第5話結界オーブの製作と我が家の紋章
急いでミラーが居る森に戻った。木が沢山残ったままだ。
根っこは全部が引き抜かれて、木の隣で山積みにされている。
「あ、シン様、屋敷の倉庫前は、すでに置く場所が無くなりました」
「そうか、明日は大工道具を渡すから、新たな農耕地の為の倉庫や作業所と柵を作ってくれ」
木の枝が山積みにされている所へ行き、適当な枝を見つけて、地面に大まかな地図を書いて説明してゆく。
「ここで穀物類を大規模に栽培する予定だ。麦は勿論だが豆も栽培して、痩せた土地でも栽培可能なイモも栽培しよう。勿論、肥料を加えて収穫量は増やすぞ。そしてこっちの土地では野菜も栽培するぞ」
「そんなことが可能でしょうか?」
「君はそんな考えなのか?チャレンジする前から諦めたら何も出来ないぞ。チャレンジして失敗して、そこから学んで再チャレンジすればいい」
「領主様の考えは分かりました。わたしもこのままだと、ここはダメだと思ってました。わたしも協力します」
「君は麦や豆の種を確保してくれ、勿論支払いは領主の俺がする。イモは確保してるから買わなくていい」
「分かりました。任してください」
「もうここには用は無い。しかしミラーはその姿のままだと不味いな、荷馬車の荷物に掛ける布で全体を隠せるか?」
ボロい布をまとって、どうにか大きな姿を隠せた。
建築班が1台の荷馬車に乗り込み、もう1台にはミラーが乗り込んだ。
「皆!乗ったな」
「隊長、乗りましたよ」
「出発」
俺は屋敷に戻ると、「しばらく部屋には誰もくるな」と言って1人になった。
俺は1人で結界オーブを、集中して作ることにした。
帝都から持って来た素材と、ブラックベアーの魔石10個で作り始めた。
先ずは10個の魔石を、ジワジワと魔力浸透させて柔らかくし、1個の球体にして、更に集めた素材から取ったエキスに漬け込んだ。
漬けた瞬間から球体は反応してゆく。
そのまま球体全体に気の流れが起きて、気が溢れださないように周りを魔力で包み込む。
その状態で1時間が経過して、気の流れが治まった。
「できた!初めてだが金色結晶を凌ぐ物ができた」
俺のMPは、すでに7割も消費されて、ミラー以来の疲れが出てきた。
この屋敷も改修するのは後回しに成りそうだ。
それにしても、ボロい屋敷だな。
「コンコン」
「誰だ!」
「セバスで御座います。入ってもよろしですか?」
「入っていいぞ」
「お伝えするのが遅くなりました。商業ギルドと冒険ギルドの会合の件で伺いました」
「結果はどうであった」
「良い返事はありません。農耕地が失敗に終わると思っているようで、難色を示してます」
「明日には結界を張って、俺の実力を見れば分かるだろう。明日以降に見学するように言ってくれ。そうだセバス、この魔石を換金して財源の足しにしてくれ。倉庫にも2袋あるはずだ」
「こんなに討伐されたのですか?」
「全部、ミラーがやったことだ」
「あのスケルトンが・・・逆らわないように注意します」
倉庫に入ると、静かにミラーがたたずんで居た。
俺が入ったことに気付き、
「ミラー、立っていろ。今からプレート・アーマーを作るからな」
鉄の塊に、魔力を浸透させてプレート・アーマーの足部分から作り始めた。
出来上がった物を足に装着させてみた。
「どうだ、足を動かしてみろ」
「ガシャンガシャ・シャン」
「ここをもっと膨らませるか?」
作っては修正して、サイズを合わせて何度もやり直した。
出来上がったプレート・アーマーには、胸の部分に我が家の紋章が刻み込んだ。
盾に剣が斜めに突き刺したマークだ。
どんなに苦難が襲っても、負けない意志を込めて俺が考えた。
これで、勇猛な騎士に見えるだろう。
頭部も金属におおわれて、骸骨部分は全く見えない状態だ。
しばらくは、この状態で活躍してもらおう。
スケルトンの状態でうろつかれても良い噂にならないのは間違いないからな。
あの神殿での信仰対象を、ハッキリさせてから考えよう。
下手をすると、こっちが魔王にされる恐れがある。
それは、大昔に魔王と恐れられた死霊術士の存在があった。
1000年前の話らしいが、帝国でも有名な話だ。
死者をスケルトンとして召喚して、死んだ魔物も召喚して世界を恐怖のどん底に落としいれた。
その召喚した数は10万に及んだ。
スケルトンをどうにか壊しても、死霊術で再生されて又戦いを再開する。
その魔王の戦いは、ある男によって終わった。
その魔王を倒したのがカイ・ガーデンで、ガーデン帝国の初代皇帝だった。
カイ・ガーデンは、伝説の錬金術士リン・ガーデンの兄だった。
伝説の聖剣セイカイバーは、一振りで1千もの敵をほうむった。
魔王の眼は黒目だった。
そして知られてないが、錬金術士リン・ガーデンは赤目だった。
そうなのだ。俺を両方の眼を持って生まれていた。
そして子供が悪さをして、しかる時は必ず「そんな悪い子は、魔王にささげるわ」と言えば怖がって大人しくなっていた。
それ程に有名な話だった。
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