第13話無料鑑定
野菜が収穫されて大量に街で販売されるようになった。
それも収穫されてみずみずしい新鮮な野菜だ。
穀物も3日後に収穫予定だと聞いている。
そんな街では、俺の領主としての信用が急上昇だ。
前任が悪かったせいかもしれない。
比較すれば分かり切ったことだ。
そんな領民に、更に好感度をアップする為に、すみずみまでに広く知らせたのが無料鑑定だ。
告知して2日目の当日は、大勢の人々が詰め掛けていた。
まんまと俺の策にはまってくれた。
兵士は、そんな人々を順番通りに並ばせて、名を書きとめている。
「あなたの名前は、それと住所も・・・」
やはり無料だから、予定していた数より多い。
そのな数を整理する兵士も大変だ。
「今日中に鑑定出来る人数で打ち切りにしないと徹夜になるぞ。明日も無料鑑定をすると知らせて後は帰ってもらえ」
「それが良いと思います。カイ、人数を確認して手書きでいいから整理券を用意しろ」
「サラス隊長、了解しました」
ロレン・ヘード
HP10
MP5
STR3 VIT3
DEF2 INT4
DEX6 AGI3
「あなたには、器用さがあるので、物作りがいいですね」
「物作りですか? ここにはあまり物作りの職業が無いのです・・・」
「それなら、わたしが作る薬学校の講座を受けるといい?3日の講座で最終日にテストで合格すれば、薬学所で雇い入れる手はずになっている。勿論、講座は無料」
「無料で合格すれば、雇ってくれるのですか?」
「合格すれば雇います。これが申請書で、書いて受付に出すと講座表がもらえるので、分からなければ受付に聞くといいから」
「ありがとうございます」
「カイ、あと何人居るんだ」
「まだ、612人です。しかしあれに見える人だかりがこっちに来るので、もっと増えるかもしれませんね」
「分かった・・・次を呼んでくれ・・・」
1000人近く鑑定したのに、鑑定の恩恵持ちは見当たらない。
後何日も鑑定を続けることになるんだ。
ここは1万人が住んでいる。単純計算であと6日くらいか?
「シモン・ロンです。よろしくお願いします」
「シモン・ロン・・・で間違いないな、成る程」
シモン・ロン
HP10
MP10
STR3 VIT3
DEF2 INT5★
DEX3 AGI3
鑑定
なんと、鑑定の恩恵持ちが現れた。
ドンピシャのタイミングだ。俺は運がついているのか・・・
しかし、しばらくは俺に従事させて鑑定の修行が必要だ。
普通は鑑定士に弟子入りして、半年は無給で従事するのが当り前だ。
「あなたには、鑑定の恩恵が出ている。どうだね、俺に従事して鑑定を磨かないか?」
「え!鑑定ですか?本当に恩恵があるのですか?・・・ウウウ」
急に泣き出した。
「なぜ、泣くのだ」
「領主様には、分かりませんか?」
「うれし涙か?・・・」
「それもあります。それ以上に俺を見下した奴に・・・」
「色々と事情が有るみたいだが、どうする」
「従事させて下さい。一生懸命に頑張ります」
「そうだな、後ろから椅子を持って来て座っているように、それとそれなりの給金も出そう」
「え!お金がもらえるのですか」
急いで椅子を持って来た。ちょこんと座って緊張した顔でみていた。
「カイ、次を頼む」
「ドベルト・ラーガルです」
俺はシモンの肩に両手を置き、
「相手をじっくりみて、何か見えるか?」
「全然見えません。本当に鑑定が有るのでしょうか?」
「自分自身を信じて、心の眼を開くんだ。少し魔力を体に流すからな、緊張をほぐしてごらん」
ジワジワと魔力を流し込んだ。
「なにか見えました。ドベルト・ラーガルと名が読めます」
「他には見えないか?」
「火魔法が見えました・・・本当に鑑定が出来るなんて・・・」
シモン・ロンには、こう見えているだろう。
ドベルト・ラーガル
HP10
MP15
火魔法
しかし、俺はこう見えている。
ドベルト・ラーガル
HP10
MP15
STR3 VIT3
DEF3 INT5★
DEX3 AGI3
火魔法
やはり鑑定と魔眼の違いは、はっきりしている。
しかし、シモンは初めての鑑定だ。
もっと伸びしろがある人物だと、俺は感じている。
「あなたには、火魔法の恩恵があり、知力にも才能がある。どうしますか? ローラン領の兵士になりませんか?」
「兵士になれるでしょうか?」
「なれますよ。それなりの訓練をすれば」
急に立上がった「頑張ります」と言って深くお辞儀をしていた。
目の前の女性を鑑定した。
ジェリー・ラーダー
HP10
MP15
STR6★ VIT5
DEF3 INT5
DEX3 AGI3
「君は剣士タイプがいいなーー。STRに才能があるよ」
「本当ですか? 兄は冒険者として戦っているので、わたしもなれますか?」
「なれる才能はある。しかし努力も必要だ。分かっているね」
「はい」
元気な声で答えていた。
「君はステータスの器用が抜群だ。宝飾作りか家具作りがお勧めだな」
「そんな職業は、ここにはありません」
「心配しなくていいぞ。今度教えてくれる人を紹介しよう。きっと
「本当ですか? よろしくお願いします」
「シモン、彼と相談して職業を何にするか決めてくれ」
「分かりました」
何度も頭を下げて、シモンと一緒に行ってしまった。
その後姿には、希望があふれていた。
あの若者は、冒険者のポーターをやっていた。
危険が伴なった職業だが、もらえる収入はわずかだ。
冒険者は安いポーターを雇うからだ。仕方ないことなのだが・・・
今日は、恩恵者が2人も出た。
明日は楽しみだ。
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