たくさんできて。
「はい! お友達とお泊りは初めてなので嬉しいです! 不束者ですが、よろしくお願いします!」
ハルフリーダの純真さは明芽に引けを取らず、その真っ直ぐさにエミリアは、
「ふ、ふぅーんっ! べ、別に嬉しくなんかっ……ふぅーんっ!」
ニッコニコで頬を染め、鼻息をメッチャ荒くしていた。
そんな尊い光景に周りの男たちは当然ご臨終。
満面の笑みを浮かべたまま、真っ白の灰となって土へ還っていった。
こうして三人の友情により、トリプルガールズ・ビー・アンビシャスが誕生。
その尊さ強度は驚異の3000万パワーズであった。
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