ケース5 かなめの事件ファイル
【事件のキーワード】
中村靖:卜部先生の旧友。実の父である中村藤三郎に妻子を殺害され、自身も非業の死をとげる。藤三郎への復讐の念と、妻子を守れなかった自責の念から怨霊となる。
中村藤三郎:麻薬密売組織の元トップ。数々の残虐な悪行を行ってきた怪物。人間的な良心が欠如しており、最後まで謝罪の気持ちや悔恨の念を持つことはなかった。今回の事件の発端であり、諸悪の根源。
李偉:ボディーガード兼殺し屋。先生曰く最後まで疑心暗鬼に憑かれなかったとのこと。本人曰く、人は裏切る存在だということを信じているらしい。
疑心暗鬼:人の心にある猜疑心を餌に増長する鬼。幻覚や幻聴を用いて取り憑いた相手を自殺や殺人に追い込む。
九龍香炉:霊媒師が藤三郎の依頼によって用意した除霊アイテム。中村を屋敷から遠ざけていたが、疑心暗鬼には効果がなかった。それによって藤三郎は効果の無い偽物だと思い込み(疑心暗鬼に唆され)香炉を壊したことで中村が屋敷に入ることを許す結果に……
【事件の概要】
・中村さんが先生の事務所を尋ねて来るが、その時すでに彼は死んでおり、気が付くとメッセージを残して部屋から消えていた。
・指定された住所には寺社があり、そこの住職から中村一家が全員死んでいることを知らされる。
・捜査一課の泉谷さんと取引し、ことの顛末と藤三郎の所在を知る。
・藤三郎の屋敷は彼の強烈な猜疑心におびき寄せられた疑心暗鬼で満ちており、不穏な状況だった。
・助手は先生と指切りをする。(重要)
・ボディーガードの二人は取り憑かれて互いに憎しみと猜疑心でいっぱいになるが、李偉さんの踏ん張りにより、最悪の事態を回避する。
・藤三郎が九龍香炉を割ったことで怨念となった中村さんが屋敷に侵入。
・藤三郎がまたしても疑心暗鬼に唆され助手を結界の外に突き飛ばす。
・突き飛ばされた助手は過去のトラウマに苛まれ、人形(おそらく先生……)を刺すように唆されるが指切りの呪によって危機を回避。
・中村さんは先生の言葉で怒り狂い阿修羅のようになるが、助手と先生の説得により、自分自身を赦し家族のもとへ。
・藤三郎の結末は悲惨なものだった。
【備考】
今回の事件で忘れていた過去を鮮明に思い出した。それと同時に復讐や恨みに囚われることの恐ろしさを嫌というほど実感した。
しかしどうしても犯人の顔が思い出せない。まるでモザイクがかかったように、窓から出ていく犯人の顔が見えなかった……
なぜ忘れていたのか……犯人はなぜわたしは殺さずに両親だけを殺したのか……謎は残る。
先生は忘れていたのは防衛機制だと言ったがどこか釈然としない……要検証。
わたしは絶対に犯人を捕まえる。犯人への復讐ではなく、悲しい想いをする人を一人でも減らすために。
パソコンに向かうかなめの背後には真っ黒な眼孔から血を流して口を大きく開いたかなめの両親が二人で同じ一点を指差して立っていた。
しかしかなめはそれには気づかない。
バッターストライーク!!
野球の中継が聞こえた気がしてかなめは咄嗟に後ろを振り返った。
しかしそこにはいつもと変わらない部屋の景色が広がっていた。
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