第三章  ― 4 ―

 (録画した番組)

 テレビをつけた。そして、ハードディスクレコーダーの電源スイッチを押してみた。

 過去に録っておいた、テレビドラマを、ラジオ代わりにして、寂しさを、紛らわせようと、思った。



 (テレビとラジオの違い)

 セリフにBGMに音響効果。テレビドラマは、映像も含めて内容を理解していく。

ラジオも同じように、セリフにBGMに音響効果をリスナーに届ける。

 そして、リスナーはセリフ等を聞きながら想像して楽しむ。

 テレビドラマとラジオの大きな差は、無音が、あるか・ないか、ということだと思う。

 テレビドラマは、情景を映像にして届けるから、無音になっても映像を見れば、内容は解かる。

 ラジオは、その情景すらも言葉で伝える。そして、伝えて貰った情景をリスナーが想像して楽しむ。


『テレビドラマを、セリフだけで聞いても

 所々、話が飛んで・・・』


 当たり前のことなのだが、出演者の表情や情景が、映像から伝わってくるから、テレビドラマとして成り立つ。

 目が見えない状況でラジオ代わりに。

と、考えたけけれども、少しストレスが溜まる結果になってしまった。

 ただ、人の声を聞いているだけで、少しだけ落ち着いた。

 ラジオが、この部屋にあれば、少しは変わったのかもしれないとも、思った。

 ただ、ラジオもテレビも、情報を発信するのは、人だった。

 その人々の目が見えなくなった状態で、放送なんてできる訳もない。


 今、テレビの9chで、時報を流してくれていることが奇跡だと、あらためて感じた。






 それから、何日か経ってカップ麺や缶詰の在庫が無くなった。

あとは水道水だけが、生きる糧となった。

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