第4話新たな結界に向けて




翌日に、建築班を連れてあの森に戻って来た。

見渡す程の広大な拓けた土地があった。


「凄いですね、後は根っこを引き抜き結界が張れれたら農耕地が出来るのに・・・」


「農耕地は少ないのか?」


「昔は広い農耕地も有ったのですが、人が増えた為に家が建ってます。わずかな農耕地ではここの街は支えられないので、帝国頼りです」


「隊長、凄いことになりました。これを見て下さい。こんなに魔石が、それにブラックベアーも倒していました」


袋一杯に詰まった魔石を、2袋も見せられた。

ミラーは、俺が現れたので見張りの後ろで待機している。

それに、木も枝を切り落とされて、山積みにされている。

この量なら、沢山の家が建てれるだろう。


「ミラー、木を荷馬車に積み込めろ」


言われるまま、ミラーが木を軽々と抱えて積み込んでいた。

4人でやっと運べる木が、次々に積み込まれて1台はすでに一杯だ。


その1台に、見張りをやらせた2人が乗り込んで出発。

そんな後ろ姿を見送っていると、もう1台も一杯になり出発しようとしている。


「ミラー、あの根っこを引き抜け」


スタスタと根っこの所にゆき、掴んでは軽々と引き抜いていた。

ロベルトは、根っこの引き抜きが大変な作業だと知っていたようで驚いていた。


「後は金色結晶さえあれば、街も楽になれるのに・・・」


「なら、その金色結晶を守っている所へ案内してくれるか?」


「案内ですか? 出来ますがどうするのですか?」


「現物を見ないと、詳しいことは言えない」


「領主様なら、1度は行く必要がありるでしょう。案内をします」


ロベルトと俺は、馬で走り続けた。





「ここが街の中心地の、金色結晶が収められた神殿です」


この街で珍しく石積みで出来た神殿が、そこ建っていた。

あまり装飾されていないが、でかい木造の門に壊れ難くする為か金具が打ち付けられている。


「ロベルトか、何しに来たんだ」


「ここの領主様をお連れしている。ラーナ様に会わせてくれ」


門番が俺をジロリと見て、門の中に入ってゆく。

しばらくして戻って来た門番は「会うと言っている。俺も同行するからな」



1人の門番だけ残して、俺らは彼の後を付いて行った。

薄暗い長い廊下を歩いて行くと、広い空間に出た途端に明るくなった。


明るくなった原因を見上げると、天井から太陽の光りが差込んでいた。

そして透明感のあるガラスが、ドーム状の天井に張り巡らされてる。

あのガラスなら、帝国でも高い値段で取引きされる程、品質が良く高級感を漂わせている。



1人の白い服を着た少女が、中央の光る結晶にひざまずき祈りを捧げていた。

そしてその少女の後ろにも、10人の女性や少女が同じように祈っている。


「ラーナ様、領主様をお連れしました」


その言葉を残して、門番はこの場から去ってしまい、どうしたものかとロベルトを見る。

なんと、ロベルトも同じように祈っていた。


静まり返った神殿内で、仕方なく俺は光る結晶を魔眼で視ていた。



金色結晶


製作者:賢者ロール・スイ


効果:マナ遮断


マナを遮断して、マナに依存する魔物を寄せ付けない。

結界を張り続けるには、魔力を絶えず流し続ける必要がある。



成る程、だから祈っているのか?

俺ならば、魔石を周りに配置して魔力提供をさせるが、賢者もそこまでのアイデアが無かったのか?


「わたしがここの責任者のラーナ・スイです。あなたが領主様ですか?」


「シン・ローラン、それが俺の名になるらしい。俺も帝国から追放された者だな」


「そうでしたか、御用件は何でしょう」


「俺も金色結晶に似た物を、結界外に設置しようと考えている。ここの金色結晶に干渉しないか確認の為に来たが、干渉しないので安心したよ」


「え!何を言っているのですか?賢者様が作った金色結晶と同じような物が作るとは・・・」


「ああ、機能は同じような物だが、全く違う物だから心配しなくていい。俺が創る物で、農作物を作る土地に結界を張るだけだ。充分な農作物でこの領土を豊かにしてみせる」


ラーナは、ただ俺を見るしかなかった。



ラーナ・スイ


HP10

MP40


STR3  VIT3

DEF3  INT7★

DEX3  AGI3


雷魔法


成る程、彼女は雷魔法が使えるのか?

攻撃魔法でもっとも威力がある魔法で、帝国にも居ない。

そんな人間がここに居たのか?



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