第18話 女の子たちの話がいいと言ったな? あれは嘘だ。

 友情を確かめ合った三人は再び座り、ガールズトークに花を咲かせる。


 やれ蒸血前の待機音が好きだの、やれミレニアムなブルパップ式アサルトライフルの打ち切りリロードがカッコイイだの、やれ初めて槍槓をアガっただの……とにかく盛り上がりを見せていた。


 その中での会話を一部抜粋。

 ハルフリーダから明芽あやめに、一つの疑問が投げかけられていた。


「そういえば明芽様は最近来られた勇者……いわゆる転生者なのですよね?」

「え? う~ん……まあ、最近来たけことは確かだけど、転生してきたかって言われると、ちょっと微妙かも……?」


 エミリアもそれは知らなかったようで、「え、違うの?」と驚きを露わにしていた。


「いや何か、うちのポストにこの剣が入っててね。『別の世界に興味ありませんか?』って言うから、それで来ちゃったって感じかな?」


 明芽は説明の為と、腰本に差していた聖剣に触れる。


「何、そのガバガバな導入……? ってことは死んだってわけじゃないのね?」

「全然そんなことないよ~。あ、でも一応仮死状態になって来てるらしいから、転生って言えば転生なのかな? よく分かんないや!」


 まるで陽気な外国人のように、明芽は肩を竦めてみせる。


「いや、ちょっと軽すぎじゃない? 周りの人たち止めなかったの?」

「あはははは~、心配ご無用! ちゃんと、お父さんとお母さんや学校の友達にも行ってくるって伝えてあるから。『こんな経験中々ないから楽しんでこい!』って、みんな快く送り出してくれたよ?」


 エミリアは「おおらかな人たちね……」と、若干顔を引きつらせる。

 その話を聞いていたハルフリーダは、より深まった疑問をさらに投げかける。


「特殊な例で転生なされたからでしょうか……。明芽様はとても、この世界の言語が達者でいらっしゃいますね? わたくしは先程から、それが気になって気になって……」

「え? この世界の言語って日本語じゃないの?」


 明芽のあっけらかんとした反応に、ハルフリーダも「え……?」とキョトン顔を見せる。

 二人は時間停止モノの一割みたいに固まってしまった為、エミリアが仕方なしにと訂正役に回る。


「この世界の名はニジュア。つまり、言語はニジュア語よ」

「……二重あご?」

「違う。ニジュア語。決して伸ばしてはダメ。明芽、知らなかったの?」

「うん。私は普段通り、日本語で喋ってたから」

「おかしいわね? 転生者が最初に躓くポイントは言語ってのが通例なのに……。これも代行者の剣のおかげなのかしら?」


 それ以降、大した意見が出るわけでもなく、三人は小骨のように引っ掛かる謎に頭を悩ませる。


「う~ん……なんでなんだろう……?」


 さて、そんな明芽の言葉を最後にチャプターチェンジ。

 サブタイトルでも分かる通り、どうやら向こうに戻らないといけないらしい。


 というわけで、謎の真相は何の需要もない、おじさんチームに委ねられるのであった。

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